Sweet Sweets Day

『香介のくせに』


まったく、我ながら意味不明な理屈だと思う。
授業の内容もそこそこに、亮子は頬杖をついていた。


『チョコレートだよ。ハッピーバレンタイン』

理緒の笑顔がチラつく。

綺麗にリボンのかかった、小さな箱。

『おぉう、さんきゅー』

明るい、声。



同じ家にいるのに、ひどく遠く感じて。









バカみたい。

何考えてるんだか。





誰にも気付かれないように、小さく、笑った。
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