小ネタまとめ
ラピスラズリの天泣②
2024/08/10 23:47復活山本夢
復活山本落ち夢
事実は小説よりも奇なり。
でも一体誰が信じるだろう。
気付けば一夜で、全てが変わってしまったなんて。
私は成人から少女へと姿が変わり、記憶はないのに、当たり前のようにこの見知らぬ世界の生活に馴染んでしまっていた。
聞いたこともない学校に、平然と通って過ごし、見たこともない友達に囲まれて笑っている。
まるで自分が自分でないようで、怖くて怖くて堪らなかった。
それでも何故か、涙は出なくて、私は心に恐怖と苦痛を溜め込み抱えて、作り笑いを浮かべることさえ出来なくなってしまった。
「生か、死か、それが問題だ。……か。」
このまま死んでしまえたら、どんなにか楽だろう。
私は屋上のフェンスから地面を見下ろす。
自殺なんて、今まで考えもしなかった。
ここを乗り越えて、宙にこの身を預けることが出来たなら。
肉体から解放されて、自由な魂だけの存在になることが出来たなら。
それはとても甘美な誘惑。
でも私は、そのフェンスを乗り越えることは出来なかった。
「意気地無し……。」
だって痛いのは嫌なんだ。
人々の記憶に、潰れたトマトのようになって死んだ人間として残りたくなんてない。
人はドラマに出てくるように綺麗に死ねやしないのだ。
私は屋上を出て、校舎に戻った。
たくさんの中学生が廊下や教室を行き交っている。
その間をふらつきながら進んでいく私は、ゾンビにでもなったような気分だった。
自分だけ死んでいて、回りの人達はそれに気付かずに楽しそうに笑っている。
……というか、自称私の友達にさっき「目が死にすぎてて怖い」と言われた。
もう口は聞かないと決めた。
悪いけど、私も余裕ないのだ。
大人げ何てそこらのドブに捨ててきた。
「って……」
「おっと……!」
廊下の角を曲がろうとした時、私は誰かにぶつかった。
おでこに固い物が当たる。
痛いよこれ、肘だよこれ。
誰だよもうこんなところでボヤボヤと歩いてるのは。
自分のことを棚に上げて、私はぶつかった誰かさんの顔を見てやろうと目線を上げた。
そして出会ったのは、ニッコリ爽やかイケメンスマイル。
「ごめんな!怪我ないか?」
「え……あの、大丈夫、です。」
「そっか!よかったのなー。」
スポーツマンっぽい溌剌とした調子で、私に怪我がないか確かめたスマイル君は、じゃあなー!と言って廊下を走っていく。
ぶつけたおでこを押さえて、その姿が見えなくなるまで見送る。
いつの間に現れたのか、隣に立った自称私の友達が、低い声で言った。
「奴はとんでもないものを盗んでいきました……。
あなたの、心です……。」
「花ちゃんは一体私の何になりたいのかな。」
「そうね……一緒にマルキュー行く程度の友達かしら。」
悩んでいたこととかどうでもよくなるような爽やか笑顔。
ただ曲がり角でぶつかっただけだけど、私はその笑顔のファンになってしまったのだった。
ついでに花ちゃんとの距離も少し縮まった。
やったねタエちゃん!
……いややってないよ!
なんで私ちょっと馴染み始めてるんだよ!?
③へ続く……!
事実は小説よりも奇なり。
でも一体誰が信じるだろう。
気付けば一夜で、全てが変わってしまったなんて。
私は成人から少女へと姿が変わり、記憶はないのに、当たり前のようにこの見知らぬ世界の生活に馴染んでしまっていた。
聞いたこともない学校に、平然と通って過ごし、見たこともない友達に囲まれて笑っている。
まるで自分が自分でないようで、怖くて怖くて堪らなかった。
それでも何故か、涙は出なくて、私は心に恐怖と苦痛を溜め込み抱えて、作り笑いを浮かべることさえ出来なくなってしまった。
「生か、死か、それが問題だ。……か。」
このまま死んでしまえたら、どんなにか楽だろう。
私は屋上のフェンスから地面を見下ろす。
自殺なんて、今まで考えもしなかった。
ここを乗り越えて、宙にこの身を預けることが出来たなら。
肉体から解放されて、自由な魂だけの存在になることが出来たなら。
それはとても甘美な誘惑。
でも私は、そのフェンスを乗り越えることは出来なかった。
「意気地無し……。」
だって痛いのは嫌なんだ。
人々の記憶に、潰れたトマトのようになって死んだ人間として残りたくなんてない。
人はドラマに出てくるように綺麗に死ねやしないのだ。
私は屋上を出て、校舎に戻った。
たくさんの中学生が廊下や教室を行き交っている。
その間をふらつきながら進んでいく私は、ゾンビにでもなったような気分だった。
自分だけ死んでいて、回りの人達はそれに気付かずに楽しそうに笑っている。
……というか、自称私の友達にさっき「目が死にすぎてて怖い」と言われた。
もう口は聞かないと決めた。
悪いけど、私も余裕ないのだ。
大人げ何てそこらのドブに捨ててきた。
「って……」
「おっと……!」
廊下の角を曲がろうとした時、私は誰かにぶつかった。
おでこに固い物が当たる。
痛いよこれ、肘だよこれ。
誰だよもうこんなところでボヤボヤと歩いてるのは。
自分のことを棚に上げて、私はぶつかった誰かさんの顔を見てやろうと目線を上げた。
そして出会ったのは、ニッコリ爽やかイケメンスマイル。
「ごめんな!怪我ないか?」
「え……あの、大丈夫、です。」
「そっか!よかったのなー。」
スポーツマンっぽい溌剌とした調子で、私に怪我がないか確かめたスマイル君は、じゃあなー!と言って廊下を走っていく。
ぶつけたおでこを押さえて、その姿が見えなくなるまで見送る。
いつの間に現れたのか、隣に立った自称私の友達が、低い声で言った。
「奴はとんでもないものを盗んでいきました……。
あなたの、心です……。」
「花ちゃんは一体私の何になりたいのかな。」
「そうね……一緒にマルキュー行く程度の友達かしら。」
悩んでいたこととかどうでもよくなるような爽やか笑顔。
ただ曲がり角でぶつかっただけだけど、私はその笑顔のファンになってしまったのだった。
ついでに花ちゃんとの距離も少し縮まった。
やったねタエちゃん!
……いややってないよ!
なんで私ちょっと馴染み始めてるんだよ!?
③へ続く……!