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to be or not to be:生も死も今は大した問題じゃない
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「えっと、じゃあなに?
多々良はうっかり部室で寝ちまって、黒子は忘れ物を取りに来たら寝てる多々良に気付いて風邪を引かないようにブレザーかけてやったまでは良かったが自分も眠たくなっちまってうっかり寝ちまったのか?」
「はい。」
「で、起きた多々良が黒子を起こそうとしたら寝惚けた黒子が手を引っ張ったせいで二人してこけたところにオレが来たと?」
「ご、めんなさい……。
私が、全部、悪いです……。」
「いや、二人とも悪いから。
部室で寝ちゃダメだからね。」
「僕が起こしていれば良かったんですよね。
気持ち良さそうに寝ていたから、つい……。
ごめんなさい。」
「……。
あのさ、多々良ちゃん?
いい加減オレの背中から離れてくんない?」
「……む、ムリです。」
私は、まだダメージが抜けきらず、赤い顔を見せたくなくて先生の背中に引っ付いている。
事情を聞き終わり、少し呆れ顔をしている先生は、とりあえずもう遅いから送ってく、と言って、背中に私を引っ付けたままに学校の戸締まりをしに歩き出した。
「多々良ちゃんよぅ。
何がそんなに恥ずかしいわけ?」
「だっ、だって、すごい、近くて、黒子君の、匂いがした……から!」
「ねぇ、どうしちゃったのマジで!?
こんな女の子な多々良先生知らない!!
お前まさか偽者か!!」
「そんなわけないじゃない、バカ!!」
「それ全部黒子にやれよっ!!
可愛いから大丈夫っ!!」
「セクハラ!!バカ!!」
「わかったからもう離れようなっ!?
なんか調子狂うしさぁ!」
「……。」
仕方なく離れて、でも顔はまだ赤いと思うから、俯いて先生の二、三歩後ろを歩いた。
「でもなー、現実にこんなToLOVEる的なことってあるもんなんだなぁ!!」
「……また、悪いこと、しちゃいました。」
「むしろ男子的には嬉しいんじゃないか?」
「先生みたいな人と一緒にしないでください、バカ。」
「なあ、お前その『バカ』って言うの、癖かなんかなわけ?
オレすごい生きてるのが虚しく感じられてきたんだけど。」
「変態教師。」
「そっちはね、もっと傷付くし変な誤解が生まれそうな気がする。」
傷付く、とか言うくせに、ヘラヘラ笑ってる先生に怪訝そうな目を向ける。
すると、予期せずして先生が振り向いて、私は驚いて顔を伏せた。
「まあ多々良も元に戻ってきたし!
黒子だって別に怒ってなんかいねぇから、いつも通りシャキッとしてろよな。」
「先生なんかに言われずとも、シャキッとします。
でも、まだ、顔赤いです。
恥ずかしい、です。」
「えー?何々見してみ?」
「触るな変態教師。潰すぞ。」
「何をっ!?」
じりっと身構えて威嚇の姿勢をとると、先生は5歩くらい下がってブルブル震え始めた。
失礼な……。
「……寒くなってきましたし、帰りましょう。
黒子君も置き去りだし。」
「お?それもそうだな。
戸締りも済んだし、さっさとけーるべ。」
お互い身構えてるのがバカらしく思えて、溜め息をつきながらクルリと方向を変えて部室の方に戻る。
後から先生もついてきて、横に並ぶ。
私の顔を覗き込んだ先生が驚いたような顔をして言った。
「ホントに顔赤いなぁ。」
「……見ないでください。」
「良いではないか良いではないかぁ!
近う寄りたまえ~!!」
「うわっ……!」
「え!?本気で引くなよ、先生傷付いた!!」
ウザい……。
先生は無視して部室に戻り、赤い顔は隠して黒子君に平謝りした。
その後もなんだか顔を合わせづらいまま、黒子君の家についた。
「あの……多々良さん。
今日は申し訳ありませんでした。」
「わ、私の方が悪いんだからあなたが謝る必要ないわ!
本当にごめんなさいっ。」
「ま、お互い気を付けるんだな!!
じゃーな黒子。」
「はい、ありがとうございました先生。」
先生に頭を下げたあと、黒子君はちょっと迷うような素振りをしてから、また口を開いた。
「多々良さん、僕、怒ってませんよ?」
「……え?」
「怒ってませんし、むしろ申し訳ないです。
嫌でしたよね、突然手を引っ張られたりしたら。」
「そ、そんなことない!!
……あ、その、嫌とかじゃなくて、吃驚したけれど、それだけだから、気にしないで、ほしいわ……。」
「……良かったです。
嫌われたんじゃないかって、思ってました。」
「え?なんで?」
「だって、男の人に突然引っ張られたりしたら嫌でしょう?」
「……そうかも、しれないけど。」
黒子君は、別。
なんて、言えるわけもなく。
俯いてただ、ありがとうと言った。
怒ってるかもしれないって、ずっと恐かったから。
怒ってないと言ってくれて、嬉しかった。
「多々良さんがずっと不安そうな顔してましたし、この間も、その事を心配していたので。
あんまり自分を、責めないでくださいね、多々良さん。」
黄瀬涼太が、部室に来たときのこと、かしら。
確か私は、怒ってない?ってきいたんだっけ?
