小ネタまとめ
ラピスラズリの天泣⑤
2024/08/10 23:59復活山本夢
山本君は最近お疲れ気味な様子だ。
私も精神的にはおねいさんなのであるからして、色々と気に掛けてみたり、飴ちゃんをあげたり冗談を言ってみたり……あ、あれ?これってありがた迷惑とか思われてないよね?ね!?
そして数日後、朝登校した私に、花ちゃんが慌てた様子で駆けてきた。
なんだなんだ、花ちゃんがこんなに慌てるなんて珍しい。今日は霰か?
「花ちゃんおはよ。
どしたの慌てて、先生が彼女にフラれたの?」
「何の話してんのよ!!
あんたの大好きな山本が今屋上で自殺騒ぎ起こしてるの!」
「ファッ!?」
なんでも練習しすぎて腕が折れたとかで、野球出来ないなら死んでやるーって具合に屋上で飛び降りようとしているらしい。
私はちょっと考えると、花ちゃんを置き去りにして走り出した。
「ちょっ……どこ行くのよ!?
屋上こっちよ!」
「ちょっと花ちゃん、山本君引き留めてて!」
「無茶言うな!!」
人の流れに逆らいながら、私は職員室に向かう。
辿り着いた職員室には誰もいなかった。
恐らく先生方も屋上に行ったんだろう。
私は目当てのものを手に取ると、また走り出す。
向かうは校庭、屋上の下。
走って走って走って走って、ようやく山本君が見える所まで辿り着いた私は手に持ってたものを口に当てて叫んだ。
『そこの犯人ー!お袋さんが泣いてるぞー!
……じゃなかった、山本君ー、飛び降りたら私が巻き込まれて死んじゃうよー。』
「え……烏丸?」
私が職員室から持ってきたもの、拡声器。
ふはは、私は山本君が他人を傷付けたりしない優しい子だって知ってるんだからね。
『死んだって良いことないよー。
スゴく痛いよー。』
「っ……烏丸には関係ないだろ!
退いてくれ!
オレはもう、死ぬしかないのな!!」
『……はあ?山本君バカ?バカなの?死ぬの?
あ、いや、今から死のうとしてるんだったか。』
死ぬしかないとかバカなのかな?
それしかないって思い込んでるだけじゃないですかお子様め!
『山本君、君腕が折れただか何だか知らないけど、ふざけてんじゃねーですよこの野郎。
死にたいんじゃないでしょ君。
ただ何もやりたくない考えたくない。
それで死のうなんてね、天国のお袋さんも泣いているぞー。』
「まだ生きてるのな!」
『私のお袋だよー。』
「あんたの両親健在でしょーがバ烏丸!」
花ちゃんナイスツッコミ。
って、そうじゃなくて。
私はもう一度拡声器を口許に当てて、屋上の彼らに向かって叫ぶ。
『とにかく、飛び降りはダメー。
今飛んだら私も巻き込まれて死んじゃうしー、というかね、飛び降り自殺って滅茶苦茶グロいんだよ?
もうそれはそれは潰れたトマトのごとく身体中ぐちゃぐちゃに潰れて骨が肉を突き破って脚や腕は変な方向向いちゃって頭も弾けて脳漿飛び出ちゃって……』
「なんでそんなグロいこと知ってんのー!?」
む、この声は沢田君か。
また珍しい人が来たもんだな……いや、でも最近彼目立つことよくしてるしな。
こっからじゃ屋上にいる人の顔なんて見えないけど、諦めてくれただろうか。
『山本くーん、諦めたー?』
「……。」
返事はない。
でも、彼がクルリと背を向けたのが見えて、もしかしたら止めてくれたのかもなー、と思って暫くその背を見てた。
そして……
「……!」
『ん?』
「ちょ……逃げて悠!!」
何か叫んでいる、と思ったら、山本君らしき背中と、誰かの背中がグングン近付いてきて……って!落ちてきてる!?
