パロシリーズ
【童話パロシリーズ・シンデレラ】
昔々、あるところにとても美しい男の娘がおりました。
「馬の次は女役かよ……!」
「文句行ってるとカッ消すぞ。」
「お前が継母かよXANXUS!?」
彼女はとても美しく、心の優しい娘でしたが、彼女の継母と、二人の義理のお姉さんは、毎日娘をいじめます。
「やだぁ~!
ここもここもここも、埃がいっぱい残ってるじゃな~い!」
「全部綺麗にするまでは飯は抜きだからな!
さっさと働け!」
「わ、わかったよ!
つーかここ、女一人もいねーじゃねーか!」
ルッスお義姉さんとレヴィお義姉さんは、ゴツい体をドレスに押し込んで毎日お洒落をしています。
娘はいつも、それを羨ましそうに見ていることしか出来ません。
「いやいや、羨ましくねーよ。
オレあんな奇抜な格好したくねーもん。」
「しし、そう言わずにドレスでも何でも着てろっての。」
「べ、ベルフェゴール……お前ネズミ役かよ……!」
「しし、うるせーっての。
王子は何やっても似合うから、仕方なくやってやってるだけだし。」
彼女の友達は、屋根裏に住むネズミのベルだけです。
毎日埃まみれになって働く彼女を、お義姉さん達はこう呼びます。
「ちょっとシンデレラ!
あんたまたお鍋焦がしたの!?」
「ご、ごめんなさい……。」
「まったく!毎度毎度いい加減にしろ!
だからお前はシンデレラなんだ!」
灰かぶり、という意味の『シンデレラ』というあだ名で呼ばれる度に、娘は悲しい思いをしていました。
「いい加減、そろそろ本名で呼んでもらいてぇよな……。」
「本名……『へなちょこ』?」
「違うからな!?」
ベルはシンデレラを励まそうと、いつもおかしなことを言ってくれます。
シンデレラはため息を吐いて、空を見上げます。
「毎日毎日、こき遣われて、オレって可哀想……。
きっと明日も、お城の食べ放題に連れてってくれねーんだろうなー。」
そう、明日は年に一度のお城での舞踏会があるのです。
しかも今年は、王子様の結婚相手を見付けるという噂もあり、街の女の子達は皆浮き足立っていたのです。
シンデレラもまた例外ではありません。
「鳥の丸焼きとか、美味しい魚とか、でっかいケーキとか、いっぱいあるんだろうなー。
オレも行きてーな、食べ放題。」
「しし、色気より食い気かよ。
でも王子も行きてー。
王子ならお城にいるのが当たり前だろー?」
ですが翌日、お城に行く支度をしている継母とお義姉さん達は、シンデレラにいつものように雑用を言い付けました。
「塵1つでも残したらカッ消すぞ。」
「お洗濯ものお願いねぇ~♪」
「食器もきちんと洗っておけ。」
「えー……。
オレもお城行きてーんだけど……。」
「全部終わらせたら来ても良いわよん♡
……って言っても、着ていく服もないと思うけど。」
ふふん、と鼻で笑ったお義姉さんに、シンデレラは何も言い返せませんでした。
確かに、シンデレラには綺麗な服の1つもありません。
「あーあ……結局こんな感じかぁ……。」
「しし、良いんじゃね?
どうせ城って言ったって王子の城よりショボいんだろうし。」
落ち込むシンデレラを、ベル君が優しく励ましてくれます。
しかし突然、二人の耳に見知らぬ声が飛び込んできました。
「ムム、君達、お城に行きたいのかい?」
「だ、誰だ!?」
「ししっ!そこ!」
声の聞こえた方に向けて、ベル君は思いっきり食事用のナイフを投げ付けます。
その先からは、ムギャッ!?という悲鳴が聞こえてきました。
どうやら誰かが隠れているようです。
「ちょっと!いきなり何するの!?」
「なんだよ、マーモンじゃん。」
「違うよ、僕は魔法使いさ。」
そう、部屋の隅に隠れていたのは、魔法使いだったのです。
彼は毎日一生懸命、埃まみれになって働くシンデレラを憐れみ、彼女にプレゼントをあげようと、ここまで来てくれたのです。
「ぷ、ぷれぜんと……?」
「ム、簡単なことさ。
君にドレスと、城へ向かう馬車を貸してあげるだけのこと。
今回は特別にタダでね。」
魔法使いが手に持ったステッキを振ると、シンデレラの着ていたボロボロの服は一瞬で美しいドレスに変わり、煤で汚れた靴は透き通るガラスの靴に、そして近くにあったカボチャは馬車に、ベル君は馭者に変わってしまったのです。
「ほら、さっさと城に行きなよ。」
「何でかわかんねーけどありがと!
タダでありがとう!!」
「しし、珍しいこともあるんだな。
明日はナイフでも降るんじゃねーの?」
「ム、あんまりもたもたしてるとその魔法解いちゃうよ。」
マーモンに言われて、二人は慌てて馬車を走らせます。
「あ、そうだ。
その魔法は十二時の鐘が鳴り終わる頃に解けてしまうからね。」
「そういう大事なことは早く言えよ!」
お城では既に舞踏会が始まっています。
二人はお城の暖かな灯りを目指して、馬車を急がせるのでした。
昔々、あるところにとても美しい男の娘がおりました。
「馬の次は女役かよ……!」
「文句行ってるとカッ消すぞ。」
「お前が継母かよXANXUS!?」
彼女はとても美しく、心の優しい娘でしたが、彼女の継母と、二人の義理のお姉さんは、毎日娘をいじめます。
「やだぁ~!
