君の隣が
3月13日、その日はオレ達にとってとても大事な日である。
『ピーという発信音のあとにお名前、ご用件をお話しください。』
「スクアーロー!オレですディーノです!誕生日おめでとう……って留守番電話にしか繋がらない!!」
3月13日、現在時刻は夕方3時を少し回ったところである。
今日1日、スクアーロに会うために、色々な場所を訪ね回っていた。
ヴァリアー本部、ボンゴレ本部、彼女の行きつけのカフェ、チェデフ本部、友人の仕事場、その他諸々、様々な場所を巡って、さらに何度も電話を掛けてもいるのに、まったく接触できない。
というか、接触できないのはオレだけではないらしい。
「隊長……!今年もまたどこに行ってしまわれたんですか……ぅう……。」
「んもー!折角の誕生日なのに毎年どこ行っちゃうのかしら?」
「えー!スクちゃんいないの?
僕、マシマロいっぱい持ってきたのにー!」
と、まあこんな感じで、オレ以外にも色んな人が、彼女の事を心配している訳なのだが、残念ながら今のところ、誰も彼女を見付けられていない。
そして、オレが訪ねた何人かの話。
「ああ?カスザメなら今日は有給だ。
オレが居場所なんざ知るか。
カッ消すぞ。」
「スクちゃん?
あの子なら、毎年この日は一人で過ごしてるのよ。
理由?……まあ、予想はつくけど。
お祝いしたいなら、明日以降ね。」
「今日は、あの子にとって特別な日ですからねぇ……。」
と、こんな感じ。
話を聞いて、オレは……いや、オレ達は、ある場所に向かったのであった。
* * *
「車がある……。
やはりここか。」
「ししし、なんだよあいつ、毎年こんなとこに来てたのかよ。」
「あら……、まあ気持ちはわからなくはないけど……、水臭いわねぇ。」
「やだなぁスクちゃん、誕生日なのに辛気臭いんだからぁ。」
「おい……おい!
なんでお前らもここにいるんだよ!?」
「しし、ケチ臭いこと言うなよ跳ね馬。」
「水臭い、辛気臭い、ケチ臭い……ふっ、3つ揃ったな。」
「レヴィうるさいわよ。」
「揃って何が起こるの?」
話を聞きに行った時は一人だったのに、スクアーロを迎えに行くとなった途端、一気に人数が増えた。
良いとこ取りかよ!ズルいだろ!
オレが調べたのに!
何故かオレに着いてきたのは、ヴァリアーのベルフェゴール、ルッスーリア、レヴィ、そしてミルフィオーレの白蘭……いや、白蘭はマジでなんでここにいるのかわからねぇ。
「まあまあ、落ち着けよボス。
そんだけアイツが色んな人間に慕われてるって事だろう。」
「ロマーリオ……。」
「そーだよディーノクン♪
それだけスクちゃんが色んな人に狙われてるって事だよ!」
「マジか!マジだ!ここ男しかいねぇ!!」
「ちょっとぉ!誰が男よ!!」
「ばっ……!オレは別にそんなことなどこれっぽっちも考えていない!」
「しし、嘘つけムッツリオヤジ。」
右腕の言葉に、ちょっと落ち着きかけたけど、その後の白蘭の言葉に、オレはつい叫んでしまう。
万が一って事は、ないと思うけど、それでもコイツらより早くスクアーロを見付けたくて、オレは門をくぐった。
オレ達が来たのは、スクアーロの生家で、ちょっと懐かしく感じる道を歩きながら、キョロキョロと周りを見回す。
「ねー、どこにいるんだろうね?」
「庭のどこか、じゃないかしら。」
「ししし、誰が一番早く見付けられるのか、勝負しよーぜ。」
「オレはそんな面倒なことは……」
「自信ねーなら降りていいぜチョロ髭。」
「誰がチョロ髭だダメ王子!」
「まあ、勝負はともかく、この広さなら分かれて探した方が良いだろうな。」
「じゃー僕こっち行くね♪」
広大な庭を前にして、オレ達はちょっと戸惑う。
この中のどこにいるのかまではわからない。
結果、それぞれバラバラになって探すことになった。
オレは何となく心当たりがあって、目的を持って歩き出した。
向かった先は、小さな庭園。
「……やっぱり、ここにいたんだな。」
「……跳ね馬ぁ?
