Shooting STAR

「太陽ほど明るくはありませんけど、月とも違う。
確実に、自分の力で赤く輝く、若い星です」

にこり、と力強く笑う彼女は、自分の事でもないのに自信たっぷりに言い放った。
聞いてるこっちが恥ずかしい。

「って、鳴海さんっ!他人のフリしないで下さいよ!!」
「あんたは他人だ」
「そうですけどっ!そうじゃなくて!!」

思わず距離をとろうとした歩の腕を、ひよのがしっかりと掴む。
そのまま腕を組むような格好で、少女がぴたり、と脇に座り直した瞬間。


――わあっ、と歓声が上がった。


「…え?」
「流れた、みたいだな」

歩の一言で、ココに来た目的を思い出したらしいひよのが、慌てて空を仰ぎ見る。
つられて歩も、空を見上げた。

決して闇色ではない、都会の夜空。
じっと見つめていると、星々の光が淡く主張を始める。
あの中の1つでも、誰かの願いを叶えようというモノがあるのだろうか。

ぼんやりと、そんな事を思っていた歩の腕が、突然ぐっと掴まれる。

「あっ!!」

再びの歓声。

「流れたっ!今、流れましたよ!!鳴海さん見ました!?」
「いや…」

ぱあっと輝いた少女の表情が、興奮を物語っている。
しばらくそれを眺めていた歩は、彼女に気付かれないうちに、視線を空に移した。
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