朱と交われば
二日目、マナー対決。
しくじった者には手痛いお仕置きが与えられる今回の勝負。
しかしこの勝負もまた、カスザメは無事に勝ち残ったのであった。
「いやぁ、ビビったぜぇ。まさかあんな細かい間違いで人一人が宙を舞うことになるなんてなぁ……」
「ええ、本当に……。やはりボンゴレ、規模がまるで違いますわね」
「しかし私達にかかれば罰などないと同じ!余裕の勝利ですわ」
気付けば、好敵手達と仲良く喋っているカスザメがいた。
なんだそりゃあ。
「残りはオレ達3人だけかぁ。ふっ、決勝が楽しみじゃねぇかぁ」
「ふふん、貴方のことは嫌いではありませんが、しかし勝負となれば話は別!手加減はしませんわよ?」
「私だって、負けません!」
「いいぜぇ、悔いのない勝負にしようじゃ……あでっ!?」
かっこつけて女と話しているカスザメにムカついて、力いっぱいグラスを投げ付けた。
見事、後頭部ど真ん中に当たったグラスは、粉々に砕けて弾け飛ぶ。
くるりと振り向いたカスザメが、痛みゆえに涙目になりながらオレを睨んできた。
「何しやがるザンザス!」
「ヘラヘラしてんな、鬱陶しい」
「理不尽だなぁ、う"おい!」
理不尽でもなんでも、オレの右腕なら主の意思を汲め。
何より、次の勝負のお題は未だに発表されていない。
つまり、今からでもカスザメに不利な勝負を考えられるってことだ。
負ければオレが好いてもねぇ女と結婚しなければならないというのに、ヘラヘラしている場合じゃねぇだろ。
「チッ、まあいい。コヨーテ・ヌガー、次の勝負はなんだぁ?」
「舌打ちしたいのはこっちの方だぜ。まさかテメーみてぇながさつそうなのが、ここまで生き残るたぁな」
「御託は良い。さっさと次の勝負を発表しろ、ドカス」
「……良いだろう。次の勝負は、女子力対決。どんな手ぇ使っても良いから、ザンザスを落として……唇を奪え!」
「は……はあ"あ!?」
突き付けられた勝負のお題に、カスザメの絶叫が響く。
確かに、性別を男だと偽っているカスザメがオレとキスするなんてのは無茶苦茶なお題のように思えるが、実際の奴は女だ。
オレとしては、奴に何をされようと何とも思わない。
だが、本人的には納得がいかないようだ。
コヨーテのカスに食ってかかる。
「ふざけんなぁ!テメーそれはいくらなんでも無茶苦茶だろぉがぁ!」
「馬鹿言うなスクアーロ。これはザンザスの嫁候補を決める試合だぞ?こんな勝負があってもおかしくないだろうが。」
「そ、そんなこと言ったって……ボスの妻になるのにそんなことを競う必要はねぇよ!」
「あるな。疲れている時、無条件に心を許せて、癒してもらえる相手ってのが男には必要なんだよ。お前にゃまだわからないかもしれねぇがな」
「……く、そっ!おいザンザス‼お前も何か言ってやったらどうなんだよ‼」
「……」
すがるような目で見てくるカスザメに、目を細める。
そんな目をされたら、どうにも加虐心が芽生えてきてしまう。
思わず弛んだ口元を隠さずに、オレはカスザメに言い放った。
「面白ぇじゃねぇかカスザメ。女装でも何でもしてオレを口説いてみろ」
「な"っ!?」
「はあ‼?」
「おまっ……本気か!?」
「はっ、オレはいつでも本気だ」
もう一度言うが、実際には奴は女だ。
別に女の格好したって何ともねぇだろ。
それにオレはここにいるどいつとも深い仲になる気はねぇし、カスザメとだって男女の仲になる気なんてない。
こいつは部下、右腕、オレの下僕。
オレの婚約話をなかったことにできるかどうか、奴に求めるのはそれと……あとはオレが楽しめるかどうかだ。
「やれ」
「ぅ……でも……」
「 や れ 」
「ぅう……!わかった……!」
「いやわかんねーだろ!お前らいつもこんな感じなのか!?」
いつもじゃねぇ、オレの気が向いたときだけだ。
とにもかくにも、渋々頷いたカスザメと、他二人の決勝戦出場が決まった。
決勝戦は翌日。
日付が変わった瞬間から日付が変わる直前まで。
出場条件は女の格好をすること。
その間にオレを口説き落とした女が、オレの嫁として認められるらしい。
つまりオレが逃げ切れば勝ちってことだ。
まあ、女どもがオレの唇を奪う前に、カスザメが上手く妨害するだろうけれどな。
「では、今晩0時より、試合開始とする。XANXUS、お前は明日一日、ボンゴレ本部で寝起きしてもらうからな」
「ちっ、仕方ねぇ。カスザメ、居場所整えとけ」
「ん"……わかった……」
明らかに落ち込んでいるカスザメを無視して、のんびりと用意された部屋へ向かう。
ああ、あのカスの女装姿が見られるなんて、くそ面白そうじゃねぇか。
