trick and treat
「ふっ、甘いな」
「え?」
「俺から仕掛けたんだ。そんなヘマやらかす訳ないだろ?」
「まさか、香介…」
彼がニヤ、と笑いながら、思いっきり背中を逸らす。
バランスを崩した亮子が、立ち上がって慌てて振り向いた。
ぴ、と奥のキッチンを指差してみせる。
すぐに覗きに向かう亮子の背中を、キッチンの入り口から眺める。
「…タ、ルト?」
「それもパンプキンタルトだぜ?美味そうだろ」
「何、買ってきたのかい?」
不思議そうな顔をするので、あぁ、と頷くと、亮子がニヤリと笑った。
「それなら安心だね」
「なんっ…どういう意味だよ!」
「そのまんまの意味さ」
ぺろり、と小さく舌を出すと、タルトをひとつ、つまみあげる。
じっとそれを眺めて動かないので、香介はキッチンへ入って、ひとつ伸びをした。
「じゃ、茶でも淹れっかー」
「あ、あぁ、そうだね」
がちゃ、と中身を揺らして冷蔵庫を開けると、そこには見覚えのないタッパーが鎮座していた。
「ん?何だ、これ」
「あーそれはー」
開けてみると、中には…
「かぼちゃプリンだよ」
「もしかして、メイドイン、亮子だったり?」
「悪いかいっ」
いつの間に作ったんだか、良い具合に冷えたかぼちゃプリンを見る。
今日はカボチャ祭りだったか?
思わず、笑いがこみ上げた。
「良いに決まってるだろ!」
夕食もそっちのけで、手際よく茶の支度をする。
ふと見ると、隣で亮子も笑っていた。
――お菓子か悪戯か。どちらかなんて、選べない。
ちいさなお化けたちが連れてきたのは、甘い甘い、お菓子“と”悪戯。
≪fin.≫
「え?」
「俺から仕掛けたんだ。そんなヘマやらかす訳ないだろ?」
「まさか、香介…」
彼がニヤ、と笑いながら、思いっきり背中を逸らす。
バランスを崩した亮子が、立ち上がって慌てて振り向いた。
ぴ、と奥のキッチンを指差してみせる。
すぐに覗きに向かう亮子の背中を、キッチンの入り口から眺める。
「…タ、ルト?」
「それもパンプキンタルトだぜ?美味そうだろ」
「何、買ってきたのかい?」
不思議そうな顔をするので、あぁ、と頷くと、亮子がニヤリと笑った。
「それなら安心だね」
「なんっ…どういう意味だよ!」
「そのまんまの意味さ」
ぺろり、と小さく舌を出すと、タルトをひとつ、つまみあげる。
じっとそれを眺めて動かないので、香介はキッチンへ入って、ひとつ伸びをした。
「じゃ、茶でも淹れっかー」
「あ、あぁ、そうだね」
がちゃ、と中身を揺らして冷蔵庫を開けると、そこには見覚えのないタッパーが鎮座していた。
「ん?何だ、これ」
「あーそれはー」
開けてみると、中には…
「かぼちゃプリンだよ」
「もしかして、メイドイン、亮子だったり?」
「悪いかいっ」
いつの間に作ったんだか、良い具合に冷えたかぼちゃプリンを見る。
今日はカボチャ祭りだったか?
思わず、笑いがこみ上げた。
「良いに決まってるだろ!」
夕食もそっちのけで、手際よく茶の支度をする。
ふと見ると、隣で亮子も笑っていた。
――お菓子か悪戯か。どちらかなんて、選べない。
ちいさなお化けたちが連れてきたのは、甘い甘い、お菓子“と”悪戯。
≪fin.≫