お前、なんでここに……?」
「バーカ、お前と全然連絡とれねーから、苦労して探したんだよ。」
「……すまん。」
庭園の端に、ぼんやりと立っていたのは、上から下まで真っ黒な服を着たスクアーロで、オレを見た彼女は、眉を下げて申し訳なさげに謝る。
「……で、ずっとここにいたのか?」
「あ゙あ、命日でもねぇと、こんなところ誰も来ねぇだろ。」
目を細めて空を見上げた、スクアーロの横顔を見る。
少し寂しそうな顔だった。
3月13日、その日はスクアーロの誕生日で、そして、彼女の母親の命日である。
『ピーという発信音のあとにお名前、ご用件をお話しください。』
「スクアーロー!オレですディーノです!誕生日おめでとう……って留守番電話にしか繋がらない!!」
3月13日、現在時刻は夕方3時を少し回ったところである。
今日1日、スクアーロに会うために、色々な場所を訪ね回っていた。
ヴァリアー本部、ボンゴレ本部、彼女の行きつけのカフェ、チェデフ本部、友人の仕事場、その他諸々、様々な場所を巡って、さらに何度も電話を掛けてもいるのに、まったく接触できない。
というか、接触できないのはオレだけではないらしい。
「隊長……!今年もまたどこに行ってしまわれたんですか……ぅう……。」
「んもー!折角の誕生日なのに毎年どこ行っちゃうのかしら?」
「えー!スクちゃんいないの?
僕、マシマロいっぱい持ってきたのにー!」
と、まあこんな感じで、オレ以外にも色んな人が、彼女の事を心配している訳なのだが、残念ながら今のところ、誰も彼女を見付けられていない。
そして、オレが訪ねた何人かの話。
「ああ?カスザメなら今日は有給だ。
オレが居場所なんざ知るか。
カッ消すぞ。」
「スクちゃん?
あの子なら、毎年この日は一人で過ごしてるのよ。
理由?……まあ、予想はつくけど。
お祝いしたいなら、明日以降ね。」
「今日は、あの子にとって特別な日ですからねぇ……。」
と、こんな感じ。
話を聞いて、オレは……いや、オレ達は、ある場所に向かったのであった。
* * *
「車がある……。
やはりここか。」
「ししし、なんだよあいつ、毎年こんなとこに来てたのかよ。」
「あら……、まあ気持ちはわからなくはないけど……、水臭いわねぇ。」
「やだなぁスクちゃん、誕生日なのに辛気臭いんだからぁ。」
「おい……おい!
なんでお前らもここにいるんだよ!?」
「しし、ケチ臭いこと言うなよ跳ね馬。」
「水臭い、辛気臭い、ケチ臭い……ふっ、3つ揃ったな。」
「レヴィうるさいわよ。」
「揃って何が起こるの?」
話を聞きに行った時は一人だったのに、スクアーロを迎えに行くとなった途端、一気に人数が増えた。
良いとこ取りかよ!ズルいだろ!
オレが調べたのに!
何故かオレに着いてきたのは、ヴァリアーのベルフェゴール、ルッスーリア、レヴィ、そしてミルフィオーレの白蘭……いや、白蘭はマジでなんでここにいるのかわからねぇ。
「まあまあ、落ち着けよボス。
そんだけアイツが色んな人間に慕われてるって事だろう。」
「ロマーリオ……。」
「そーだよディーノクン♪
それだけスクちゃんが色んな人に狙われてるって事だよ!」
「マジか!マジだ!ここ男しかいねぇ!!」
「ちょっとぉ!誰が男よ!!」
「ばっ……!オレは別にそんなことなどこれっぽっちも考えていない!」
「しし、嘘つけムッツリオヤジ。」
右腕の言葉に、ちょっと落ち着きかけたけど、その後の白蘭の言葉に、オレはつい叫んでしまう。
万が一って事は、ないと思うけど、それでもコイツらより早くスクアーロを見付けたくて、オレは門をくぐった。
オレ達が来たのは、スクアーロの生家で、ちょっと懐かしく感じる道を歩きながら、キョロキョロと周りを見回す。
「ねー、どこにいるんだろうね?」
「庭のどこか、じゃないかしら。」
「ししし、誰が一番早く見付けられるのか、勝負しよーぜ。」
「オレはそんな面倒なことは……」
「自信ねーなら降りていいぜチョロ髭。」
「誰がチョロ髭だダメ王子!」
「まあ、勝負はともかく、この広さなら分かれて探した方が良いだろうな。」
「じゃー僕こっち行くね♪」
広大な庭を前にして、オレ達はちょっと戸惑う。
この中のどこにいるのかまではわからない。
結果、それぞれバラバラになって探すことになった。
オレは何となく心当たりがあって、目的を持って歩き出した。
向かった先は、小さな庭園。
「……やっぱり、ここにいたんだな。」
「……跳ね馬ぁ?
お前、なんでここに……?」
「バーカ、お前と全然連絡とれねーから、苦労して探したんだよ。」
「……すまん。」
庭園の端に、ぼんやりと立っていたのは、上から下まで真っ黒な服を着たスクアーロで、オレを見た彼女は、眉を下げて申し訳なさげに謝る。
「……で、ずっとここにいたのか?」
「あ゙あ、命日でもねぇと、こんなところ誰も来ねぇだろ。」
目を細めて空を見上げた、スクアーロの横顔を見る。
少し寂しそうな顔だった。
3月13日、その日はスクアーロの誕生日で、そして、彼女の母親の命日である。