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雨降って地固まる。しかし固いものほど崩れやすい。
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「今日は家で休んでなさい!」
と、伊達先生にそう言われてしまい、私は仕方なしに家のベッドで休んでいる。
今日は蘇芳瑠璃子の事を調べて、黒子君と桃井さんに報告しようと思っていたのに、風邪で倒れるなんて、私としたことが不覚……。
もちろん彼らにはお詫びのメールを送ったけれど、蘇芳瑠璃子という女の事で、1日でも動きが遅れるのは、痛手だった。
あの女の事は一刻も早く片付けたかったのに。
5分に1通、携帯に届くワンちゃんからの補習の報告メールに目を通しながら、私はゴロンとベッドの上を転がった。
「暇だわ。すごく暇。」
ベッドに寝ているだけ、ってこんなに暇なことだったのね。
普段はキビキビ動き回っている質の私には耐え難い。
「……。
よし、パソコンつけよう。」
熱はもうないし、体だってだいぶ軽くなったもの、ちょっと動いたって平気よね。
自分に言い訳をしながら、机の前に座った私は、早速パソコンを立ち上げて操作する。
あの蘇芳って人の事、しっかり調べないと。
あ、パソコンで調べる過程はあれよ、ちょっと、……ゴニョゴニョ、だから、飛ばすわよ。
* * *
「蘇芳瑠璃子、大企業SUOHの社長令嬢。
……でも、どうして?
この子、おかしい、おかしいわ。」
蘇芳瑠璃子、彼女の記録はほとんどない。
コンピューターは結構得意分野で、情報収集も好きなんだけど、何故か、彼女の情報は全くと言って良いほどに集まらなかった。
精々集まった情報と言えば、学校の裏サイトとかでの噂とか、本当に表面的な情報くらい。
成績優秀、眉目秀麗、老若男女を魅了するその美しさは、天使にも例えられる……。
確かに、彼女は美しい。
だが絶対におかしいわ。
彼女には、この学校に入るよりも前の記録がまるでない。
そりゃあ、私の調べが足りない可能性だってあるけれど、でもこれだけ調べても全く情報が出てこないなんて異常だ。
例え相手が社長令嬢でも、この情報社会において、生まれてきてから十数年の情報が全く出てこないなんてバカな話はない。
しかも帝光へ編入してきた後の情報はしっかりと存在している。
「……。」
私は先程から鳴り続けている携帯を手に取り、何十件と溜まっている着信履歴の相手に電話を掛けた。
「……もしもし、ワンちゃん?」
「ふわぁっへい!蛍さんっすかぁ!?」
「黙って五月蝿いわよ。
良い?今からメール送るから、そこに書かれてる人間を尾行して。
その人間について、どんなことでも良いから私に報告して。」
「ワン!」
「良いのは返事だけじゃ無いことを祈っているわ。
もし相手にバレたり巻かれたりしたら鼻の穴から熱湯流し込むわよ。」
「せ、成功したら……」
「ご褒美に鼻の穴から氷水を流し込むわ。」
「あざっす!火傷しないぜ!」
「ポジティブで良いわね、ワンちゃん。」
電話を切って、メールを送り、伸びをする。
疲れた……。
気が付けばもう日も暮れかけている。
溜まっていた着信履歴とメールを確認しながら、欠伸を噛み殺した。
あ、伊達先生からメール。
……後で来るから大人しくしてろって……、本当にお人好しなのね。
「あら?桃井さんからも?」
ワンちゃんのメールに紛れて、桃井さんのメールが来ていた。
話したいことと聞いてほしい愚痴があるから会えないかってメール。
あ、良かった。
来たのはつい数分前だ。
了承と家の住所を書いたメールを送り、彼らを出迎えるために少し部屋を片付ける……、と言っても一人じゃそこまで散らかしたりしないし、片すところもほとんどなかったけど。
「じゃあ、先生と桃井さんが来る……ワンちゃんが来ないようにしておこう。
メールメール……。」
家には来るな、とメールして、ソファーに座ったところで、今日の夕飯どうしよう、と思い至る。
……お腹減ってないし食べなくても良いか。
二人が来るまで暇で、ソファーに転がってのんびりしながら待つ。
来たらすぐにお茶が出せるようにしてあるし、暇。
で、数十分後、本を読んでいた私の耳に、インターホンの音が届いた。
「はい。」
『おー多々良ー。伊達先生だぞー。』
「……今開けます。」
なんか、ウザかった。
でも外に放っておく訳にもいかないから、仕方なく扉を開けた。
「ちーっす、ちゃんと寝てたか多々良ー?」
「多々良さん!