ここもここもここも、埃がいっぱい残ってるじゃな~い!」
「全部綺麗にするまでは飯は抜きだからな!
さっさと働け!」
「わ、わかったよ!
つーかここ、女一人もいねーじゃねーか!」
ルッスお義姉さんとレヴィお義姉さんは、ゴツい体をドレスに押し込んで毎日お洒落をしています。
娘はいつも、それを羨ましそうに見ていることしか出来ません。
「いやいや、羨ましくねーよ。
オレあんな奇抜な格好したくねーもん。」
「しし、そう言わずにドレスでも何でも着てろっての。」
「べ、ベルフェゴール……お前ネズミ役かよ……!」
「しし、うるせーっての。
王子は何やっても似合うから、仕方なくやってやってるだけだし。」
彼女の友達は、屋根裏に住むネズミのベルだけです。
毎日埃まみれになって働く彼女を、お義姉さん達はこう呼びます。
「ちょっとシンデレラ!
あんたまたお鍋焦がしたの!?」
「ご、ごめんなさい……。」
「まったく!毎度毎度いい加減にしろ!
だからお前はシンデレラなんだ!」
灰かぶり、という意味の『シンデレラ』というあだ名で呼ばれる度に、娘は悲しい思いをしていました。
「いい加減、そろそろ本名で呼んでもらいてぇよな……。」
「本名……『へなちょこ』?」
「違うからな!?」
ベルはシンデレラを励まそうと、いつもおかしなことを言ってくれます。
シンデレラはため息を吐いて、空を見上げます。
「毎日毎日、こき遣われて、オレって可哀想……。
きっと明日も、お城の食べ放題に連れてってくれねーんだろうなー。」
そう、明日は年に一度のお城での舞踏会があるのです。
しかも今年は、王子様の結婚相手を見付けるという噂もあり、街の女の子達は皆浮き足立っていたのです。
シンデレラもまた例外ではありません。
「鳥の丸焼きとか、美味しい魚とか、でっかいケーキとか、いっぱいあるんだろうなー。
オレも行きてーな、食べ放題。」
「しし、色気より食い気かよ。
でも王子も行きてー。
王子ならお城にいるのが当たり前だろー?」
ですが翌日、お城に行く支度をしている継母とお義姉さん達は、シンデレラにいつものように雑用を言い付けました。
「塵1つでも残したらカッ消すぞ。」
「お洗濯ものお願いねぇ~♪」
「食器もきちんと洗っておけ。」
「えー……。
オレもお城行きてーんだけど……。」
「全部終わらせたら来ても良いわよん♡
……って言っても、着ていく服もないと思うけど。」
ふふん、と鼻で笑ったお義姉さんに、シンデレラは何も言い返せませんでした。
確かに、シンデレラには綺麗な服の1つもありません。
「あーあ……結局こんな感じかぁ……。」
「しし、良いんじゃね?
どうせ城って言ったって王子の城よりショボいんだろうし。」
落ち込むシンデレラを、ベル君が優しく励ましてくれます。
しかし突然、二人の耳に見知らぬ声が飛び込んできました。
「ムム、君達、お城に行きたいのかい?」
「だ、誰だ!?」
「ししっ!そこ!」
声の聞こえた方に向けて、ベル君は思いっきり食事用のナイフを投げ付けます。
その先からは、ムギャッ!?という悲鳴が聞こえてきました。
どうやら誰かが隠れているようです。
「ちょっと!いきなり何するの!?」
「なんだよ、マーモンじゃん。」
「違うよ、僕は魔法使いさ。」
そう、部屋の隅に隠れていたのは、魔法使いだったのです。
彼は毎日一生懸命、埃まみれになって働くシンデレラを憐れみ、彼女にプレゼントをあげようと、ここまで来てくれたのです。
「ぷ、ぷれぜんと……?」
「ム、簡単なことさ。
君にドレスと、城へ向かう馬車を貸してあげるだけのこと。
今回は特別にタダでね。」
魔法使いが手に持ったステッキを振ると、シンデレラの着ていたボロボロの服は一瞬で美しいドレスに変わり、煤で汚れた靴は透き通るガラスの靴に、そして近くにあったカボチャは馬車に、ベル君は馭者に変わってしまったのです。
「ほら、さっさと城に行きなよ。」
「何でかわかんねーけどありがと!
タダでありがとう!!」
「しし、珍しいこともあるんだな。
明日はナイフでも降るんじゃねーの?」
「ム、あんまりもたもたしてるとその魔法解いちゃうよ。」
マーモンに言われて、二人は慌てて馬車を走らせます。
「あ、そうだ。
その魔法は十二時の鐘が鳴り終わる頃に解けてしまうからね。」
「そういう大事なことは早く言えよ!」
お城では既に舞踏会が始まっています。
二人はお城の暖かな灯りを目指して、馬車を急がせるのでした。