パロシリーズ
急いでお城に向かうシンデレラとネズミのベルくん。
その頃、お城は大騒ぎになっていました。
「肉が足りねー。出せ。」
「やぁん♡良い男がた・く・さ・ん♪
どの子をお持ち帰りしようかしらぁ~?」
「ぶふっ……!妖艶な……っ!!」
机に足を乗せて、次々と肉を強請るXANXUS、会場にいる男を値踏みするように見ているルッスーリア、客の女性達を見て鼻血を出しているレヴィ……。
彼らも大変な騒ぎを起こしていましたが、一番大変な事態はそれらではありません。
「王子はどこなの!?」
「早く出しなさいよ!」
「どうして王子様がいらっしゃらないの!?」
パーティーに来た女性達が、城の者を問い詰めています。
このパーティーは王子様の結婚相手を選ぶパーティーだというのに、王子様はなかなか姿を表さないのです。
女性達はみんな、口々に騒ぎ立てています。
城の者達は、困り果てたように「もうしばらくお待ちください!」と話すばかり。
いったいどうしたと言うのでしょう。
「王子様はいつになったら来るのよ!」
「お、落ち着いてください!」
暴動でも起こるのではないのかというような騒ぎの中、城の裏口から出ていく影がありました。
真っ黒なフードつきのマントにしっかりと身を包み、その影はこそこそとドアを潜って出ていきます。
そんな影を追い掛けて、一人の少年が走ってきました。
「ちょっ……もうパーティー始まってるのにどこに行くのスクア……王子!?」
「うるせぇ、騒ぐんじゃねーぞ沢田ぁ。
見付かったら逃げられなくなるだろうがぁ。
黙ってついてこい。」
「やっぱり逃げる気ー!!」
影は王子様、後ろから追いかけてきたのは、召使いの沢田だったようです。
マントで姿を隠した王子様は、辺りを慎重に窺いながら城を出て町の方へと歩いていきます。
「ダメだよ戻らないと!
みんな怒ってるよ!?」
「オレには関係ねぇよ。
アイツらが勝手に始めた嫁探しだろぉ。
オレは出る気はない。
結婚する気もねぇ。」
「そんなこと言わないで……。」
「沢田は勝手に帰ってれば良い。」
「オレはスクアーロの召使いなんだから勝手に離れられないの!
ねぇ、早く戻ろうよ!」
「やだ、戻らない。」
召使いの言うことには耳を貸さずに、王子様は素早くお城から離れます。
「あのカスどもの言うことを聞くのももううんざりなんだぁ。
逃げて、遠くの国でのんびり暮らしてぇ。」
「き、気持ちはわかるけど……。
でももし何かあったらどうするの?
オレじゃあ守りきれないよ……!」
「そしたら自分で何とかする。
良いからお前はオレのタキシードをさっさと捨ててこい。
いつまで持ってるつもりだぁ?」
「今からでも着替えて戻れば……。」
「だから戻らねぇよ!」
召使いは手に持っていたタキシードを見詰めました。
自分では一生着ることも叶わないような高級な服。
捨てると言うのは、ちょっと勿体ないような気がします。
折角だし、取っておこう。
召使いはそう思って、タキシードを丁寧に畳んでマントの内側にしまいました。
「それより、オレの身代わりは上手くやってんだろぉなぁ?」
「ん?んー……たぶん?」
「……心配だな。」
王子様の部屋では、同じく召使いの白蘭が王子様の身代わりをしています。
今のところ追っ手が来ていないところを見ると、何とか上手くやっているようです。
王子様は不安がりながらも、召使いを信じて真っ直ぐに道を下っていきます。
そんな時です。
彼らの進む道の反対側から、一台の美しい馬車が走ってきたのです。
「わっ!わっ!危ないってベル!
