パロシリーズ

~童話パロ・美女と野獣~



むかしむかし、あるところに、とても美しい女が……

「ゔお゙ぉい!野郎共ぉ!!
オレについてきなぁ!!」
「イェァァアアアア!!!!」
「Here we go !!!!!!」
「Ya-ha!!!!!!!」

……むかしむかし、あるところに、とても美しく、しかしとても男らしい女がおりました。
名前はスクアーロと言います。
どこぞの奥州筆頭独眼竜のように大量の部下を従え、町中を駆け回る彼女でしたが、悪を許さず弱きを助ける事を信条としている彼女は、みんなから慕われておりました。
そんな彼女には、優しいお父さんと……。

「くるぁ!この不良娘!!
風呂の温度が温すぎんだよ!!」
「うるせぇクソ親父!!
テメーの温度感覚が狂ってんだよカス!」

仲の悪い家光お父さんが。
そして心優しい二人の姉が……。

「スクちゃーん、マシマロまだ~?」
「いや、もう夕飯の時間だからね!?
あとマシマロじゃなくてマシュマロ!!
というかオレ達女役!?」

胡散臭い長女白蘭とツッコミ上手な次女綱吉がおりました。
ある日、仕事で遠い町にいくお父さんに、長女がおねだりしました。

「お父さ~ん♪
僕、地方限定のマシマロ買ってきて欲しいな~♪」
「あ、じゃあオレは今日発売のゲームが欲しいな。」
「ったく、なんでオレが白蘭の分まで!」
「「だって父娘だから。」」
「そうだよ父娘だよ!
しかたねーから、お前の分も買ってきてやらぁ!」

お父さんは珍しく優しさを発揮して、スクアーロにも訊ねます。
しかし、スクアーロには、特に欲しいものはありませんでした。
でもせっかくなので、何か買ってきてもらおうと考えます。

「……じゃあ、食卓に飾る、バラの花でも買ってきてくれよ。」
「あん?そんなので良いのか?
欲がねぇなぁオメーはよー。」
「綺麗なもん買ってこないと、そのバラ、テメーの鼻の穴に突き刺してやるからなぁ。」
「ほんっっっと可愛げがねぇなテメーは!!」

お父さんはプンプンと怒りながら、馬に乗って遠くの町へと向かいます。

「おら、ちゃんと走れよ跳ね馬。」
「え?え?オレ王子様役じゃねぇの!?
馬?まさかのちょい役!?」
「そういうプレイが好きなんだろ?」
「好きじゃねーよ!!
オレ野獣が良い!
スクアーロと野獣王子さm……」
「良いからさっさと仕事に行けやカス!!」
「はいぃ!!」

お調子者の跳ね馬、思いの外、馬のコスプレが似合っています。
馬車……人力車にお父さんを乗せて、道を走っていくのを見送り、スクアーロは今日も、町の若い衆を引き連れて駆け回るのでした。
しかしその夜遅く、お父さんと跳ね馬が、真っ青な顔をして帰ってきたのです。

「おいヤベーぞ!何がヤバいかって言うとなんかとにかくヤベーぞ!」
「お前ヤバい以外に言うことあるだろぉ。」
「そうだよ!父さんもディーノさんも怪我とかないの……」
「『ただいま』はどうしたぁ!」
「そこ?」

末っ子スクアーロは、二人にただいまと言わせると、手を洗わせて、うがいもさせます。
そして二人を食卓へと上げると、お鍋に入ったスープを温めなおします。

「ったく、テメーらが遅いせいでせっかくの食事が冷めちまったじゃねぇかぁ。
今スープ温めてやるから待ってろぉ。」
「あ、ありがとう……じゃねぇよ!
お母さんかお前は!!」
「大変なんだよスクアーロ!
実はカクカクシカジカで!!」
「な、なんだと!?
森で迷った時に見付けたお城で綺麗なバラを摘み取ろうとしたら獣の顔をした男に襲われかけて娘を一人連れてくるように脅されたぁ!?」
「ええええ!!今のでわかったの!?」
「カクカクシカジカ、しかいってなかったよね♪」
「バラ取ろうとしただけで娘を差し出せたぁ、随分と太ぇ野郎じゃねぇかぁ!
任せろぉ、オレがそんなカスをぶっ潰して来てやる。」
「スクアーロやる気だし!」
「むしろ殺る気じゃないかな♪
気を付けてねスクちゃん!
はい、マシマロ。
道中のおやつにすると良いよ♪」
「白蘭もいつの間に準備整えてるのーっ!?」

さて、お父さんと跳ね馬を襲った恐ろしい野獣の話を聞いたスクアーロは、悪は討つべしと殺る気満々です。
白蘭から荷物を受け取り、家族に向けて片手を上げると、跳ね馬の首根っこを掴んで玄関を出ます。

「じゃあパッと行って、サッと帰ってくるぜぇ。」
「気を付けてねスクアーロ!」
「マシマロちゃんと食べてね!」
「スープの火ちゃんと止めたのか?」
「ちょっと待って!
これオレも行く感じか!?」
「当たり前だろぉがカス馬。
野獣の野郎の城まで、お前が連れていけ。」

威圧感たっぷりにそう言ったスクアーロに、跳ね馬はガタガタと震えています。
しかし彼も男、女の子を一人で危ない場所に行かせるつもりは、端からありません。

「よっしゃ任せろ!
こうなったらオレがナイトとしてお前の事を守り抜いてやるぜ!」
「うるせぇ、良いからさっさと車出せ。」
「いや、ここはオレがお前をお姫様抱っこで……。」
「死にたいのかぁ?」
「ごめんごめんって!
謝るからヒールで踏まないで!」

二人が仲良く出発していくのを、家族は涙ながらに見送ります。

「黄色いハンカチ下げておく?」
「それどこの昭和?
スクアーロ達大丈夫かなぁ。」
「お、スープうめぇなぁ。
ツナ、また腕上げたな。」
「それ作ったのスクアーロだからね?
スクアーロが帰ってこなかったら、オレ達、朝ごはんも作れないからね。」
「なに!?」

さてさて、野獣を狩りに行った二人はどうなってしまうのか。
そして残された生活力のない3人はどうなってしまうのか。
次回に続く!
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