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剣でなぐりつけるより、笑顔で蹴りつけろ
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名前で呼んであげてもいいかも、なんて、思った私が馬鹿だったわ。
私の3歩後ろを着いてきているワンちゃんに、頭痛がする。
どうやらワンちゃんは私を家まで送ってくれるらしい。
必要ないし、人に着いてこられるのは不快よ。
「……ワンちゃん、着いてくるのなら電柱や看板なんかの物陰に隠れて着いてきて。」
「はい!」
そして警察に見つかってしょっ引かれてしまえば良いのよ。
だが残念なことにワンちゃんがしょっ引かれていくことはなく、そのまま私の家に着いてしまった。
「到着ですね!
じゃあオレ近くにいるんでなんかあったら呼んでください!!」
「あなたのような人を、他人はストーカーと呼ぶのよ。」
このまま朝までストーキングする気なのかしら……?
というかこの子、家は?
「あなた帰らなくて良いの?」
「オレ今家出中なんで問題ないっすよ!!」
「……野宿してるの?」
「普段はダチん家に泊まってます。
それ以外は夜中寝ないでガッコで寝ますね。」
「不健康極まりないわね。
仕方ないから家に入れてあげるわ。」
「えっ!?」
下手に彷徨かれるより、目の届く範囲に置いておいた方が安心よ。
玄関の鍵を開けてさっさと家の中に入った。
ワンちゃんがソワソワしながら中に入ってきて、人の気配に反応してついた灯りに飛び上がって驚いた。
「何驚いてるのよ。
本当に犬ね、あなた。」
「や、やっぱり金持ちの家ってスゴいっすね……。
センサー式っすか?」
「そうよ。
でも、金持ちなのは私じゃなくて父親よ。」
「そう言えば、お父様はいらっしゃらないんすか?」
「ここ数ヶ月見てないわ。
生きてはいるはずよ。」
「ええっ!?」
ここは家だけど、家族の帰る場所ではない。
あの男にとってここはただの建物。
いや、或いは……。
「うおっ!!部屋広ぉ!?」
「ここは家なんかじゃなくて、ただの、飼育小屋、かしらね。」
「今なんか言いましたか?」
「……何も言ってないわ。
あとワンちゃん、部屋のものに勝手に触ったら追い出すわよ。」
広い、綺麗、と繰り返しながら部屋をグルグル歩き回るワンちゃんに、忠告は欠かさない。
変なもの触られて壊されたらたまったものじゃないわ。
あの壊された部室のドアを思い出して、背筋に悪寒が走る。
あの馬鹿力、油断ならないわ。
「ワンワン、お座り。」
「はいっす!」
「待て。」
「はいっす!」
「私はお風呂に入ってくるけど、絶対に動いちゃダメよ。」
「はいっ……ええっ!!」
「覗いたりしたら明日からあなたをアメーバと呼ぶわ。」
「マジすか!?」
読者の皆さん、まさかとは思うけど、私が男に対してなんの警戒心も持たない頭ゆるふわ女子だとでも思った?
私に抜かりはないのよ。
ワンワン程度に見せるほど、私の体は安くないんだから。
三つ編みを解いて、私は悠々とお風呂場に向かったのだった。
* * *
「さっぱりしたわ。」
「ポニテも、イカしてますね蛍さん!!
あとそろそろ動いていいっすか!?」
「仕方ないわね、いいわよ。
ちなみにトイレはそこの廊下の右側よ。」
「あざす!」
走ってトイレに向かったワンちゃんの後ろ姿にため息をつく。
冷蔵庫からゼリー飲料を取り出してちゅうちゅうと吸う。
なんだか夕飯を作るのが面倒になっちゃった。
ワンちゃんには猫まんまでも食べさせましょうか。
トイレに籠ったっきり出てこないワンちゃんの分の猫まんまとメモをおいて、私は明日のためにさっさと寝床についた。
近所の毎日暇してるマダムたちにワンちゃんといるところを見られたら面倒そうだし、明日は早く起きて早くに学校に向かわなくちゃね。
お気に入りの音楽を流して、私は眠りに就いたのだった。
* * *
「ん、なんだこのメモ?」
蛍が寝静まったあと、一ノ瀬がトイレから出てきて机の上のメモに気付いた。
「えーと、『エサはキッチンに置いてあるわ。お風呂は使っていいけど、綺麗に使ってね。寝床は床よ。もし私に変なことしようとしたら潰すわよ。』……何を!?」
嬉しいような、恐ろしいような……。
絶妙な表情を披露しながら、一ノ瀬はキッチンを覗きに行った。
私の3歩後ろを着いてきているワンちゃんに、頭痛がする。
どうやらワンちゃんは私を家まで送ってくれるらしい。
必要ないし、人に着いてこられるのは不快よ。
「……ワンちゃん、着いてくるのなら電柱や看板なんかの物陰に隠れて着いてきて。」
「はい!」
そして警察に見つかってしょっ引かれてしまえば良いのよ。
だが残念なことにワンちゃんがしょっ引かれていくことはなく、そのまま私の家に着いてしまった。
「到着ですね!
