小ネタまとめ
ラピスラズリの天泣⑦
2024/08/21 21:55復活山本夢
瑠璃の更新が恐ろしくゆっくりなのは妖怪のせいであって、決して戸棚からコミックを取り出すのが面倒だからではありません。
ちなみに×狩人の更新がヤバイくらいに遅いのは原作をリスペクトしているからであって、決して原作を持ってないからとかじゃありません。
そんな感じで、瑠璃⑦でございます。
「ちょっと京子ー、悠ー、早く帰るわよー。」
「花ちゃん、今行く!
行こう京子ちゃん!」
「うん!待ってて花!」
中学生の女の子三人がきゃっきゃと楽しそうにしている様は、誠に視界に優しい……私がその中にいなければの話だけれども。
本当ならば私は、コンビニの帰り際にそんな光景を見掛けてほのぼの和んでる通行人AとかBとか、そんな感じのポジションのはずなのだが、数ヵ月前、突然に若返ってしまい、その上自分の知らない世界に放り込まれたために、不本意ながら通行人ではなく女子中学生、という役に落ち着いている訳である。
ああ、ちなみに、京子ちゃんと言うのは、山本君飛び降り事件の後に友達になった子だ。
花ちゃんの親友だそうだ。
「そう言えば、今日出た英語の宿題すごく難しそうだったわよね。」
「帰ったら皆で集まって勉強会しようよ!」
「ん、そだね。
じゃあ誰の家に……あれ?」
「どうしたの、悠ちゃん?」
「……宿題忘れたった。」
「お馬鹿。」
ぺしこん、と花ちゃんに頭を叩かれて、てへぺろっと舌を出す。
こんな顔出来るのは中学生の特権かもしれない。
二十歳過ぎたら恥ずかしくて出来ないわ。
そして、そんな精神二十歳過ぎのわたくし、不覚にも学校に宿題のプリントを忘れてきてしまった。
待っていてくれる、と言ってくれた二人に、悪いから先に帰ってて、なんて言って、後で京子ちゃんの家に集まる約束をして別れた。
日に日に、自分が中学生に馴染んでいるような気がする。
まあ、その事に関しては今更か。
少しでも早く、元の自分に、元の居場所に戻れるように努力しなければ。
一人こっそりと、そんな決意をしながら宿題を回収した。
そんな帰り道の事である。
「……ん?爆発音?」
遠くない場所から、爆発音が聞こえた。
最近こう言うの、多いんだよなぁ。
アメリカじゃ銃声なんてしょっちゅうだったけど、こっちでこういうのは珍しい。
まあとにかく、危なそうなものには関わらないに限る、よね。
そう判断して、私は爆発音を聞かなかったことにして校門を出た。
……出たかったのだが。
「お、烏丸ー!」
「や、山本君?」
マイエンジェル山本君に話し掛けられてしまっては、立ち止まらざるを得ない。
「よっ!もう帰ったんじゃなかったのな?」
「あー、えっと……教室に忘れ物しちゃって。」
「忘れ物?」
「英語の宿題。」
「げっ、オレすっかり忘れてたのな……。」
会話の内容は普通……なんだけど、わからないのは山本君の格好だ。
なんか砂っぽいっていうか、薄汚れている。
制服だから、まだ部活前なんだと思うんだけれども、一体どうしてそんなに汚れているのだろうか。
「あのぉ……山本君、転んだ?」
「え?別に……あ、服のこと?
これなら、さっきそこで子どもと遊んでてこうなっちゃったのなー。」
「子ども?」
周りを見回してみるけれど、子どもなんてどこにも見当たらない。
遠くの方に、沢田君と、……たぶん転校生の獄寺君らしき人影が見えるけれど、彼らの事を子どもとは呼ばないだろうし。
「うん?あれ?
