鳴海歩
【な】
彼女が何度も、俺を呼ぶ。
その名は、俺ではなく、大概が兄貴を指すとも知らず。
「ねぇ、聞いてます?鳴海さん」
「あぁ、聞いてない」
「あぁっもう!鳴海さんてば、ふざけないで下さいよ!」
何度も、何度も。
「ちょっと鳴海さん?どうかしたんですか?」
「別に、何でもないさ」
「そうですか?なら良いんですけど。鳴海さん、具合悪くても何も言ってくれなそうだから、怖いんですよ」
「そうか?そうでもないだろ」
何度でも。
「ねぇ、鳴海さん」
「何だ?具合なら、悪くないぞ」
「鳴海さんは、鳴海さんですから」
「…は?」
何もかも見透かしたように、ふわりと笑う。
急に年上ぶっても、無駄なんだけど。
「私にとって鳴海さんは、鳴海さんだけです。鳴海さんっていうのは、いつだって鳴海さんだけを「あぁ!もういいから」
訳が分からなくなりそうだった。
彼女は話を遮られて、いいんですか?と首をかしげている。
「いいんだよ」
「…そうですか?」
あぁ。
これからも、何度だって呼んでくれて、構わない。
彼女が何度も、俺を呼ぶ。
その名は、俺ではなく、大概が兄貴を指すとも知らず。
「ねぇ、聞いてます?鳴海さん」
「あぁ、聞いてない」
「あぁっもう!鳴海さんてば、ふざけないで下さいよ!」
何度も、何度も。
「ちょっと鳴海さん?どうかしたんですか?」
「別に、何でもないさ」
「そうですか?なら良いんですけど。鳴海さん、具合悪くても何も言ってくれなそうだから、怖いんですよ」
「そうか?そうでもないだろ」
何度でも。
「ねぇ、鳴海さん」
「何だ?具合なら、悪くないぞ」
「鳴海さんは、鳴海さんですから」
「…は?」
何もかも見透かしたように、ふわりと笑う。
急に年上ぶっても、無駄なんだけど。
「私にとって鳴海さんは、鳴海さんだけです。鳴海さんっていうのは、いつだって鳴海さんだけを「あぁ!もういいから」
訳が分からなくなりそうだった。
彼女は話を遮られて、いいんですか?と首をかしげている。
「いいんだよ」
「…そうですか?」
あぁ。
これからも、何度だって呼んでくれて、構わない。
『なんども』
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