浅月香介

【あ】


「お!すっげー、ホントに苺ムースの味がすんぞ!」

クラスメイトに何気なく貰ったカラフルな飴粒。
苺ムースやショコラオランジェ、なんて気障ったらしい名前が付いていて、どんな味だよ、とからかい半分で口に入れたのだが。
そのまんまの味だった。
広告に偽りなし。

「…なぁ。これ、もうちょっと貰ってもいいか?」
「良いけど、欲張んなよ」
「はは、わりぃな」

一掴みの飴をポケットに入れたら、向かう先は決まっている。
アイツらにも、この感動を分けてやらなきゃな。
驚いて、喜んで、笑った幼馴染みの顔が浮かんで、思わず頬が緩んだ。



『あめ』
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