カノン・ヒルベルト
【か】
僕は正直、あんまり芸術には明るくない。
だから、音楽を聴いたり、美術品を見て感動する、という経験はあまり記憶にないんだ。
…単に、そういう余裕がなかっただけかもしれないけど。
「…うーん?あれ、おはようアイズ。まだ夜?」
「あぁ、起こしてしまったか?」
「うぅん。ピアノ弾いてたの?」
「あぁ、少しな」
「ねぇ、ちょっと聴かせて?」
アイズはあまり良い顔をしなかったけど、手を合わせて頼んでみる。
やがて彼が、ひとつ息を吐き出して、椅子に腰を下ろした。
~♪~~♪♪
静かに染み渡る音に、じっと耳を澄ます。
無意識に閉じていた瞼に、ふいに光を感じた。
ゆっくりと目を開くと、窓の外に朝陽が登るところだった。
眩しさに、目が潤む。
何故か止まらなくなってしまった涙を拭いながら、繰り返されるフレーズを耳に刻んだ。
その曲の名を僕が知るのは、もっとずっと、先の話。
僕は正直、あんまり芸術には明るくない。
だから、音楽を聴いたり、美術品を見て感動する、という経験はあまり記憶にないんだ。
…単に、そういう余裕がなかっただけかもしれないけど。
「…うーん?あれ、おはようアイズ。まだ夜?」
「あぁ、起こしてしまったか?」
「うぅん。ピアノ弾いてたの?」
「あぁ、少しな」
「ねぇ、ちょっと聴かせて?」
アイズはあまり良い顔をしなかったけど、手を合わせて頼んでみる。
やがて彼が、ひとつ息を吐き出して、椅子に腰を下ろした。
~♪~~♪♪
静かに染み渡る音に、じっと耳を澄ます。
無意識に閉じていた瞼に、ふいに光を感じた。
ゆっくりと目を開くと、窓の外に朝陽が登るところだった。
眩しさに、目が潤む。
何故か止まらなくなってしまった涙を拭いながら、繰り返されるフレーズを耳に刻んだ。
その曲の名を僕が知るのは、もっとずっと、先の話。
『かんどう』