xxx


差出人のない絵葉書。

見たことのない切手に、玩具みたいな消印。

日本語ではない、自分の名前。

観光地の写真でも、有名な画家の絵でもない、チープなイラスト。

使った画材さえよく判らない、その画面からは不思議と温かみを感じられて。

今日、この日を狙ったように届いたメッセージ。



そこに描かれていたのは、クリームがとろりとかかる苺ショートケーキと、カップになみなみと注がれたホットコーヒー。
明るい日差しを受けて、添えられた小さな花々が色を濃くしている。



…俺は、こんなケーキ作ったことないぞ?

届くはずのない呟きが声になりかけて、思わず苦笑してしまう。

仮に、あんたが何処か遠い街で、これを食べたと言うのなら。

ポストカードをキッチンの隅に立て掛けて、食材を取り出す。


あぁ、さすがに苺は買いに行かなくちゃな。



【絵葉書】
2006.12.1.ayumu birthday
2/5ページ
スキ