さっきまでそこにいたんだけどな……。」
「中学校に子どもがいたの?」
「うん。
なんかツナの親戚?らしいのな。」
「ふぅん……、沢田君追って来ちゃったのかな。」
「たぶんなー。」
それならたぶん沢田君が何とかしたんだろう。
まあ面倒事には深く首を突っ込まないに限る。
「制服、だいぶ汚れちゃってるね。」
「後で親父に怒られちゃうのなー。」
「んー……ハンカチ貸してあげるよ。
砂払うだけでも少しはましになると思うし。」
「良いのか?」
「良いの良いの。」
ありがとなー!って笑う山本君の笑顔、プライスレス。
私はそこで、ちょっと調子に乗ってみる。
「背中、自分じゃ届かないでしょー?
烏丸おねーさんが払ってあげよっかー?」
「あはは!おねーさんって、同い年だろ?
でも助かるのなー、よろしく!」
「……え?」
「へ?」
ほ、本当に払う感じの流れなのかな、これは?
冗談のつもりだったんだけどな……。
「え……と、じゃあ払うから、後ろ向いててね。」
「んー。」
緊張しながらハンカチで砂を払う。
な、なんだろう、こう……なんだかなぁ!
山本君、背が高いなーとか、背中広いなー、男の子だもんなーとか、そんなこと考えてしまう。
背伸びをしながら慌ただしく背中の砂埃をはたいてあげて、こっちに振り返った山本君に、ハンカチを押し付けた。
「ハ、ハンカチあげるね!
私、花ちゃん達と約束してたこと忘れてた!」
「え?」
「い、急ぐから!また明日ね!」
「ちょっ、烏丸!」
* * *
「……と、このようなことがございまして、遅れました。」
「はー……ま、別に良いけどさぁ。」
「良かったね悠ちゃん!」
「うん、良かった……もう何も考えられない……。」
「あんたねぇ……、これから勉強するのにそんなんで大丈夫なの?」
「平気だよー!英語得意だし。
今どこやってんのー?
あ、ここねぇ、引っ掛けだから気を付けなきゃダメだよー。」
「ばっちり考えてんじゃないの。
山本の奴も可哀想にね……。」
「考えてないよ!英語は感覚!
Don't think ! Feel !!」
その後、英語の宿題は私達だけ満点という輝かしい結果に終わった。
ちなみに×狩人の更新がヤバイくらいに遅いのは原作をリスペクトしているからであって、決して原作を持ってないからとかじゃありません。
そんな感じで、瑠璃⑦でございます。
「ちょっと京子ー、悠ー、早く帰るわよー。」
「花ちゃん、今行く!
行こう京子ちゃん!」
「うん!待ってて花!」
中学生の女の子三人がきゃっきゃと楽しそうにしている様は、誠に視界に優しい……私がその中にいなければの話だけれども。
本当ならば私は、コンビニの帰り際にそんな光景を見掛けてほのぼの和んでる通行人AとかBとか、そんな感じのポジションのはずなのだが、数ヵ月前、突然に若返ってしまい、その上自分の知らない世界に放り込まれたために、不本意ながら通行人ではなく女子中学生、という役に落ち着いている訳である。
ああ、ちなみに、京子ちゃんと言うのは、山本君飛び降り事件の後に友達になった子だ。
花ちゃんの親友だそうだ。
「そう言えば、今日出た英語の宿題すごく難しそうだったわよね。」
「帰ったら皆で集まって勉強会しようよ!」
「ん、そだね。
じゃあ誰の家に……あれ?」
「どうしたの、悠ちゃん?」
「……宿題忘れたった。」
「お馬鹿。」
ぺしこん、と花ちゃんに頭を叩かれて、てへぺろっと舌を出す。
こんな顔出来るのは中学生の特権かもしれない。
二十歳過ぎたら恥ずかしくて出来ないわ。
そして、そんな精神二十歳過ぎのわたくし、不覚にも学校に宿題のプリントを忘れてきてしまった。
待っていてくれる、と言ってくれた二人に、悪いから先に帰ってて、なんて言って、後で京子ちゃんの家に集まる約束をして別れた。
