「４代目火影だとぉ!?なんでそんな奴がガキの世話させられてるんだぁ！里の重役はバカなのか!?だいたいオレは、うん代目とか言う奴が大っ嫌いなんだよ!!良い思い出がねぇ！」

実は次期火影なんだ、とほざきやがった金髪のーてんき野郎に胸の内を叫んで、鳩尾に蹴りを一発浴びせる。

「うぐっ！」
「だいたいてめー、火影だろうがなんだろうが、一人の判断で決められることじゃねーだろうが！なめてんのか!?子供だと思って!!」
「い、いや、なめてないよ!!ただオレは、子供の意思を無視して利用するような真似はしたくないってだけで!!」
「どっちにしろ信じられるかぁ！へらへら笑いやがって、このチャラ男が!!」
「えっ！チャラ男!?」

こいつ、アレだ。
沢田タイプの、理想語ってちゃっかり実現させちゃうタイプの奴だ！

「ったく、意味わかんねー奴だぜ。てめーみてーなタイプ、嫌いだ!!」
「そ、そんな……、会ったばっかなのに……！」
「うﾞおﾞぉい!!ガチで凹むなぁ！」

面倒くせぇ！
ガスガスと背中を蹴ると、啜り泣きが聞こえ始めたので流石に止めた。
そんなんじゃヴァリアーにきたらやっていけねーぞ。

「ちっ！どっちにしろオレは忍者なんざやる気ねーんだ。てめーが何しようと関係ねー」
「え、でも子供には大変だと思うけど……」
「関係ねー！オレは将来、喫茶店のマスターになる！んで、いつか、他の国に観光に行って、たくさんたくさん、友達作って、幸せに、なるっ!!んで、100才くらいまで生きる!!」
「それは……、」
「母さんと約束したから。夢を叶えて、幸せになるって」
「そう、か。うん、うん！オレも協力するよ！」
「いらね……って何泣いてんだ!!汚ぇ！」
「君が感動するようなこと言うから……！」
「オレのせいかぁ!?」

慌てて慰めた。
立場が逆なんじゃないだろうか。

「ｸﾞｽｯ……ありがとう。何だか盛大な間違いを犯してる気がするけど……」
「落ち着いたんならさっさと帰れぇ」
「うぅ……オレもいつか、君のような優しい子を育てるよ」
「話聞いてるのかぁ？」

突然泣き出したと思ったら、今度はにこにこ笑いながらオレを褒め千切る。
何なんだこいつ、精神不安定なのか。

「ん、とりあえず君を一人にはできないからね。今日はオレの家においで」
「あﾞあ!?んでオレが!!」
「まぁまぁ！」
「うﾞがぁあっ!!」

暴れに暴れたが、やむ無くオレは奴の家に連れ拐われた。

「ちっ、独り暮らしの男の家か……。ちゃんと掃除してんのか？」
「ズバリ聞くね……。できる限りしてるけど」
「ふん、どうせ掃除に来てくれる相手もいねぇんだろ」
「彼女くらいいるって!!っていうか君ホントに５歳なのかい!?なんか年上みたい……」
「正真正銘5歳だ」

ただし肉体年齢に限った話だが。
その晩は奴の家に止まった。
正直言って助かった。
あんなに大声張り上げてはいたけれど、やっぱり心の中にはぽっかりと大きな穴が空いていて、下手したら母さんを追って仕舞いかねなかったから。
あんな衝撃は、ザンザスを失ったとき以来で、夜眠るとき、耐えきれないほどの苦しさに呻いた。
オレを抱き締めてくれた奴は、やっぱり暖かくて、その心臓の鼓動を聞きながら、安心して眠りにつくことができた。