「じゃあ、また明日、会いましょうね。」
「また明日ね、黒子君。」
挨拶したと同時に車の窓が閉まって、車が動き出した。
「かぁ~っ!!甘酸っぱいねぇ少年少女!!
黒子の方も結構脈ありなんじゃあねーの?」
「バカ言わないでください、猥褻教師。」
「どんどんオレのあだ名が卑猥になってくる。
やめてくれ頼むから。」
「ふん。」
冷やかすのを更に冷たく返す。
窓ガラスにつけたおでこが、しんと冷やされて、気持ちよかった。
「にしても、お前みたいな隙無さそうな奴が居眠りとか、珍しいな。」
「……朝、早かったから、疲れてたんですよ、きっと。」
「そんなお眠な多々良も目覚める朗報だ!
実は6月の文化祭に文芸部も出ないかってお誘いが来てるんだよー。
どうよ多々良ちゃん。
なんか出し物してみねぇ?」
「出し物?」
信号で車を止めた先生が、鞄からプリントを取り出して見せ付ける。
文化祭、そうか、もうそんな時期だったか。
プリントを受け取って眺める。
でも……文字が霞んで、頭に入ってこない。
「あ?お前また顔赤くないか?」
「……先生、寒い。」
「寒い?今日はむしろ暖かいだろ。」
「寒い。」
「だぁ!?お前脚を椅子の上に上げるな!!
パンツ見えるぞバカ!!」
「寒い……。」
スゴく、寒い。
カタカタと震える腕を抱いて、体を丸めて、少しでも暖かくなれと体を擦る。
車が止まったのを振動で理解する。
隣から伸びてきた手が、額に触れた。
「うわっ、お前熱あるじゃねーか!?」
「っ……。」
先生の手はひんやりと冷たくて、心地好い。
擦り寄ると、力強く頭を撫でてくれた。
「おい、病院行くぞ!!」
「や、です。」
「あに言ってんだドアホ!!」
「いや、なんです。」
「嫌でも行くんだよ!!
気持ち悪かったら言えよな!!」
ぐんっと体が引っ張られるような感じと共に、車が走り出す。
完全に意識を失う直前、車の横に濃い瑠璃色が見えた。
瑠璃……ルリ……ルリ、子?
そうだ、蘇芳瑠璃子の素性、調べなきゃ。
思いとは裏腹に、私の意識は暗闇の中に吸い込まれていった。
多々良はうっかり部室で寝ちまって、黒子は忘れ物を取りに来たら寝てる多々良に気付いて風邪を引かないようにブレザーかけてやったまでは良かったが自分も眠たくなっちまってうっかり寝ちまったのか?」
「はい。」
「で、起きた多々良が黒子を起こそうとしたら寝惚けた黒子が手を引っ張ったせいで二人してこけたところにオレが来たと?」
「ご、めんなさい……。
私が、全部、悪いです……。」
「いや、二人とも悪いから。
部室で寝ちゃダメだからね。」
「僕が起こしていれば良かったんですよね。
気持ち良さそうに寝ていたから、つい……。
ごめんなさい。」
「……。
あのさ、多々良ちゃん?
いい加減オレの背中から離れてくんない?」
「……む、ムリです。」
私は、まだダメージが抜けきらず、赤い顔を見せたくなくて先生の背中に引っ付いている。
事情を聞き終わり、少し呆れ顔をしている先生は、とりあえずもう遅いから送ってく、と言って、背中に私を引っ付けたままに学校の戸締まりをしに歩き出した。
「多々良ちゃんよぅ。
何がそんなに恥ずかしいわけ?」
「だっ、だって、すごい、近くて、黒子君の、匂いがした……から!」
「ねぇ、どうしちゃったのマジで!?
こんな女の子な多々良先生知らない!!
お前まさか偽者か!!」
「そんなわけないじゃない、バカ!!」
「それ全部黒子にやれよっ!!
可愛いから大丈夫っ!!」
「セクハラ!!バカ!!」
「わかったからもう離れようなっ!?
なんか調子狂うしさぁ!」
「……。」
仕方なく離れて、でも顔はまだ赤いと思うから、俯いて先生の二、三歩後ろを歩いた。
「でもなー、現実にこんなToLOVEる的なことってあるもんなんだなぁ!!」
「……また、悪いこと、しちゃいました。」
「むしろ男子的には嬉しいんじゃないか?」
「先生みたいな人と一緒にしないでください、バカ。」
「なあ、お前その『バカ』って言うの、癖かなんかなわけ?
オレすごい生きてるのが虚しく感じられてきたんだけど。」
「変態教師。」
「そっちはね、もっと傷付くし変な誤解が生まれそうな気がする。」
傷付く、とか言うくせに、ヘラヘラ笑ってる先生に怪訝そうな目を向ける。
すると、予期せずして先生が振り向いて、私は驚いて顔を伏せた。
「まあ多々良も元に戻ってきたし!
