小ネタまとめ
君を*すボクの事を見て(ぬら孫柳田)
2024/08/10 23:54その他
柳田さんがひたすらに病んでいるだけ。
……ああ、目を閉じないでほしい哉。
君が酸素を求めて、必死に藻掻く様を、ボクはこの目で見て、山ン本様の鼻で嗅いで、耳で聞かなければならないんだよ。
ああ、ああ、その顔が良い哉。
鬱血して紫色に染まる君の、その醜く歪んだ表情を、ボクはこの目に鮮明に刻んで、ボクのこの口でたくさんの人達に伝えなければならないんだよ。
圓潮も鏡斉も死んでしまったからね、ボクが山ン本様の口となり、手となって、新たな百物語を創らなければならないんだよ。
……ふふ、1度、死んだ哉?
どう哉?苦しかった哉?寂しかったの哉?
死んだ感想を、ボクに是非とも聞かせてもらいたい哉。
ボクは生憎、死んだことがないからね。
死の苦しみも、生を喪う悲しみも、それを語るにはまだ足りない。
だから、*しても死なない君の声を聞かせてもらいたい哉。
……おや、涙を流しているの哉?
どうして哉、悲しかったの?
……ああ、生理的な涙、ね。
それはそうだよね、*しても死なないとは言っても、君の痛覚は正常なんだものね。
今はもう、こんなに平然とした顔をしているものだから、本当に苦しかったのか、痛かったのか、疑いたくもなってしまう哉。
……さて、次はどんな死に方を見せてくれるの哉。
焼死、なんてどう哉?
それとも溺死は?
火か、水か、好きな方を選ぶと良い哉。
……ふぅむ、確かに、焼死では臭いが酷そうだね。
だが考えてほしい哉。
溺死だって、苦しくて苦しくて、糞尿を巻き散らかして死んでいくかも知れないだろう?
それなら火葬の方が、ボクは良いと思う哉。
……ああ、そう言えば、君はもう半月の間、何も食べていなかったのだった哉。
ならばその心配は不要哉。
考えてみれば、今首を絞めた時だって、胃液を吐いたくらいで、他には汚れることをしなかったものね。
それにしても、君は本当に良い妖怪哉。
ボクが新たに物語を産み出す糧にもなり、それでいて君自身が、終わることのない百物語の始点であるのだから。
……うふふ、自画自賛、確かにその通り哉。
君はボクが、初めてボクの手だけで創り上げた百物語。
そう取られても、おかしくない哉。
でもね、君、ボクは最近、何だかとてもおかしいのだよ。
百物語を創るために君を殺していたはずなのに、いつの間にか百物語を創るためではなく、君のその醜く歪む顔が見たくて*している、そう、思う時があるんだよ。
ボクはおかしくなってしまったの哉?
でも、君を*した、その瞬間、この柳田の頭の中に浮かんでくるたくさんの物語達が、ボクを山ン本様の耳である柳田に引き戻してくれるんだ。
……これはね、山ン本様には秘密にしておいてほしい哉。
ああ、でも、死ぬ時に目を閉じるのはやめてほしい哉。
君が死ぬその瞬間、君の光の消えた眼球に、ボクの影が映っているのを見るのが、ボクの最近の趣味、みたいでね。
女の子の目に止まって悦ぶなんて、まるで恋でもしているようだね。
もしもそうなら、本当に滑稽な話哉。
ボクは、ボクの産み出した『子』に恋をしていることになるのだから。
……それはそれで、面白い物語になるかもしれないけどね。
ああ、そうだ。
次は転落死にしよう哉。
ほら、恋は落ちるものだって、言うだろう。
君が落ちて潰れる様をボクにしっかり見せてほしい哉。
ボクが突き落とすその瞬間まで、君はしっかりと目を見開いて、君を*すボクの事を見ていてくれる哉?
『幸福を運ぶ少女』
彼女はとても不幸だった。
何故なら彼女は死を無くしてしまっていたから。
幾度となく苦しくて辛くて痛くて悲しい目に遭ってきたけれど、いつだって死ぬことが出来なくて、ただただ、嫌な感情が続くだけ。
彼女は思った。
「死ねると言うことは、なんて幸福なことなのでシょう。」
だから彼女は幸福を運ぶ。
自らの不幸を忘れるために、彼女は人に死という幸福を運びにいく。
彼女が幸福を運びに行くのは、決まって金曜日の黄昏時。
此の世と彼の世が混ざる刻、彼女は幸福を運びに現れる。
斧で切り落とす、槌で殴る、首を絞める、見付けた人を*しながら、彼女は屈託なく笑って言う。
「死というシあわせを、あなた、どうか、わたシにも、わけてください。
わたシがあなたにあげたシあわせの、そのほんの一欠片でも良いから、わたシに頂戴?
