×鳴門

オレには忍者の血が流れているらしい。
そう、忍者!
イタリア人の頃は日本のヤクザは忍者を雇ってるんだと思っていた時期もあったぜぇ……。
まさかそんなオレが、忍者の末裔になっちまうとは、世も末である。

「コウヤちゃんは大きくなったら何になりたいの?」
「ん……」

忍者忍者とちょっとテンションは上がったものの、忍者って結局、やってることは前々世のオレとそんな変わんねえよな。
情報収集とか、暗殺とか、護衛とかだろ?
そういう面倒なのは、もう飽き飽きだからなぁ。

「……喫茶店、作りたい、かな」
「あらっ!いいわね!作ったら一番最初に、お母さん呼んでくれる?」
「当たり前だぜ!」

昔っから料理は好きだったしな。
舌の肥えたザンザスにバランスよく食事を取らせるため、必死で練習したしな。

「オレ、人がたくさん集まる喫茶店作るぜ」
「お母さん応援するわ!!」
「おう!」

にかっと笑うと力強い笑みを返してくれる。
そうか、幸せはここにあったんだな……。
ついついしみじみしてしまうのも仕方ないだろう。

「あ、でもアカデミーは行かないとね!!」
「academy?」
「そう!忍術もお勉強も教えてくれるの!!お母さんも行ったのよ?」
「母さん、忍者だったのか?」
「お母さんは忍者じゃないけど……、私達の一族は特別だから、行かないといけないの」

そう言った母さんは、眉を八の字にした。
特別だから、行かないといけない。
それはきっとこの白い色に、オレの体を流れる血に関わることなのだ。

「……なんで?」
「コウヤちゃんには、まだ難しいかもしれないけどね。私達に流れる血は、とても危険なの。だから、アカデミーに入って、扱い方を身に付けなければいけないの」

危険な能力を秘めた血、なのか。
ならその道理にも納得がいく。
面倒なことに変わりはねーけどな。
忍術ってのはともかく、お勉強(恐らく算数とかそういうの)はもう十分すぎるほど頭に入っているし。

「ふふ、でもコウヤちゃんはそんなこと気にしないで、楽しくアカデミーに通って良いのよ!!お友達、たくさんできると良いわね!!」
「おう!」

鬼崎コウヤ、ただ今4歳。
アカデミーまで、あと2年ほどである。
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