小ネタまとめ

群青×泥棒④

2024/08/21 21:47
群青の鮫派生ネタ
ボンゴレ地下の隠し通路、灯りのないその場所に、男の唸り声が響いていた。
赤いジャケットの男……ルパン三世である。

「んーっで、ここを右のはずなんだけっども……。」
「塞がってやかんな……。」
「切るか?」
「いんや、下手に切ったら崩壊して、中の奴らに気付かれるかもしれねぇ。」
「別の道探すしかねーって事か……。」

ライターの頼りない光源に照らされた彼らの顔からは、濃い疲れの色が滲み出ている。
もう何度も道を変えている。
しかしいつまで経ってもゴールへは辿り着けない。
加えて……

「……見られてるな。」
「ああ……。」
「ったく、まんまと嵌められたか?」

うんざりとした顔で辺りを見回す三人を、纏わり付くような視線がつけ回していた。
彼らが疲れるのを待つ気なのか、それとも戦う気は元よりないのか、かれこれ30分近く経つというのにも関わらず、その視線の主は姿を現さない。
しかし五度目の袋小路に突き当たり、彼らが踵を返して元来た道を戻ろうとしたとき、ようやく視線の主が姿を現した。

「しし、世紀の大泥棒とかいう奴も大したことねーじゃんっ♪」
「ゔお゙ぉい、油断してんじゃねぇぞベル!」
「そうよぉ、あんなのでもあのアルセーヌ・ルパンの孫なんだからねん♪」

気配もなく現れた黒装束の姿が、ルパン達の視界に入ったその直後、彼らを真っ白な煙が包んだのだった。


 * * *


まんまとルパン三世一味を地下道の密室へと追い込み、スクアーロは1つ安堵の息を吐く。
仲間達へ指示を出して、入り口も固めた。
後はそれぞれを引き離し、より有利な状況へと持ち込み、生け捕りにする。
銭形には悪いが、彼らからは詳しく話を聞かなければならない。
ルパン三世はヴァリアー一の天才とさえ呼ばれるベルフェゴールが。
拳銃が得物である次元大介は、接近戦のスペシャリストであるルッスーリアが。
そして、ルパン一味の中でも随一の戦闘力を誇る石川五ェ門はスクアーロが。
それぞれもっとも相性が良いと思しき相手と戦う手筈になっている。
煙幕を使い、三人それぞれが、任された相手を襲って他の仲間から引き離していく。

「ししし、まー精々王子のこと楽しませてみせろよ、ドブネズミっ!」
「こりゃまた随分と好戦的な奴が来たな。」

「いやぁ~ん!なかなか良い男じゃない!!
このまま殺してお持ち帰りしちゃおうかしら♡」
「色んな意味で嫌な奴が来やがった……!」

「はっ!上手く分かれたようじゃねぇかぁ。
まあゆっくり、楽しんでいけや……!!」
「ふ……面白い!」

三つの戦いの幕が上がった。

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