Shooting STAR

「なかなか流れませんねぇ…」

つまらなそうに、ひよのが呟く。
歩はとっくに空から興味を失っていて、手近な石を拾い上げると、お手玉のように投げてはキャッチ、を繰り返していた。

「大体、流れ星ってのは、宇宙に浮かんでる石ころなんかが、地球の大気に衝突して、燃え尽きてる様子なんだろ?
沢山流れて欲しいなんて、酷な話だと思わないか?」
「むぅ、鳴海さんてば、夢がありませんよ」

その意見には、おおむね賛成である。
歩はむくれる少女に、遊んでいた石を軽く放った。
うわ、と声を上げて、ひよのが両手で石を受け取る。

「…何です?これ」
「石」
「見れば分かります。何のつもりです?」

しっかりと両手で握られた石を見ながら、歩はニヤリと笑って見せた。

「その石だって、大昔は星の欠片だったのかも知れないぞ?願い事でも何でも、聞いてもらえ」

我ながら、ふざけた考えだと思う。
しかし、それを聞いた少女は、にっこりと笑って石を握り締めた。

「私のお願いは、鳴海さんに叶えてもらいますから、良いんです」
「…俺はお星様か?」
「はい」

間髪入れない答え。
思わず、力が抜けた。
5/9ページ
スキ