突然押し掛けてごめんね?」
「蛍さーん!
オレ仕事してきたっす!
誉めてください!」
「僕まで突然押し掛けてきてしまってすみません多々良さん。」
「……。」
私は取り合えず扉を閉めた。
1度深呼吸をして、もう一度開ける。
目の前には変わらず四人の人が立っている。
「……え?」
「いやぁ、学校で二人を拾ってなぁ!
そんでここら辺まで車で来たらワンコ君がいたから一緒に来ちゃったんだよね。」
「ごめんなさい、僕は遠慮しようかと思ったんですけど。
多々良さんのお見舞いがてら、と言うことで来てしまいました。」
「オレは!直接報告したかったんで!」
「……取り合えず、入ってもらえるかしら?
こんなところでは、なんだし。」
「オレ紅茶な。ミルクいれて。」
「入る前から注文しないでください。」
予想外に大人数が訪れて動揺する。
そしてちゃっかり黒子君がいる。
表面上は冷静を保つように努めているけど、心の中は大混乱である。
なんでどうしてなぜ黒子君が来てるの!?
あとワンちゃんはなんで来たの!!
あと伊達先生はなんで我が物顔でソファーに座っているの!?
「……あの、紅茶です。」
「サンキュー。」
「ありがとうございます。」
「わぁ、良い香り!」
「あ、オレの分が……ある……!」
全員に座るように言って(ただしワンちゃんは床よ)、紅茶を出す。
……誰の話から聞けば良いのかしら?
困って伊達先生を見ると、先生はへらっと笑って言った。
「お前家だとお団子とかしてるんだなー。
ガッコでもその髪型すれば良いのにな。」
「そうじゃないでしょう。
先生は用事がないなら帰ってくださいよ。」
「あるって用事くらい!
5人分の飯を買ってきたから食おうぜ!」
「それもなんか違うと思います。
ご飯を置いて帰ってください。」
「それだけじゃねぇって!
お前熱引いたの?
あと、お前ら集まって、何か企んでんの?」
……ああ、そう言えば先生には何も話してなかったんだったっけ。
桃井さんと黒子君を見る。
二人が頷いたのを確認して、私は先日あった蘇芳瑠璃子の事件について先生に話したのだった。
と、伊達先生にそう言われてしまい、私は仕方なしに家のベッドで休んでいる。
今日は蘇芳瑠璃子の事を調べて、黒子君と桃井さんに報告しようと思っていたのに、風邪で倒れるなんて、私としたことが不覚……。
もちろん彼らにはお詫びのメールを送ったけれど、蘇芳瑠璃子という女の事で、1日でも動きが遅れるのは、痛手だった。
あの女の事は一刻も早く片付けたかったのに。
5分に1通、携帯に届くワンちゃんからの補習の報告メールに目を通しながら、私はゴロンとベッドの上を転がった。
「暇だわ。すごく暇。」
ベッドに寝ているだけ、ってこんなに暇なことだったのね。
普段はキビキビ動き回っている質の私には耐え難い。
「……。
よし、パソコンつけよう。」
熱はもうないし、体だってだいぶ軽くなったもの、ちょっと動いたって平気よね。
自分に言い訳をしながら、机の前に座った私は、早速パソコンを立ち上げて操作する。
あの蘇芳って人の事、しっかり調べないと。
あ、パソコンで調べる過程はあれよ、ちょっと、……ゴニョゴニョ、だから、飛ばすわよ。
* * *
「蘇芳瑠璃子、大企業SUOHの社長令嬢。
……でも、どうして?
