高町亮子

【か】


ゴロゴロ…

「ひえぇえぇぇ~」
「理緒~大丈夫だって。別に落ちやしないよ」
「で、でも~ぉ」

湿気の多い夜だというのに、隣の少女は頭から毛布を被っている。
まったく、暑くないのかね。

ド……ッピシャ…ッ!!

「ひゃあっ!」
「きゃ!」

ぱっと窓の外が明るくなるのと引き換えに、部屋の電気が落ちた。

「て、停電…?」
「はぅ~亮子ちゃーん」

ぎゅっと、理緒が私の服を掴んできた。
震える手を振りほどく訳にもいかなくて、身動きが取れなくなる。

…ドォ……ンッ!!

「「……っ!」」

声にならない悲鳴を飲み込んだ瞬間、部屋が明るくなった。
部屋の入り口には、いつの間に帰って来たのか、見慣れた赤毛。

「ひや~、すっげぇ雷だなぁ」
「香介!」
「こーすけく~ん」

「何だよ、2人して何泣きそうな顔してんだ?」
「…へ?亮子ちゃん?」

思わず、全身の力が抜けてしまった。
雷なんて、怖くも何ともないハズなんだけど。



『かみなり』
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