今から想像して、少し笑ってしまった。
しくじった者には手痛いお仕置きが与えられる今回の勝負。
しかしこの勝負もまた、カスザメは無事に勝ち残ったのであった。
「いやぁ、ビビったぜぇ。まさかあんな細かい間違いで人一人が宙を舞うことになるなんてなぁ……」
「ええ、本当に……。やはりボンゴレ、規模がまるで違いますわね」
「しかし私達にかかれば罰などないと同じ!余裕の勝利ですわ」
気付けば、好敵手達と仲良く喋っているカスザメがいた。
なんだそりゃあ。
「残りはオレ達3人だけかぁ。ふっ、決勝が楽しみじゃねぇかぁ」
「ふふん、貴方のことは嫌いではありませんが、しかし勝負となれば話は別!手加減はしませんわよ?」
「私だって、負けません!」
「いいぜぇ、悔いのない勝負にしようじゃ……あでっ!?」
かっこつけて女と話しているカスザメにムカついて、力いっぱいグラスを投げ付けた。
見事、後頭部ど真ん中に当たったグラスは、粉々に砕けて弾け飛ぶ。
くるりと振り向いたカスザメが、痛みゆえに涙目になりながらオレを睨んできた。
「何しやがるザンザス!」
「ヘラヘラしてんな、鬱陶しい」
「理不尽だなぁ、う"おい!」
理不尽でもなんでも、オレの右腕なら主の意思を汲め。
何より、次の勝負のお題は未だに発表されていない。
つまり、今からでもカスザメに不利な勝負を考えられるってことだ。
負ければオレが好いてもねぇ女と結婚しなければならないというのに、ヘラヘラしている場合じゃねぇだろ。
「チッ、まあいい。コヨーテ・ヌガー、次の勝負はなんだぁ?」
「舌打ちしたいのはこっちの方だぜ。まさかテメーみてぇながさつそうなのが、ここまで生き残るたぁな」
「御託は良い。さっさと次の勝負を発表しろ、ドカス」
「……良いだろう。次の勝負は、女子力対決。どんな手ぇ使っても良いから、ザンザスを落として……唇を奪え!」
「は……はあ"あ!?」
突き付けられた勝負のお題に、カスザメの絶叫が響く。
確かに、性別を男だと偽っているカスザメがオレとキスするなんてのは無茶苦茶なお題のように思えるが、実際の奴は女だ。
オレとしては、奴に何をされようと何とも思わない。
だが、本人的には納得がいかないようだ。
コヨーテのカスに食ってかかる。
「ふざけんなぁ!テメーそれはいくらなんでも無茶苦茶だろぉがぁ!」
「馬鹿言うなスクアーロ。これはザンザスの嫁候補を決める試合だぞ?こんな勝負があってもおかしくないだろうが。」
「そ、そんなこと言ったって……ボスの妻になるのにそんなことを競う必要はねぇよ!」
「あるな。疲れている時、無条件に心を許せて、癒してもらえる相手ってのが男には必要なんだよ。お前にゃまだわからないかもしれねぇがな」
「……く、そっ!おいザンザス‼お前も何か言ってやったらどうなんだよ‼」
「……」
すがるような目で見てくるカスザメに、目を細める。
そんな目をされたら、どうにも加虐心が芽生えてきてしまう。
思わず弛んだ口元を隠さずに、オレはカスザメに言い放った。
「面白ぇじゃねぇかカスザメ。女装でも何でもしてオレを口説いてみろ」
「な"っ!?」
「はあ‼?」
「おまっ……本気か!?」
「はっ、オレはいつでも本気だ」
もう一度言うが、実際には奴は女だ。
別に女の格好したって何ともねぇだろ。
それにオレはここにいるどいつとも深い仲になる気はねぇし、カスザメとだって男女の仲になる気なんてない。
こいつは部下、右腕、オレの下僕。
オレの婚約話をなかったことにできるかどうか、奴に求めるのはそれと……あとはオレが楽しめるかどうかだ。
「やれ」
「ぅ……でも……」
「 や れ 」
「ぅう……!わかった……!」
「いやわかんねーだろ!お前らいつもこんな感じなのか!?」
いつもじゃねぇ、オレの気が向いたときだけだ。
とにもかくにも、渋々頷いたカスザメと、他二人の決勝戦出場が決まった。
決勝戦は翌日。
日付が変わった瞬間から日付が変わる直前まで。
出場条件は女の格好をすること。
その間にオレを口説き落とした女が、オレの嫁として認められるらしい。
つまりオレが逃げ切れば勝ちってことだ。
まあ、女どもがオレの唇を奪う前に、カスザメが上手く妨害するだろうけれどな。
「では、今晩0時より、試合開始とする。XANXUS、お前は明日一日、ボンゴレ本部で寝起きしてもらうからな」
「ちっ、仕方ねぇ。カスザメ、居場所整えとけ」
「ん"……わかった……」
明らかに落ち込んでいるカスザメを無視して、のんびりと用意された部屋へ向かう。
ああ、あのカスの女装姿が見られるなんて、くそ面白そうじゃねぇか。
今から想像して、少し笑ってしまった。