Shooting STAR

「あ、鳴海さん、ココにしましょうよ」

そう言って、ひよのが立ち止まったのは、街灯の殆どない開けた場所だった。

「何か、人が多くないか?」
「考える事は皆さん一緒ってことですよ」

人が多いという事は、それだけ良い場所だという事か。
安易な考えに、歩が思わず納得していると、ひよのがからかうように振り向いた。

「それとも、私と2人っきりの方が良かったですか?」
「あ、り、え、な、い」
「んもぅ、可愛くないですねぇ」

冗談でもそれ位は言って欲しいものです、と独りごちながら、ひよのは適当な所に腰を下ろした。
歩も黙ってそれにならう。
静かに風が流れる中で、囁くような人の声が途切れる事なく続いていた。


ふいに、風を遮るように、ひよのが座る場所を詰めた。
触れるほどの距離に、少年がたじろぐ。

「…俺で風を避けようとするな」

努めて冷たく言ったが、少女が気に留めた様子はない。

「まぁ、お気になさらず」

にこり、と見上げる視線に、慌てて目を泳がせる。
大きな瞳に全てを見透かされそうで、視線を合わせる余裕などなかった。
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