外待雨(ほまちあめ)
「お゙らよぉ!!」
スクアーロの剣が巨大鮫の腹を削る。
しかし削った腹の中からは、細く透明な糸が幾本も飛び出してくるだけで、鮫がダメージを受けた様子はない。
「チッ!ワイヤーかぁ!?」
「なあスクアーロ!こいつの攻撃、スクアーロのワイヤー術と一緒じゃねーか?」
スクアーロに迫るワイヤーを見て、オレはすぐにそう思い当たった。
何度も受けたことのある、変幻自在の攻撃。
敵の攻撃は、スクアーロが使う攻撃とよく似ていた。
「それだけテメーにとって、オレのワイヤーが脅威だったって事だろぉ!」
「は?」
「これは夢だぞぉ。敵の記憶、オレの記憶、そしてお前の記憶で構成された世界!お前の心に色濃く残った記憶が、オレ達の前に現れているってことだぁ!」
「な……マジかよ!」
自分じゃそんなに自覚なかったんだけど、やっぱりあの時の戦いのショックはでかかったみたいだ。
スクアーロに負けたこと、オレを助けてスクアーロが死にかけたこと、強い海の匂い。
それらが本来あった状態よりも、より強く存在感を醸し出しながら、オレ達の命を狙って迫ってくる。
「埒が明かねぇ!飛び込むぞ山本ぉ!!」
「飛び込むってどこっ……にぃぃい!!?」
突然、スクアーロに服の袖を捕まれたかと思うと、次の瞬間、オレの体は鮫の泳ぐ水の中へと飛び込んでいた。
続けて飛び込んできたスクアーロに引きずられるように泳いで、海面へと急ぐ。
「ぶはっ!こ……今度はどこなのな!?」
「ここは……ヴァリアーかぁ?」
水から顔を出した。
そう思った次の瞬間には、オレ達はびしょ濡れのまま障害物の何もないだだっ広いだけの部屋に立っていた。
スクアーロの言葉に周りをよく見てみれば、壁や床、天井のそこかしこに戦いの痕と思われる傷が付いている。
ヴァリアーの……訓練室、だろうか?
「じゃあ今度は、スクアーロの記憶、か?なんか、何もねーのな?」
「……そうだなぁ」
険しい顔をしたスクアーロは、苛立たしげに足を踏み出した。
スクアーロの、嫌な記憶なんだろうな。
この部屋はすごく寂しくて、静まり返った空気が恐怖心を煽ってくる。
「ん……?これ、剣か?」
「これは……」
目の前の地面に、大剣が1本、突き刺さっていた。
スクアーロが使っているやつによく似てる。
やっぱりこれ、スクアーロの夢、なのかな。
『剣を構えろよ、少年剣士』
ふと、目の前から低い声が飛んできた。
立っていたのは、背の高い30代くらいの男の人だった。
誰なのな、あれ?
「テメーは……」
『さあ、構えろ。オレ様と戦いたかったんだろう?』
「……」
無言のまま、スクアーロは刺さっていた剣を引き抜き、男に向けて真っ直ぐと構えた。
「……」
『ふっ……素晴らしい。では始めようか、スクアーロ。この剣帝が相手をしてやる』
「剣帝……?」
剣帝って……、スクアーロがヴァリアーに入る時に殺したっていう、あの?
無表情から一転、ニヤリと口を歪めた剣帝が、スクアーロに向けて飛び掛かってきた。
スクアーロの剣が巨大鮫の腹を削る。
しかし削った腹の中からは、細く透明な糸が幾本も飛び出してくるだけで、鮫がダメージを受けた様子はない。
「チッ!ワイヤーかぁ!?」
「なあスクアーロ!こいつの攻撃、スクアーロのワイヤー術と一緒じゃねーか?」
スクアーロに迫るワイヤーを見て、オレはすぐにそう思い当たった。
何度も受けたことのある、変幻自在の攻撃。
敵の攻撃は、スクアーロが使う攻撃とよく似ていた。
「それだけテメーにとって、オレのワイヤーが脅威だったって事だろぉ!」
「は?」
「これは夢だぞぉ。敵の記憶、オレの記憶、そしてお前の記憶で構成された世界!お前の心に色濃く残った記憶が、オレ達の前に現れているってことだぁ!」
「な……マジかよ!」
自分じゃそんなに自覚なかったんだけど、やっぱりあの時の戦いのショックはでかかったみたいだ。
スクアーロに負けたこと、オレを助けてスクアーロが死にかけたこと、強い海の匂い。
それらが本来あった状態よりも、より強く存在感を醸し出しながら、オレ達の命を狙って迫ってくる。
「埒が明かねぇ!飛び込むぞ山本ぉ!!」
「飛び込むってどこっ……にぃぃい!!?」
突然、スクアーロに服の袖を捕まれたかと思うと、次の瞬間、オレの体は鮫の泳ぐ水の中へと飛び込んでいた。
続けて飛び込んできたスクアーロに引きずられるように泳いで、海面へと急ぐ。
「ぶはっ!こ……今度はどこなのな!?」
「ここは……ヴァリアーかぁ?」
水から顔を出した。
そう思った次の瞬間には、オレ達はびしょ濡れのまま障害物の何もないだだっ広いだけの部屋に立っていた。
スクアーロの言葉に周りをよく見てみれば、壁や床、天井のそこかしこに戦いの痕と思われる傷が付いている。
ヴァリアーの……訓練室、だろうか?
「じゃあ今度は、スクアーロの記憶、か?なんか、何もねーのな?」
「……そうだなぁ」
険しい顔をしたスクアーロは、苛立たしげに足を踏み出した。
スクアーロの、嫌な記憶なんだろうな。
この部屋はすごく寂しくて、静まり返った空気が恐怖心を煽ってくる。
「ん……?これ、剣か?」
「これは……」
目の前の地面に、大剣が1本、突き刺さっていた。
スクアーロが使っているやつによく似てる。
やっぱりこれ、スクアーロの夢、なのかな。
『剣を構えろよ、少年剣士』
ふと、目の前から低い声が飛んできた。
立っていたのは、背の高い30代くらいの男の人だった。
誰なのな、あれ?
「テメーは……」
『さあ、構えろ。オレ様と戦いたかったんだろう?』
「……」
無言のまま、スクアーロは刺さっていた剣を引き抜き、男に向けて真っ直ぐと構えた。
「……」
『ふっ……素晴らしい。では始めようか、スクアーロ。この剣帝が相手をしてやる』
「剣帝……?」
剣帝って……、スクアーロがヴァリアーに入る時に殺したっていう、あの?
無表情から一転、ニヤリと口を歪めた剣帝が、スクアーロに向けて飛び掛かってきた。