小ネタまとめ

斑模様のエチュード(針滴)

2024/08/10 23:55
その他
超絶不幸少女がとにかく原作に巻き込まれる話、ただしギャグ。




私が自分を紹介するときに必要な言葉は1つだけ。
不幸、ただその一言さえあれば足りる。
え?どこら辺が不幸なのかって?
例えば朝、大事なことがある日には必ず目覚まし時計が壊れる。
目玉焼きの黄身は必ず割れてグズグズだし、手に取ったソックスに穴が開いてる事なんてしょっちゅう。
家を出れば、カラスに異常なほど付きまとわられるし、鳥に糞を落とされることも日常茶飯事。
黒猫は前を横切り、車には水を跳ねられ、バスやトラックは私を轢くために動いているようにさえ思えてくる。
ちなみに道端にはバナナの皮が落ちているのが当たり前だと言ったら友達が一人減った。
そして私の不幸は今日も絶好調である。
考えてもみてほしい。
普通突然訪れてきた変な格好のおばさんに「あなたは実は魔女なので魔法使いの学校で学ばなければならないの」なんて言われたら通報するでしょう。
だから通報した私はなにも悪くないし、だからだから、私を変な魔法で柱に縛り付けるのはとってもよろしくないと思うのだ。
どうしてこうなった。

「あなたは少し、考え方に柔軟性が足りませんね。」
「はあ……。」

そんな厳格でお堅い空気を全身に厚着していらっしゃる貴女に言われたくありません。
マクゴナガルと名乗ったそのおばさんに言われて、私は曖昧な返事を返す。
これは立派な傷害事件ではないだろうか。
だって柱に縛られたときに私は床にティーカップを落としてその欠片で指を切った。
え?マクゴナガルさんは悪くない?
お前が勝手に怪我したんだって?
うるせーバカヤロー私だって好きでこんな状況になってる訳じゃねーんだよ八つ当たりくらいさせろバカー。

「あのー、これ私どうなっちゃうんですかー?
その魔法学校とかゆーのに連れてかれちゃうんですー?」
「何を言っているんですか。
魔法学校は貴女が自分で行くんですよ。
良いですか、貴女のご両親が貴女のホグワーツ入学を受け入れてくださらない以上、私が責任を持って送らなければなりませんね。」
「……え?」
「まずはダイアゴン横町……トムの『漏れ鍋』に行きましょうか。」
「……どこすかそれー。」

そして気付けば私はロンドンの一角に建つパブ『漏れ鍋』に連れていかれていた。
マクゴナガルさんはそこでダイアゴン横町に言って教科書など必要な物を揃えろと言う。
どこだそれ。
だが心優しいパブの店主トムさんに色々と教えてもらって、必要な物は揃えられた。
なんか魔法界とかマグルとかここでしか使えないお金とか色々教えてもらったのだけれども、正直わけわかめのちんぷんかんぷんである帰りたい。
なんだよマグルは差別されたりするとかなんとかって普通の学校行きたいよこんちくしょー。

「無事に着けたようですね……と、言おうと思っていたのですが、その格好はどうしたのです。」
「あはー、まあ色々とー。」

そんで訪れた入学式の日、私はやはり、ありとあらゆる不幸に遭遇した。
駅では通り抜けられると聞いていた柱に入った途端、向こう側から来た人に吹っ飛ばされ、電車では乗り遅れそうになった上に入れるコンパートメントがなくて廊下の隅に座り込み、揺れで何度となく頭をぶつけて、お尻もめちゃくちゃ痛かったし、駅についたら1年生一人だけ置いてけぼり食らいそうになるし、そうならないために必死にアピールしたせいで変な子扱いされるし、何度も湖に落ちそうになるし、階段に落ちていた泥団子みたいなので三、四回転んだ。
お陰で服はボロボロである。
あれ?今日初日だよね?
そして私の不幸は更に重なる。

「うぅーむ、君は……スリザリン!!」
「嘘だと言ってよバァァアニィィイイ!!」

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