夢主のお名前設定
to be or not to be:生も死も今は大した問題じゃない
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……『テツくん』ね。」
出ていった二人を見送り、トンッ、と机に寄りかかって額に手を当てた。
二人一緒に来て、仲良さげに呼んでいて、それで二人一緒に帰っていって……。
「付き合ってる……のかな。」
イスに体を沈めて、腕を抱く。
桃井さん……、美人で、スタイル良くて、力強くて、明るくて可愛くて……。
私とはまるで真逆の人よね。
そりゃあ、男の子にだってモテるわよね。
黒子君だって、きっと彼女のこと、好きなんだろうなぁ……。
別に、黒子君と桃井さんが付き合ってたとしても、私がどうこう言う権利はないけれど、少しだけ、胸の奥が痛かった。
「二人が恋人同士なら、私は近くにいない方が、良いわよね……。」
だって、私が近くにいたって、迷惑以外の何者でもないもんね?
「嫌なこと、知っちゃったわね……。」
上靴を脱いで椅子の上に膝を抱えて座った。
きゅっとスカートの裾を掴んで、腕に顔を押し付けた。
部屋に射し込む夕焼けの真っ赤な光が、私の横顔を鋭く刺すようだった。
* * *
「ん……?」
部屋が薄暗くて、肌寒い。
ああ、椅子に蹲ったまま寝てしまったんだ。
腕をほどいて、立ち上がろうとしたところで、体に白い布がかけられていることに気付いた。
白い布……いや、これは……制服のブレザー?
なんでブレザーが?
私はちゃんとブレザー着てるから、寝ながら脱いで掛けたってことはないと思う。
戸惑いながら、顔をあげると、視界に想像もしてなかった光景が飛び込んできた。
「く、黒子……くん?」
「……。」
パイプ椅子に座って、机に突っ伏している人物は特徴的な水色の髪の毛をしていて、一目で誰だか判別できた。
慌てて姿勢を正して(今さらとか言わないでよね)、駆け寄ったけど、机にうつ伏せる黒子君からは穏やかな寝息が聞こえてきていた。
「寝てる……?」
恐る恐る手を伸ばして、頭に触れる。
軽く叩いて、名前を呼んでも反応がなくて、肩を揺すってみると、かすかに呻きながらこちらに顔を向けた。
「黒子君……?」
「……多々良、さん?」
起こしてしまったみたい……。
肩に掛けていた手が、行き場を失い、宙をさ迷う。
寝顔、ちょっと見たかったのだけれど、残念。
「……どうして、ここにいるの?」
「……。」
寝惚けているのか、目を擦って起き上がった彼は、キョロキョロと辺りを見回すと、中途半端な位置で動きを止めた私の手に目を止めた。
黒子君の手が、私の手を掴んで……つ、掴んで!?
「え、黒子君……ええっ!?」
なんで突然、手を!?
慌てて挙動不審になる私とは対照的に、黒子君は表情を変えぬままに、掴んだ手をぐいっと引っ張った。
「きゃっ……!!」
「……。」
バランスを崩した私は、足が縺れて黒子君の方に倒れそうになる。
まずい……!!
咄嗟に黒子君の肩に手をついて完璧に倒れ込むことを防ぐ。
さすが私!……なんて思う間もなく、黒子君の座った椅子がぐらりと傾いで倒れていく。
そのまま私たちも縺れ合うようにして倒れていって……。
「……あれ?」
「あっ……!!」
大きな音を立てて、椅子ごと倒れ込んだ私たち。
黒子君はようやく意識がハッキリしたのか、目をパチクリさせて私と、自分が掴んでいる私の手を見比べている。
私は、片方の手だけで体重を支えることに失敗し、黒子君の肩に顔を突っ込んでいる。
その上、右脚は黒子君の脇腹の横に。
もう片脚は投げ出すようになってしまっていて、スカートが、捲れてて……!
「あの、どうして……え?」
「……っ!!こ、これはっ、違くて……!!」
何が違うの!?
混乱のあまりに頭が真っ白になってしまって、言葉が勝手に滑り落ちていく。
お、落ち着くの!落ち着くのよ私!!
し、深呼吸をしてっ、どうすれば良いかを考えるのよっ!
すぅっと吸い込んだ空気が少し汗の臭い混じりで、目の前にいるのが黒子君だと再認識してしまった途端、またパニックに陥る。
どうしよう……!どうしよう……!!
焦りすぎて泣きそうになる。
そして焦りながらもなんとか体を起こすことに成功した私の耳に、パタパタという音が飛び込んでくる。
段々近くなってくる音、そして……、ドアの目の前でその音が止まったかと思うと、次の瞬間、無造作にドアが開けられた。
「おーい、もう下校時刻過ぎてるぞー!
いつまで残って……、っはあ!?」
「だ、だて、せんせ……!」
ドアからひょこりと顔を出したのは物音を聞いて駆け付けたと思しき伊達先生で、その顔が私たちを見た瞬間に驚愕と困惑に支配されたのを見て、私は、堪えられなくなった。
「ふ、ぅ……ぅえっ。」
「え!?多々良!?
お前なにして……んの?
え、泣いてる?」
「……っ!!」
飛び起きた私は、黒子君から逃げるように伊達先生の背中に隠れた。
は、恥ずかしくてっ、黒子君に顔向けできないっ……!!
だが隠れて蹲った私を見て、ハッとした伊達先生は、何を思ったのか、黒子君を睨んで怒鳴った。
「黒子おまっ……、何したんだ!?」
「え?……え!?」
「しらばっくれてんじゃねーぞ!!
なんか多々良が泣いてるっぽいぞ!?
