Shooting STAR

それから幾つかの星が尾を引き、その度に歓声を上げていた人々が、1組、また1組と帰路に着き始めた。

「そろそろ、潮時じゃないのか?」
「う~ん、そうですねぇ。もう時間も時間ですし」

随分沢山見れましたしね、と笑いながら、ひよのが1つ伸びをする。
それを見て、歩もゆっくり立ち上がった。
これ以上長居すると、本格的に身体が冷えてしまいそうだった。

「さて、ぼちぼち帰るかな」

そう言って、まだ座っていたひよのに何気ない仕種で手を差し出す。
少し考えるような顔をしてから、少女は黙って歩の手をとり、立ち上がった。

ぱんぱん、と服を払うひよのを置いて、歩がのんびりと歩き出す。
慌ててひよのが隣に並ぶと、どちらともなしに歩調が揃った。
伊達にいつも、一緒に歩いているわけではないらしい。

「それにしても、凄かったですね~。1晩で、なかなかあれだけは見られませんよ」
「あぁ、そうだな」
「来て良かったでしょう?」
「それはまた別だ」

得意気に笑うひよのに、思わず否定的な言葉が出る。

「またまた~、素直じゃないんですから。鳴海さんてば」

機嫌が良さそうに話し続けるひよのの声を、半分聞き流しながら、歩はそっと笑った。
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