日に日に、自分が中学生に馴染んでいるような気がする。
まあ、その事に関しては今更か。
少しでも早く、元の自分に、元の居場所に戻れるように努力しなければ。
一人こっそりと、そんな決意をしながら宿題を回収した。
そんな帰り道の事である。
「……ん?爆発音?」
遠くない場所から、爆発音が聞こえた。
最近こう言うの、多いんだよなぁ。
アメリカじゃ銃声なんてしょっちゅうだったけど、こっちでこういうのは珍しい。
まあとにかく、危なそうなものには関わらないに限る、よね。
そう判断して、私は爆発音を聞かなかったことにして校門を出た。
……出たかったのだが。
「お、烏丸ー!」
「や、山本君?」
マイエンジェル山本君に話し掛けられてしまっては、立ち止まらざるを得ない。
「よっ!もう帰ったんじゃなかったのな?」
「あー、えっと……教室に忘れ物しちゃって。」
「忘れ物?」
「英語の宿題。」
「げっ、オレすっかり忘れてたのな……。」
会話の内容は普通……なんだけど、わからないのは山本君の格好だ。
なんか砂っぽいっていうか、薄汚れている。
制服だから、まだ部活前なんだと思うんだけれども、一体どうしてそんなに汚れているのだろうか。
「あのぉ……山本君、転んだ?」
「え?別に……あ、服のこと?
これなら、さっきそこで子どもと遊んでてこうなっちゃったのなー。」
「子ども?」
周りを見回してみるけれど、子どもなんてどこにも見当たらない。
遠くの方に、沢田君と、……たぶん転校生の獄寺君らしき人影が見えるけれど、彼らの事を子どもとは呼ばないだろうし。
「うん?あれ?
さっきまでそこにいたんだけどな……。」
「中学校に子どもがいたの?」
「うん。
なんかツナの親戚?らしいのな。」
「ふぅん……、沢田君追って来ちゃったのかな。」
「たぶんなー。」
それならたぶん沢田君が何とかしたんだろう。
まあ面倒事には深く首を突っ込まないに限る。
「制服、だいぶ汚れちゃってるね。」
「後で親父に怒られちゃうのなー。」
「んー……ハンカチ貸してあげるよ。
砂払うだけでも少しはましになると思うし。」
「良いのか?」
「良いの良いの。」
ありがとなー!って笑う山本君の笑顔、プライスレス。
私はそこで、ちょっと調子に乗ってみる。
「背中、自分じゃ届かないでしょー?
烏丸おねーさんが払ってあげよっかー?」
「あはは!おねーさんって、同い年だろ?
でも助かるのなー、よろしく!」
「……え?」
「へ?」
ほ、本当に払う感じの流れなのかな、これは?
冗談のつもりだったんだけどな……。
「え……と、じゃあ払うから、後ろ向いててね。」
「んー。」
緊張しながらハンカチで砂を払う。
な、なんだろう、こう……なんだかなぁ!
山本君、背が高いなーとか、背中広いなー、男の子だもんなーとか、そんなこと考えてしまう。
背伸びをしながら慌ただしく背中の砂埃をはたいてあげて、こっちに振り返った山本君に、ハンカチを押し付けた。
「ハ、ハンカチあげるね!
私、花ちゃん達と約束してたこと忘れてた!」
「え?」
「い、急ぐから!また明日ね!」
「ちょっ、烏丸!」
* * *
「……と、このようなことがございまして、遅れました。」
「はー……ま、別に良いけどさぁ。」
「良かったね悠ちゃん!」
「うん、良かった……もう何も考えられない……。」
「あんたねぇ……、これから勉強するのにそんなんで大丈夫なの?」
「平気だよー!英語得意だし。
今どこやってんのー?
あ、ここねぇ、引っ掛けだから気を付けなきゃダメだよー。」
「ばっちり考えてんじゃないの。
山本の奴も可哀想にね……。」
「考えてないよ!英語は感覚!
Don't think ! Feel !!」
その後、英語の宿題は私達だけ満点という輝かしい結果に終わった。