マジで何した!?」
「な、なにもしていないはず、です……!」
私が正気を取り戻すまでの5分間、二人は途方に暮れたように意味のない問答を繰り返していたという。
出ていった二人を見送り、トンッ、と机に寄りかかって額に手を当てた。
二人一緒に来て、仲良さげに呼んでいて、それで二人一緒に帰っていって……。
「付き合ってる……のかな。」
イスに体を沈めて、腕を抱く。
桃井さん……、美人で、スタイル良くて、力強くて、明るくて可愛くて……。
私とはまるで真逆の人よね。
そりゃあ、男の子にだってモテるわよね。
黒子君だって、きっと彼女のこと、好きなんだろうなぁ……。
別に、黒子君と桃井さんが付き合ってたとしても、私がどうこう言う権利はないけれど、少しだけ、胸の奥が痛かった。
「二人が恋人同士なら、私は近くにいない方が、良いわよね……。」
だって、私が近くにいたって、迷惑以外の何者でもないもんね?
「嫌なこと、知っちゃったわね……。」
上靴を脱いで椅子の上に膝を抱えて座った。
きゅっとスカートの裾を掴んで、腕に顔を押し付けた。
部屋に射し込む夕焼けの真っ赤な光が、私の横顔を鋭く刺すようだった。
* * *
「ん……?」
部屋が薄暗くて、肌寒い。
ああ、椅子に蹲ったまま寝てしまったんだ。
腕をほどいて、立ち上がろうとしたところで、体に白い布がかけられていることに気付いた。
白い布……いや、これは……制服のブレザー?
なんでブレザーが?
私はちゃんとブレザー着てるから、寝ながら脱いで掛けたってことはないと思う。
戸惑いながら、顔をあげると、視界に想像もしてなかった光景が飛び込んできた。
「く、黒子……くん?」
「……。」
パイプ椅子に座って、机に突っ伏している人物は特徴的な水色の髪の毛をしていて、一目で誰だか判別できた。
慌てて姿勢を正して(今さらとか言わないでよね)、駆け寄ったけど、机にうつ伏せる黒子君からは穏やかな寝息が聞こえてきていた。
「寝てる……?」
恐る恐る手を伸ばして、頭に触れる。
軽く叩いて、名前を呼んでも反応がなくて、肩を揺すってみると、かすかに呻きながらこちらに顔を向けた。
「黒子君……?」
「……多々良、さん?」
起こしてしまったみたい……。
肩に掛けていた手が、行き場を失い、宙をさ迷う。
寝顔、ちょっと見たかったのだけれど、残念。
「……どうして、ここにいるの?」
「……。」
寝惚けているのか、目を擦って起き上がった彼は、キョロキョロと辺りを見回すと、中途半端な位置で動きを止めた私の手に目を止めた。
黒子君の手が、私の手を掴んで……つ、掴んで!?
「え、黒子君……ええっ!?」
なんで突然、手を!?
慌てて挙動不審になる私とは対照的に、黒子君は表情を変えぬままに、掴んだ手をぐいっと引っ張った。
「きゃっ……!!」
「……。」
バランスを崩した私は、足が縺れて黒子君の方に倒れそうになる。
まずい……!!
咄嗟に黒子君の肩に手をついて完璧に倒れ込むことを防ぐ。
さすが私!……なんて思う間もなく、黒子君の座った椅子がぐらりと傾いで倒れていく。
そのまま私たちも縺れ合うようにして倒れていって……。
「……あれ?」
「あっ……!!」
大きな音を立てて、椅子ごと倒れ込んだ私たち。
黒子君はようやく意識がハッキリしたのか、目をパチクリさせて私と、自分が掴んでいる私の手を見比べている。
私は、片方の手だけで体重を支えることに失敗し、黒子君の肩に顔を突っ込んでいる。
その上、右脚は黒子君の脇腹の横に。
もう片脚は投げ出すようになってしまっていて、スカートが、捲れてて……!
「あの、どうして……え?」
「……っ!!こ、これはっ、違くて……!!」
何が違うの!?
混乱のあまりに頭が真っ白になってしまって、言葉が勝手に滑り落ちていく。
お、落ち着くの!落ち着くのよ私!!
し、深呼吸をしてっ、どうすれば良いかを考えるのよっ!
すぅっと吸い込んだ空気が少し汗の臭い混じりで、目の前にいるのが黒子君だと再認識してしまった途端、またパニックに陥る。
どうしよう……!どうしよう……!!
焦りすぎて泣きそうになる。
そして焦りながらもなんとか体を起こすことに成功した私の耳に、パタパタという音が飛び込んでくる。
段々近くなってくる音、そして……、ドアの目の前でその音が止まったかと思うと、次の瞬間、無造作にドアが開けられた。
「おーい、もう下校時刻過ぎてるぞー!
いつまで残って……、っはあ!?」
「だ、だて、せんせ……!」
ドアからひょこりと顔を出したのは物音を聞いて駆け付けたと思しき伊達先生で、その顔が私たちを見た瞬間に驚愕と困惑に支配されたのを見て、私は、堪えられなくなった。
「ふ、ぅ……ぅえっ。」
「え!?多々良!?
お前なにして……んの?
え、泣いてる?」
「……っ!!」
飛び起きた私は、黒子君から逃げるように伊達先生の背中に隠れた。
は、恥ずかしくてっ、黒子君に顔向けできないっ……!!
だが隠れて蹲った私を見て、ハッとした伊達先生は、何を思ったのか、黒子君を睨んで怒鳴った。
「黒子おまっ……、何したんだ!?」
「え?……え!?」
「しらばっくれてんじゃねーぞ!!
なんか多々良が泣いてるっぽいぞ!?
マジで何した!?」
「な、なにもしていないはず、です……!」
私が正気を取り戻すまでの5分間、二人は途方に暮れたように意味のない問答を繰り返していたという。