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神は死んだ?ならば私が神になる。
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部室の掃除は終わった。
本も全て棚に入れ終わり、黒子君の向かいの席に座った私は、彼の読んでいる本をとっくりと観察する。
『マジック大全。』
『人の目を欺く方法』
『気配が薄いということ』
……同系統の本が揃っているけれど、何か探しているのかしら。
「黒子君、何か探しているの?」
「え?ああ……、実は……。」
彼の言ったことを要約すると、私の言った通り、自分と向き合い、自分の特技を探してみることにしたということ。
そして、つい先日、同学年で一軍入りしたチームメイトに会い、ヒントをもらったこと。
そして今、「影が薄い」ということをバスケで活かせないか考えているのだという。
「なるほどね。
影の薄さを活かして戦う……。
それが出来たら凄いことね……。」
「はい。
でも、なかなか良い案が思い浮かばなくて……。」
「それで、本から答えを探そうとしていたのね。」
なるほど、それならこの本のチョイスも頷ける。
「影の薄さを、うまく活かせるでしょうか……。」
「不安?」
「……はい、今まで、考えてもみないことでしたから。」
「そう……。
黒子君、あなた、新撰組は知っている?」
「え?知ってますけど……。」
突然、突飛な方向に飛んでいった話に、黒子君が困惑しているのがわかったけれど、影の薄さが活かせることを説明するのは、この話が良いと思ったのよ。
仕方がないじゃない。
「燃えよ剣、なんかが有名よね。
新撰組で一番強い人は、黒子君は誰だと思うかしら?」
「そう、ですね……。
やはり沖田総司でしょうか。」
「そう。
沖田の名を挙げる人は多いでしょうね。
そして近藤や、土方を挙げる人も、きっと多いのでしょう。
でも私は、彼らではないと思うの。」
「……誰なんですか?」
「山崎丞よ。
彼がいなければ池田屋も他の任務も、成功はし得なかった。
彼の凄いところはね、気付かれずに敵の懐に入り込むところよ。
思わない?気付かない内に、敵が自分の真後ろに迫ってきていたらって。
とっても恐ろしいでしょう?
あなたの影の薄さも、そういう風に活かせないかしら?」
「僕の影の薄さを、ですか?」
「例えば気付かない内に敵ボールを奪うとか、気付かない内に現れてパスカットをするとか。
それってきっととても怖いことじゃないかしら。」
「確かに……、そうなったら恐ろしいですね。」
納得して頷いた黒子君に、私は『マジック大全』と少し離れたところに置いてあった『視線誘導』という本を渡す。
「これは?」
「完璧に姿を消す、というのは難しいと思うけど、相手の死角を作ることなら可能のはずよ。
その技術を習得するにはこの本が良いと思うわ。」
例えばマジックで、片手を高く掲げて注目させ、その隙にもう片方の手でタネを仕込むという技術は有名だ。
視線誘導(ミスディレクション)技術。
といっても、素人には至難の技であろう。
成功するかどうかもわからない。
試すか試さないかは、黒子君次第である。
「……この本、お借りしても良いですか?」
「勿論、構わないわ。
じっくり読んでみて。」
「ありがとうございます……!」
それではさっそく帰って読むことにします、なんて言って、黒子君は出ていってしまった。
……ここで読んでも良かったのに。
とは言っても、あと30分もすれば下校時刻。
カップを洗ったり、窓を閉めたりしたらすぐに経ってしまうわね……。
一緒に帰れたら良かったんだけど、彼もテンション上がってたみたいだし。
今日は大人しく帰ることにしましょう。
そして私は、心の中で黒子君に声援を送ってみる。
当たって砕けろ!ただし当社は責任を負いません、みたいな?
まあ、失敗したら私がしっかり慰めてあげるくらいはしても良いわよ。
本も全て棚に入れ終わり、黒子君の向かいの席に座った私は、彼の読んでいる本をとっくりと観察する。
『マジック大全。』
『人の目を欺く方法』
『気配が薄いということ』
……同系統の本が揃っているけれど、何か探しているのかしら。
「黒子君、何か探しているの?」
「え?ああ……、実は……。」
彼の言ったことを要約すると、私の言った通り、自分と向き合い、自分の特技を探してみることにしたということ。
そして、つい先日、同学年で一軍入りしたチームメイトに会い、ヒントをもらったこと。
そして今、「影が薄い」ということをバスケで活かせないか考えているのだという。
「なるほどね。
影の薄さを活かして戦う……。
それが出来たら凄いことね……。」
「はい。
でも、なかなか良い案が思い浮かばなくて……。」
「それで、本から答えを探そうとしていたのね。」
なるほど、それならこの本のチョイスも頷ける。
「影の薄さを、うまく活かせるでしょうか……。」
「不安?」
「……はい、今まで、考えてもみないことでしたから。」
「そう……。
黒子君、あなた、新撰組は知っている?」
「え?知ってますけど……。」
突然、突飛な方向に飛んでいった話に、黒子君が困惑しているのがわかったけれど、影の薄さが活かせることを説明するのは、この話が良いと思ったのよ。
仕方がないじゃない。
「燃えよ剣、なんかが有名よね。
新撰組で一番強い人は、黒子君は誰だと思うかしら?」
「そう、ですね……。
やはり沖田総司でしょうか。」
「そう。
沖田の名を挙げる人は多いでしょうね。
そして近藤や、土方を挙げる人も、きっと多いのでしょう。
でも私は、彼らではないと思うの。」
「……誰なんですか?」
「山崎丞よ。
彼がいなければ池田屋も他の任務も、成功はし得なかった。
彼の凄いところはね、気付かれずに敵の懐に入り込むところよ。
思わない?気付かない内に、敵が自分の真後ろに迫ってきていたらって。
とっても恐ろしいでしょう?
あなたの影の薄さも、そういう風に活かせないかしら?」
「僕の影の薄さを、ですか?」
「例えば気付かない内に敵ボールを奪うとか、気付かない内に現れてパスカットをするとか。
それってきっととても怖いことじゃないかしら。」
「確かに……、そうなったら恐ろしいですね。」
納得して頷いた黒子君に、私は『マジック大全』と少し離れたところに置いてあった『視線誘導』という本を渡す。
「これは?」
「完璧に姿を消す、というのは難しいと思うけど、相手の死角を作ることなら可能のはずよ。
その技術を習得するにはこの本が良いと思うわ。」
例えばマジックで、片手を高く掲げて注目させ、その隙にもう片方の手でタネを仕込むという技術は有名だ。
視線誘導(ミスディレクション)技術。
といっても、素人には至難の技であろう。
成功するかどうかもわからない。
試すか試さないかは、黒子君次第である。
「……この本、お借りしても良いですか?」
「勿論、構わないわ。
じっくり読んでみて。」
「ありがとうございます……!」
それではさっそく帰って読むことにします、なんて言って、黒子君は出ていってしまった。
……ここで読んでも良かったのに。
とは言っても、あと30分もすれば下校時刻。
カップを洗ったり、窓を閉めたりしたらすぐに経ってしまうわね……。
一緒に帰れたら良かったんだけど、彼もテンション上がってたみたいだし。
今日は大人しく帰ることにしましょう。
そして私は、心の中で黒子君に声援を送ってみる。
当たって砕けろ!ただし当社は責任を負いません、みたいな?
まあ、失敗したら私がしっかり慰めてあげるくらいはしても良いわよ。