竹内理緒

【う】


ウサギは寂しいと死んじゃうんだって。

今日聞いたばかりのそれを話すと、赤毛の彼からは予想通りの反応が返ってきた。

「嘘くさー」
「あはは、だよね~。私も最初は、そう思っちゃったもん」
「何だよ、なのに今は信じてるのか?」
「う~ん、そういう訳でもないんだけど…」

首をかしげる仕種が、ペットか何かを思わせる。

「寂しくて死んじゃうっていうのは、ちょっとだけ分かるかなーって」

そんなカッコ悪い死に方、嫌だけど。
そう思って、へへ、と笑ってみたら、頭にぽす、と手を乗せられた。
ぽすぽすぽす。

「…こーすけくん、痛い」

今度は、髪をかき回される。
くしゃ。くしゃくしゃ。

「はうっ?あんまりぐしゃぐしゃにしないでよ~」ぶだよ」

「…え?」

やっとのことで手を掴むと、動きがぴたりと止まった。

「お前が1人になんて、なる訳ないだろ?」

今だって、俺がいるし、亮子やラザフォードもいるし。
そう言って笑う。

そのちょっぴり人任せな自信に、彼こそウサギなんじゃないかと、こっそり思った。



『うさぎ』
3/6ページ
スキ