この子、おかしい、おかしいわ。」
蘇芳瑠璃子、彼女の記録はほとんどない。
コンピューターは結構得意分野で、情報収集も好きなんだけど、何故か、彼女の情報は全くと言って良いほどに集まらなかった。
精々集まった情報と言えば、学校の裏サイトとかでの噂とか、本当に表面的な情報くらい。
成績優秀、眉目秀麗、老若男女を魅了するその美しさは、天使にも例えられる……。
確かに、彼女は美しい。
だが絶対におかしいわ。
彼女には、この学校に入るよりも前の記録がまるでない。
そりゃあ、私の調べが足りない可能性だってあるけれど、でもこれだけ調べても全く情報が出てこないなんて異常だ。
例え相手が社長令嬢でも、この情報社会において、生まれてきてから十数年の情報が全く出てこないなんてバカな話はない。
しかも帝光へ編入してきた後の情報はしっかりと存在している。
「……。」
私は先程から鳴り続けている携帯を手に取り、何十件と溜まっている着信履歴の相手に電話を掛けた。
「……もしもし、ワンちゃん?」
「ふわぁっへい!蛍さんっすかぁ!?」
「黙って五月蝿いわよ。
良い?今からメール送るから、そこに書かれてる人間を尾行して。
その人間について、どんなことでも良いから私に報告して。」
「ワン!」
「良いのは返事だけじゃ無いことを祈っているわ。
もし相手にバレたり巻かれたりしたら鼻の穴から熱湯流し込むわよ。」
「せ、成功したら……」
「ご褒美に鼻の穴から氷水を流し込むわ。」
「あざっす!火傷しないぜ!」
「ポジティブで良いわね、ワンちゃん。」
電話を切って、メールを送り、伸びをする。
疲れた……。
気が付けばもう日も暮れかけている。
溜まっていた着信履歴とメールを確認しながら、欠伸を噛み殺した。
あ、伊達先生からメール。
……後で来るから大人しくしてろって……、本当にお人好しなのね。
「あら?桃井さんからも?」
ワンちゃんのメールに紛れて、桃井さんのメールが来ていた。
話したいことと聞いてほしい愚痴があるから会えないかってメール。
あ、良かった。
来たのはつい数分前だ。
了承と家の住所を書いたメールを送り、彼らを出迎えるために少し部屋を片付ける……、と言っても一人じゃそこまで散らかしたりしないし、片すところもほとんどなかったけど。
「じゃあ、先生と桃井さんが来る……ワンちゃんが来ないようにしておこう。
メールメール……。」
家には来るな、とメールして、ソファーに座ったところで、今日の夕飯どうしよう、と思い至る。
……お腹減ってないし食べなくても良いか。
二人が来るまで暇で、ソファーに転がってのんびりしながら待つ。
来たらすぐにお茶が出せるようにしてあるし、暇。
で、数十分後、本を読んでいた私の耳に、インターホンの音が届いた。
「はい。」
『おー多々良ー。伊達先生だぞー。』
「……今開けます。」
なんか、ウザかった。
でも外に放っておく訳にもいかないから、仕方なく扉を開けた。
「ちーっす、ちゃんと寝てたか多々良ー?」
「多々良さん!
突然押し掛けてごめんね?」
「蛍さーん!
オレ仕事してきたっす!
誉めてください!」
「僕まで突然押し掛けてきてしまってすみません多々良さん。」
「……。」
私は取り合えず扉を閉めた。
1度深呼吸をして、もう一度開ける。
目の前には変わらず四人の人が立っている。
「……え?」
「いやぁ、学校で二人を拾ってなぁ!
そんでここら辺まで車で来たらワンコ君がいたから一緒に来ちゃったんだよね。」
「ごめんなさい、僕は遠慮しようかと思ったんですけど。
多々良さんのお見舞いがてら、と言うことで来てしまいました。」
「オレは!直接報告したかったんで!」
「……取り合えず、入ってもらえるかしら?
こんなところでは、なんだし。」
「オレ紅茶な。ミルクいれて。」
「入る前から注文しないでください。」
予想外に大人数が訪れて動揺する。
そしてちゃっかり黒子君がいる。
表面上は冷静を保つように努めているけど、心の中は大混乱である。
なんでどうしてなぜ黒子君が来てるの!?
あとワンちゃんはなんで来たの!!
あと伊達先生はなんで我が物顔でソファーに座っているの!?
「……あの、紅茶です。」
「サンキュー。」
「ありがとうございます。」
「わぁ、良い香り!」
「あ、オレの分が……ある……!」
全員に座るように言って(ただしワンちゃんは床よ)、紅茶を出す。
……誰の話から聞けば良いのかしら?
困って伊達先生を見ると、先生はへらっと笑って言った。
「お前家だとお団子とかしてるんだなー。
ガッコでもその髪型すれば良いのにな。」
「そうじゃないでしょう。
先生は用事がないなら帰ってくださいよ。」
「あるって用事くらい!
5人分の飯を買ってきたから食おうぜ!」
「それもなんか違うと思います。
ご飯を置いて帰ってください。」
「それだけじゃねぇって!
お前熱引いたの?
あと、お前ら集まって、何か企んでんの?」
……ああ、そう言えば先生には何も話してなかったんだったっけ。
桃井さんと黒子君を見る。
二人が頷いたのを確認して、私は先日あった蘇芳瑠璃子の事件について先生に話したのだった。