「ぎにゃぁああああ!!落ちてきたぁぁあ!!」
気付いた瞬間、腰が抜けて、地面に座り込んでしまう。
あ、ヤバい、逃げなきゃ。
そう思うも、私は動けない。
いや、だって、死んじゃう。
頭を抱えて、強く目を閉じた。
頭の上で破裂音が響いた。
私も精神的にはおねいさんなのであるからして、色々と気に掛けてみたり、飴ちゃんをあげたり冗談を言ってみたり……あ、あれ?これってありがた迷惑とか思われてないよね?ね!?
そして数日後、朝登校した私に、花ちゃんが慌てた様子で駆けてきた。
なんだなんだ、花ちゃんがこんなに慌てるなんて珍しい。今日は霰か?
「花ちゃんおはよ。
どしたの慌てて、先生が彼女にフラれたの?」
「何の話してんのよ!!
あんたの大好きな山本が今屋上で自殺騒ぎ起こしてるの!」
「ファッ!?」
なんでも練習しすぎて腕が折れたとかで、野球出来ないなら死んでやるーって具合に屋上で飛び降りようとしているらしい。
私はちょっと考えると、花ちゃんを置き去りにして走り出した。
「ちょっ……どこ行くのよ!?
屋上こっちよ!」
「ちょっと花ちゃん、山本君引き留めてて!」
「無茶言うな!!」
人の流れに逆らいながら、私は職員室に向かう。
辿り着いた職員室には誰もいなかった。
恐らく先生方も屋上に行ったんだろう。
私は目当てのものを手に取ると、また走り出す。
向かうは校庭、屋上の下。
走って走って走って走って、ようやく山本君が見える所まで辿り着いた私は手に持ってたものを口に当てて叫んだ。
『そこの犯人ー!お袋さんが泣いてるぞー!
……じゃなかった、山本君ー、飛び降りたら私が巻き込まれて死んじゃうよー。』
「え……烏丸?」
私が職員室から持ってきたもの、拡声器。
ふはは、私は山本君が他人を傷付けたりしない優しい子だって知ってるんだからね。
『死んだって良いことないよー。
スゴく痛いよー。』
「っ……烏丸には関係ないだろ!
退いてくれ!
オレはもう、死ぬしかないのな!!」
『……はあ?山本君バカ?バカなの?死ぬの?
あ、いや、今から死のうとしてるんだったか。』
死ぬしかないとかバカなのかな?
それしかないって思い込んでるだけじゃないですかお子様め!
『山本君、君腕が折れただか何だか知らないけど、ふざけてんじゃねーですよこの野郎。
死にたいんじゃないでしょ君。
ただ何もやりたくない考えたくない。
それで死のうなんてね、天国のお袋さんも泣いているぞー。』
「まだ生きてるのな!」
『私のお袋だよー。』
「あんたの両親健在でしょーがバ烏丸!」
花ちゃんナイスツッコミ。
って、そうじゃなくて。
私はもう一度拡声器を口許に当てて、屋上の彼らに向かって叫ぶ。
『とにかく、飛び降りはダメー。
今飛んだら私も巻き込まれて死んじゃうしー、というかね、飛び降り自殺って滅茶苦茶グロいんだよ?
もうそれはそれは潰れたトマトのごとく身体中ぐちゃぐちゃに潰れて骨が肉を突き破って脚や腕は変な方向向いちゃって頭も弾けて脳漿飛び出ちゃって……』
「なんでそんなグロいこと知ってんのー!?」
む、この声は沢田君か。
また珍しい人が来たもんだな……いや、でも最近彼目立つことよくしてるしな。
こっからじゃ屋上にいる人の顔なんて見えないけど、諦めてくれただろうか。
『山本くーん、諦めたー?』
「……。」
返事はない。
でも、彼がクルリと背を向けたのが見えて、もしかしたら止めてくれたのかもなー、と思って暫くその背を見てた。
そして……
「……!」
『ん?』
「ちょ……逃げて悠!!」
何か叫んでいる、と思ったら、山本君らしき背中と、誰かの背中がグングン近付いてきて……って!落ちてきてる!?
「ぎにゃぁああああ!!落ちてきたぁぁあ!!」
気付いた瞬間、腰が抜けて、地面に座り込んでしまう。
あ、ヤバい、逃げなきゃ。
そう思うも、私は動けない。
いや、だって、死んじゃう。
頭を抱えて、強く目を閉じた。
頭の上で破裂音が響いた。