NON DATA

ひよのの眼差しは歩を捕らえたままだ。
大きな瞳でじっと見つめられると、さすがに居心地が良いものではない。
歩はさりげなく、視線をずらした。

「だけって…他に何しろって言うんだ?」
「そりゃあ、誕生日ついでに告白してみたりとか、プレゼントは僕だよ☆とか言っちゃって、おねーさんを押し倒してみるとか…ひゃあぁっ鳴海さんてば、何て事をーっ!?」
一人芝居をしながら、妄想で話が進んでいく。
歩にしてみれば、聞いているだけで体力を削られる気がした。

「あんたが勝手に言ってるだけだろ。そんな恥ずかしい事、誰がするか!」
「あら、世の恋人たちは、結構やってるかもしれませんよ?」

さらり、と言ってのける。
この少女の言う事は、現実味が高そうで恐い。
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