じゃあオレ近くにいるんでなんかあったら呼んでください!!」
「あなたのような人を、他人はストーカーと呼ぶのよ。」
このまま朝までストーキングする気なのかしら……?
というかこの子、家は?
「あなた帰らなくて良いの?」
「オレ今家出中なんで問題ないっすよ!!」
「……野宿してるの?」
「普段はダチん家に泊まってます。
それ以外は夜中寝ないでガッコで寝ますね。」
「不健康極まりないわね。
仕方ないから家に入れてあげるわ。」
「えっ!?」
下手に彷徨かれるより、目の届く範囲に置いておいた方が安心よ。
玄関の鍵を開けてさっさと家の中に入った。
ワンちゃんがソワソワしながら中に入ってきて、人の気配に反応してついた灯りに飛び上がって驚いた。
「何驚いてるのよ。
本当に犬ね、あなた。」
「や、やっぱり金持ちの家ってスゴいっすね……。
センサー式っすか?」
「そうよ。
でも、金持ちなのは私じゃなくて父親よ。」
「そう言えば、お父様はいらっしゃらないんすか?」
「ここ数ヶ月見てないわ。
生きてはいるはずよ。」
「ええっ!?」
ここは家だけど、家族の帰る場所ではない。
あの男にとってここはただの建物。
いや、或いは……。
「うおっ!!部屋広ぉ!?」
「ここは家なんかじゃなくて、ただの、飼育小屋、かしらね。」
「今なんか言いましたか?」
「……何も言ってないわ。
あとワンちゃん、部屋のものに勝手に触ったら追い出すわよ。」
広い、綺麗、と繰り返しながら部屋をグルグル歩き回るワンちゃんに、忠告は欠かさない。
変なもの触られて壊されたらたまったものじゃないわ。
あの壊された部室のドアを思い出して、背筋に悪寒が走る。
あの馬鹿力、油断ならないわ。
「ワンワン、お座り。」
「はいっす!」
「待て。」
「はいっす!」
「私はお風呂に入ってくるけど、絶対に動いちゃダメよ。」
「はいっ……ええっ!!」
「覗いたりしたら明日からあなたをアメーバと呼ぶわ。」
「マジすか!?」
読者の皆さん、まさかとは思うけど、私が男に対してなんの警戒心も持たない頭ゆるふわ女子だとでも思った?
私に抜かりはないのよ。
ワンワン程度に見せるほど、私の体は安くないんだから。
三つ編みを解いて、私は悠々とお風呂場に向かったのだった。
* * *
「さっぱりしたわ。」
「ポニテも、イカしてますね蛍さん!!
あとそろそろ動いていいっすか!?」
「仕方ないわね、いいわよ。
ちなみにトイレはそこの廊下の右側よ。」
「あざす!」
走ってトイレに向かったワンちゃんの後ろ姿にため息をつく。
冷蔵庫からゼリー飲料を取り出してちゅうちゅうと吸う。
なんだか夕飯を作るのが面倒になっちゃった。
ワンちゃんには猫まんまでも食べさせましょうか。
トイレに籠ったっきり出てこないワンちゃんの分の猫まんまとメモをおいて、私は明日のためにさっさと寝床についた。
近所の毎日暇してるマダムたちにワンちゃんといるところを見られたら面倒そうだし、明日は早く起きて早くに学校に向かわなくちゃね。
お気に入りの音楽を流して、私は眠りに就いたのだった。
* * *
「ん、なんだこのメモ?」
蛍が寝静まったあと、一ノ瀬がトイレから出てきて机の上のメモに気付いた。
「えーと、『エサはキッチンに置いてあるわ。お風呂は使っていいけど、綺麗に使ってね。寝床は床よ。もし私に変なことしようとしたら潰すわよ。』……何を!?」
嬉しいような、恐ろしいような……。
絶妙な表情を披露しながら、一ノ瀬はキッチンを覗きに行った。