BirthDay is Happy?

昨夜は、あまりよく眠れなかった。
明け方になって、ようやくうとうとしただけで、結局起きる時間になってしまったのだ。
ぼーっとする頭を押さえながら、亮子は洗面台に立った。

「…ひどい顔」

鏡に映る自分の顔が、何とも情けない。
萎える心まで洗い流すかのように、勢い良く冷たい水を出して顔を洗った。
…これで、ちょっとは引き締まれば良いんだけど。



「おはよ」
「おぅ、おはよ」

いつもと何ら変わらない風景。
無意識に止めていた息を、ふぅ、と吐き出して、亮子は笑顔を貼り付けた。

「何だよ香介、早いじゃないか」
「俺が朝、ちゃんと起きてちゃ悪いのかよ」

そんな事はないけど、と呟きながら朝食の支度をする。
香介は、のんびりコーヒーを淹れていた。
理緒が日本を発ってから、繰り返されている日常。
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