いったん止めろ!!」
「しし、仕方ねーな。」
「……面倒ごとはゴメンだぁ。
無難にやり過ごすぞ。」
「わ、わかった……!」
片方は慌ただしく、片方は緊張した様子で、シンデレラと王子様は、思わぬ形で遭遇したのです。
その頃、お城は大騒ぎになっていました。
「肉が足りねー。出せ。」
「やぁん♡良い男がた・く・さ・ん♪
どの子をお持ち帰りしようかしらぁ~?」
「ぶふっ……!妖艶な……っ!!」
机に足を乗せて、次々と肉を強請るXANXUS、会場にいる男を値踏みするように見ているルッスーリア、客の女性達を見て鼻血を出しているレヴィ……。
彼らも大変な騒ぎを起こしていましたが、一番大変な事態はそれらではありません。
「王子はどこなの!?」
「早く出しなさいよ!」
「どうして王子様がいらっしゃらないの!?」
パーティーに来た女性達が、城の者を問い詰めています。
このパーティーは王子様の結婚相手を選ぶパーティーだというのに、王子様はなかなか姿を表さないのです。
女性達はみんな、口々に騒ぎ立てています。
城の者達は、困り果てたように「もうしばらくお待ちください!」と話すばかり。
いったいどうしたと言うのでしょう。
「王子様はいつになったら来るのよ!」
「お、落ち着いてください!」
暴動でも起こるのではないのかというような騒ぎの中、城の裏口から出ていく影がありました。
真っ黒なフードつきのマントにしっかりと身を包み、その影はこそこそとドアを潜って出ていきます。
そんな影を追い掛けて、一人の少年が走ってきました。
「ちょっ……もうパーティー始まってるのにどこに行くのスクア……王子!?」
「うるせぇ、騒ぐんじゃねーぞ沢田ぁ。
見付かったら逃げられなくなるだろうがぁ。
黙ってついてこい。」
「やっぱり逃げる気ー!!」
影は王子様、後ろから追いかけてきたのは、召使いの沢田だったようです。
マントで姿を隠した王子様は、辺りを慎重に窺いながら城を出て町の方へと歩いていきます。
「ダメだよ戻らないと!
みんな怒ってるよ!?」
「オレには関係ねぇよ。
アイツらが勝手に始めた嫁探しだろぉ。
オレは出る気はない。
結婚する気もねぇ。」
「そんなこと言わないで……。」
「沢田は勝手に帰ってれば良い。」
「オレはスクアーロの召使いなんだから勝手に離れられないの!
ねぇ、早く戻ろうよ!」
「やだ、戻らない。」
召使いの言うことには耳を貸さずに、王子様は素早くお城から離れます。
「あのカスどもの言うことを聞くのももううんざりなんだぁ。
逃げて、遠くの国でのんびり暮らしてぇ。」
「き、気持ちはわかるけど……。
でももし何かあったらどうするの?
オレじゃあ守りきれないよ……!」
「そしたら自分で何とかする。
良いからお前はオレのタキシードをさっさと捨ててこい。
いつまで持ってるつもりだぁ?」
「今からでも着替えて戻れば……。」
「だから戻らねぇよ!」
召使いは手に持っていたタキシードを見詰めました。
自分では一生着ることも叶わないような高級な服。
捨てると言うのは、ちょっと勿体ないような気がします。
折角だし、取っておこう。
召使いはそう思って、タキシードを丁寧に畳んでマントの内側にしまいました。
「それより、オレの身代わりは上手くやってんだろぉなぁ?」
「ん?んー……たぶん?」
「……心配だな。」
王子様の部屋では、同じく召使いの白蘭が王子様の身代わりをしています。
今のところ追っ手が来ていないところを見ると、何とか上手くやっているようです。
王子様は不安がりながらも、召使いを信じて真っ直ぐに道を下っていきます。
そんな時です。
彼らの進む道の反対側から、一台の美しい馬車が走ってきたのです。
「わっ!わっ!危ないってベル!
いったん止めろ!!」
「しし、仕方ねーな。」
「……面倒ごとはゴメンだぁ。
無難にやり過ごすぞ。」
「わ、わかった……!」
片方は慌ただしく、片方は緊張した様子で、シンデレラと王子様は、思わぬ形で遭遇したのです。