黒子だって別に怒ってなんかいねぇから、いつも通りシャキッとしてろよな。」
「先生なんかに言われずとも、シャキッとします。
でも、まだ、顔赤いです。
恥ずかしい、です。」
「えー?何々見してみ?」
「触るな変態教師。潰すぞ。」
「何をっ!?」
じりっと身構えて威嚇の姿勢をとると、先生は5歩くらい下がってブルブル震え始めた。
失礼な……。
「……寒くなってきましたし、帰りましょう。
黒子君も置き去りだし。」
「お?それもそうだな。
戸締りも済んだし、さっさとけーるべ。」
お互い身構えてるのがバカらしく思えて、溜め息をつきながらクルリと方向を変えて部室の方に戻る。
後から先生もついてきて、横に並ぶ。
私の顔を覗き込んだ先生が驚いたような顔をして言った。
「ホントに顔赤いなぁ。」
「……見ないでください。」
「良いではないか良いではないかぁ!
近う寄りたまえ~!!」
「うわっ……!」
「え!?本気で引くなよ、先生傷付いた!!」
ウザい……。
先生は無視して部室に戻り、赤い顔は隠して黒子君に平謝りした。
その後もなんだか顔を合わせづらいまま、黒子君の家についた。
「あの……多々良さん。
今日は申し訳ありませんでした。」
「わ、私の方が悪いんだからあなたが謝る必要ないわ!
本当にごめんなさいっ。」
「ま、お互い気を付けるんだな!!
じゃーな黒子。」
「はい、ありがとうございました先生。」
先生に頭を下げたあと、黒子君はちょっと迷うような素振りをしてから、また口を開いた。
「多々良さん、僕、怒ってませんよ?」
「……え?」
「怒ってませんし、むしろ申し訳ないです。
嫌でしたよね、突然手を引っ張られたりしたら。」
「そ、そんなことない!!
……あ、その、嫌とかじゃなくて、吃驚したけれど、それだけだから、気にしないで、ほしいわ……。」
「……良かったです。
嫌われたんじゃないかって、思ってました。」
「え?なんで?」
「だって、男の人に突然引っ張られたりしたら嫌でしょう?」
「……そうかも、しれないけど。」
黒子君は、別。
なんて、言えるわけもなく。
俯いてただ、ありがとうと言った。
怒ってるかもしれないって、ずっと恐かったから。
怒ってないと言ってくれて、嬉しかった。
「多々良さんがずっと不安そうな顔してましたし、この間も、その事を心配していたので。
あんまり自分を、責めないでくださいね、多々良さん。」
黄瀬涼太が、部室に来たときのこと、かしら。
確か私は、怒ってない?ってきいたんだっけ?
「じゃあ、また明日、会いましょうね。」
「また明日ね、黒子君。」
挨拶したと同時に車の窓が閉まって、車が動き出した。
「かぁ~っ!!甘酸っぱいねぇ少年少女!!
黒子の方も結構脈ありなんじゃあねーの?」
「バカ言わないでください、猥褻教師。」
「どんどんオレのあだ名が卑猥になってくる。
やめてくれ頼むから。」
「ふん。」
冷やかすのを更に冷たく返す。
窓ガラスにつけたおでこが、しんと冷やされて、気持ちよかった。
「にしても、お前みたいな隙無さそうな奴が居眠りとか、珍しいな。」
「……朝、早かったから、疲れてたんですよ、きっと。」
「そんなお眠な多々良も目覚める朗報だ!
実は6月の文化祭に文芸部も出ないかってお誘いが来てるんだよー。
どうよ多々良ちゃん。
なんか出し物してみねぇ?」
「出し物?」
信号で車を止めた先生が、鞄からプリントを取り出して見せ付ける。
文化祭、そうか、もうそんな時期だったか。
プリントを受け取って眺める。
でも……文字が霞んで、頭に入ってこない。
「あ?お前また顔赤くないか?」
「……先生、寒い。」
「寒い?今日はむしろ暖かいだろ。」
「寒い。」
「だぁ!?お前脚を椅子の上に上げるな!!
パンツ見えるぞバカ!!」
「寒い……。」
スゴく、寒い。
カタカタと震える腕を抱いて、体を丸めて、少しでも暖かくなれと体を擦る。
車が止まったのを振動で理解する。
隣から伸びてきた手が、額に触れた。
「うわっ、お前熱あるじゃねーか!?」
「っ……。」
先生の手はひんやりと冷たくて、心地好い。
擦り寄ると、力強く頭を撫でてくれた。
「おい、病院行くぞ!!」
「や、です。」
「あに言ってんだドアホ!!」
「いや、なんです。」
「嫌でも行くんだよ!!
気持ち悪かったら言えよな!!」
ぐんっと体が引っ張られるような感じと共に、車が走り出す。
完全に意識を失う直前、車の横に濃い瑠璃色が見えた。
瑠璃……ルリ……ルリ、子?
そうだ、蘇芳瑠璃子の素性、調べなきゃ。
思いとは裏腹に、私の意識は暗闇の中に吸い込まれていった。