かくれんぼ

「何やってんだ、あんた」

呆れたように言って、ひょい、とひよのから上着を取り上げる。
よく見れば、それは見慣れた歩の学ランであった。

「な、鳴海さんこそ、何やってるんですか!?もう陽が暮れてますよ!?」
「あぁ、そうだな」
「そうだなって…!」

まったく、この人の思考回路は訳が分からない。

「あんたは、そんな狭いトコで寝て、身体痛くならなかったのか?風邪引くぞ」

学ランに袖を通しながら、ソファーに座った歩が振り返る。
言い方はぶっきらぼうだが、目いっぱい心配されていたのだ。

「あの、鳴海さん、何時頃気付きました?」
「何に?」
「私がここにいるコトです」

立ち上がりながら、恐るおそる問い掛ける。
もしそれが、陽が落ちた後ならば。
スカートを整えて、気持ちを落ち着かせる。
陽が落ちて、未だそんなに経っていないハズだった。
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