……どうシたら良いのか?簡単よ。
あなたを殺す、わたシを見ながら、ただシあわせそうに、笑ってくれれば、それで良いの。」
『君(あなた)を殺すボク(わたシ)の事を見て』
……ああ、目を閉じないでほしい哉。
君が酸素を求めて、必死に藻掻く様を、ボクはこの目で見て、山ン本様の鼻で嗅いで、耳で聞かなければならないんだよ。
ああ、ああ、その顔が良い哉。
鬱血して紫色に染まる君の、その醜く歪んだ表情を、ボクはこの目に鮮明に刻んで、ボクのこの口でたくさんの人達に伝えなければならないんだよ。
圓潮も鏡斉も死んでしまったからね、ボクが山ン本様の口となり、手となって、新たな百物語を創らなければならないんだよ。
……ふふ、1度、死んだ哉?
どう哉?苦しかった哉?寂しかったの哉?
死んだ感想を、ボクに是非とも聞かせてもらいたい哉。
ボクは生憎、死んだことがないからね。
死の苦しみも、生を喪う悲しみも、それを語るにはまだ足りない。
だから、*しても死なない君の声を聞かせてもらいたい哉。
……おや、涙を流しているの哉?
どうして哉、悲しかったの?
……ああ、生理的な涙、ね。
それはそうだよね、*しても死なないとは言っても、君の痛覚は正常なんだものね。
今はもう、こんなに平然とした顔をしているものだから、本当に苦しかったのか、痛かったのか、疑いたくもなってしまう哉。
……さて、次はどんな死に方を見せてくれるの哉。
焼死、なんてどう哉?
それとも溺死は?
火か、水か、好きな方を選ぶと良い哉。
……ふぅむ、確かに、焼死では臭いが酷そうだね。
だが考えてほしい哉。
溺死だって、苦しくて苦しくて、糞尿を巻き散らかして死んでいくかも知れないだろう?
それなら火葬の方が、ボクは良いと思う哉。
……ああ、そう言えば、君はもう半月の間、何も食べていなかったのだった哉。
ならばその心配は不要哉。
考えてみれば、今首を絞めた時だって、胃液を吐いたくらいで、他には汚れることをしなかったものね。
それにしても、君は本当に良い妖怪哉。
ボクが新たに物語を産み出す糧にもなり、それでいて君自身が、終わることのない百物語の始点であるのだから。
……うふふ、自画自賛、確かにその通り哉。
君はボクが、初めてボクの手だけで創り上げた百物語。
そう取られても、おかしくない哉。
でもね、君、ボクは最近、何だかとてもおかしいのだよ。
百物語を創るために君を殺していたはずなのに、いつの間にか百物語を創るためではなく、君のその醜く歪む顔が見たくて*している、そう、思う時があるんだよ。
ボクはおかしくなってしまったの哉?
でも、君を*した、その瞬間、この柳田の頭の中に浮かんでくるたくさんの物語達が、ボクを山ン本様の耳である柳田に引き戻してくれるんだ。
……これはね、山ン本様には秘密にしておいてほしい哉。
ああ、でも、死ぬ時に目を閉じるのはやめてほしい哉。
君が死ぬその瞬間、君の光の消えた眼球に、ボクの影が映っているのを見るのが、ボクの最近の趣味、みたいでね。
女の子の目に止まって悦ぶなんて、まるで恋でもしているようだね。
もしもそうなら、本当に滑稽な話哉。
ボクは、ボクの産み出した『子』に恋をしていることになるのだから。
……それはそれで、面白い物語になるかもしれないけどね。
ああ、そうだ。
次は転落死にしよう哉。
ほら、恋は落ちるものだって、言うだろう。
君が落ちて潰れる様をボクにしっかり見せてほしい哉。
ボクが突き落とすその瞬間まで、君はしっかりと目を見開いて、君を*すボクの事を見ていてくれる哉?
『幸福を運ぶ少女』
彼女はとても不幸だった。
何故なら彼女は死を無くしてしまっていたから。
幾度となく苦しくて辛くて痛くて悲しい目に遭ってきたけれど、いつだって死ぬことが出来なくて、ただただ、嫌な感情が続くだけ。
彼女は思った。
「死ねると言うことは、なんて幸福なことなのでシょう。」
だから彼女は幸福を運ぶ。
自らの不幸を忘れるために、彼女は人に死という幸福を運びにいく。
彼女が幸福を運びに行くのは、決まって金曜日の黄昏時。
此の世と彼の世が混ざる刻、彼女は幸福を運びに現れる。
斧で切り落とす、槌で殴る、首を絞める、見付けた人を*しながら、彼女は屈託なく笑って言う。
「死というシあわせを、あなた、どうか、わたシにも、わけてください。
わたシがあなたにあげたシあわせの、そのほんの一欠片でも良いから、わたシに頂戴?
……どうシたら良いのか?簡単よ。
あなたを殺す、わたシを見ながら、ただシあわせそうに、笑ってくれれば、それで良いの。」
『君(あなた)を殺すボク(わたシ)の事を見て』