×鰤市
「スゥゥゥクゥゥウ!!なあなあ、お前部活とかって入る!?」
「あ゙あ?部活?」
4月某日、まだ入学して間もなく、慌ただしい日々が続くある日、浅野がそう問い掛けてきた。
部活、か……。
前に高校生していた頃は忙しくて、そんなこと考えたこともなかったけど、今はわりと暇だし、折角だからやってみるのも良いかも。
「見学だけでも行ってみるかなぁ」
「さっすがスクアーロぉお!!やっぱり高校生なら部活だよな!な!!一護も水色もチャドも部活入らねーって言うんだよぉ!!」
「どうでも良いけど、お前うざ……テンション高いなぁ」
「ああああー!!今ウザいって言った!浅野に10000のダメージ!!!」
「オレ見学に行くからなぁ」
「いやぁぁああ!置いてかないでー!!」
浅野はとても元気である。
そりゃもうオレが疲れて、相手をしたくなくなるくらいには元気である。
置いていこうとしたせいで叫んで追い掛けてきた浅野を連れて、オレは部活動見学へと行くことになったのである。
元気なやつだなぁ……いや、オレが年寄り臭いって訳じゃあないはず……だよな?
何はともあれ、まず始めは運動部からかな。
「うむ、サッカー部かぁ」
「やっぱサッカー部はモテるよな!」
「部活より顔じゃねぇのかぁ」
「スクアーロが言うともう何にも逆らう気が起きないんスけど……」
サッカー部、浅野はモテるとか言ってたがサッカー部の浅野と帰宅部のオレならオレの方がモテると思う。
顔面偏差値もそうだが、女の子の扱い方だってオレの方が上手いからな。
「まあ正直オレ、サッカーとかぶっちゃけ興味ねぇ」
「スク先輩何でここに来たんスか?」
「気分だぁ」
「えー」
と言うわけで移動。
次は武道場に来てみた。
「柔道部かぁ」
「モテなさそー」
「なんか弱そうだしなぁ」
「センパーイ、それはちょっと失礼じゃねっスかー?」
「事実だ」
「先輩っべーわぁ……」
実際に調べたら、マジで大した成績もなく、正直汗臭いのも嫌だったので、オレ達は迷うことなく次の部活へ。
どこでどんな部活が活動しているのか、プリントとにらめっこしながら歩いていくと、家庭科室へと辿り着いた。
「……ここは、手芸部かぁ」
「手芸部ぅ?」
浅野は特に興味はないようだが、手芸部なら余った布とかもらえるかも知れねぇし、一人暮らし的にはちょっと気になる。
「家庭的な男ってモテるって……」
「よっし!行くぜスクアーロぉ!!」
調子が良いようで何よりである。
そして入っていった家庭科室。
ガラッと扉を開けた瞬間、何故か背筋がざわりとする。
「お、新入生かな?」
「手芸部にいらっしゃーい!」
歓迎の声が聞こえる中、オレの視線は一ヶ所に釘付けになっていた。
隅の方で一人黙々と縫い物をしている生徒……確か同じクラスの石田雨竜。
白蘭に死神とか虚とかの話を聞いてから、初めて近付いたのだが、こいつ、霊力の量がすごい。
じっと見ていると、相手もオレに気付いたのか、視線がかち合う。
「ひゃっほぉぉおう!先輩おキレイですね!それに井上さんまでいるじゃん!なあスクアーロ、オレ手芸部入っちゃおうかなーなんて!」
「…………そうだな、お前不器用そうだし無理なんじゃねぇのかぁ?」
「理不尽に酷いっ!!」
浅野に話し掛けられて初めて石田から視線を逸らす。
思わず酷い事を言った気がするが、浅野だし問題ねぇだろ。
「あ!浅野君にスクアーロ君!二人も手芸部入るのっ?」
「井上さんがいるんなら入っちゃおうか、へぶっ!」
「オレも浅野も考え中だぁ」
「そうなんだ!」
オレは浅野の口を手で塞いで、隅の方に引きずっていく。
話の聞こえない位置で、ようやく手を離してやると、浅野はぶはっと息を吸った。
「なっ!何すんだよいきなり!」
「お前入るとか言ってたけど、裁縫なんて出来ねぇだろぉ」
「うぐっ……!」
「どうせすぐに幽霊部員になるんだから、また別の部活探した方が良いだろうなