結崎ひよの

【ひ】


濃い緑と、鮮やかな赤い実に誘われて、思わず手を伸ばす。
そっと柊に触れようとして、葉の棘が指に刺さった。
反射的に手を離す。

聖なる葉に、拒絶された気がした。
きっと今の自分は、ひどく傷付いた顔をしているのだろう。
誰かと一緒でなくて良かった、と静かに息を吐いた。

空からは、静かに雪の精たちが舞い降りてくる。
いっそこのまま、私ごと真っ白に埋め尽くしてくれれば良いのに。



『ひいらぎ』
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