ボンゴレ的クリスマス!?

「ちゃおっス、スクアーロ!
仕事を手伝いに来てやったぞ。」
「みゃっ!?」

仕事中、突然背後から掛けられた声に、スクアーロは間抜けな悲鳴を上げて椅子から飛び上がった。
振り向くと、そこには何故か小学生くらいの子供……リボーンがいて、彼らしい、如何にも何かたくらんでます、という顔で笑う。
直ぐに外から慌ただしい足音が聞こえ、部屋の中に数人の少年が飛び込んできた。

「スクアーロ!」
「んなっ!?
沢田ぁ!テメーなんでヴァリアーにいる!?」

飛び込んできたのは綱吉、獄寺、山本の並盛三人衆。
彼らの登場により、スクアーロの困惑は最高潮に達する。
XANXUS及びヴァリアーにとっての宿敵と言っても過言ではない彼らがここにいるのだから、その気持ちはよくわかるのだが、飛び込んできた綱吉達には、そんなことを考える余裕はなかった。
リボーンの声が部屋に響く。

「折角のイヴだからな。
オレ達の善意でお前の仕事を肩代わりしてやるから、お前はディーノとよろしくやって来るといいぞ。」
「悪意しか感じねぇよ!!
よろしくってなんだ……つかどこから入ったテメーらぁ!!」
「門から正々堂々と入ったぞ。」
「ごめんスクアーロ!
リボーンと獄寺君が何人か伸しちゃって……!」
「襲い掛かってくるそっちが悪いんだぞ。」
「どう考えても勝手に押し入ってきたテメーらが悪いだろうがぁ!!」

身勝手な事を言われて、スクアーロは何故か部屋を追い出される。
……窓から。

「ちょっ……何で窓から落とそうとしてる!?」
「一番近い出口だったからだぞ。」
「窓は出口じゃねぇ!
ってうぉお!?」

スクアーロが叫んで抵抗するのも虚しく、リボーンの手によって窓から落とされる。
しかしそこは腐ってもヴァリアーNo.2。
空中で体勢を立て直し、着地のために地面を見た。
そこには……

「んなぁっ!?スクアーロぉ!?」
「な……跳ね馬ぁ!?」

二人揃って悲鳴を上げる。
ディーノが慌ててスクアーロを受け止めようと身構え、空中のスクアーロは避けることも出来ずにそのままディーノの胸に足から突っ込んでいったのであった。
ドシャッという痛々しい音、ディーノの呻き声、慌てて窓の下を覗き込んだ綱吉視界に広がっていたのは、スクアーロがディーノを押し倒しているという、何とも残念な光景だった。

「チッへなちょこが……。
偶然を装って抱き付いたり尻触ったりしろよ。」

そんな光景を隣で見ていた家庭教師がそう呟くのを聞いて、綱吉は乾いた声で笑うことしか出来なかった。
普通無理だろ……むしろディーノさんよく受け止められたなあ。
綱吉の考えを知っているのか知らないのか……、リボーンは二人に命令……ではなく、善意の声を掛ける。

「二人でデートでも何でも楽しんでくるといいぞ。
ヴァリアーの仕事はオレ達が肩代わりしてやるからな。」
「ふざけんなカスがぁ!!
ザンザスに沢田の存在がバレた途端屋敷ごとカッ消されるのが落ちだぞ!」
「つーかオレは!?
キャバッローネも仕事あるんだけど!?」
「キャバッローネはお前が居なくても回るからな。」

その言葉にディーノが遠い目をする。
そんなことないと否定できないのは、良いことなのか悪いことなのか……。
いや、それだけ優秀な部下が多いということだから良いことなのだろうが。
項垂れるディーノを余所に、スクアーロは慌てて屋敷の中に戻ろうと立ち上がる。
だが彼女が駆け出すより早く、リボーンがその足元に銃弾を撃ち込んだ。

「うわっ!?」
「このオレが仕事してやるって言ってんだから、さっさとどこへでも行ってこい。」
「お前本当横暴だなおぉい!!」

銃弾を避けてスクアーロとディーノが後ずさる。
上からの狙撃で、しかも相手が最強のヒットマンと言われるリボーンでは、二人には打つ手がない。
渋々逃げ出した二人の姿が見えなくなったのを確かめ、リボーンは綱吉達に向き直って言った。

「そんじゃあ早速XANXUSの部屋に行くぞ。」
「いやだぁぁあーーー!!!!!」

綱吉の悲鳴が、ヴァリアー邸に木霊したのであった。
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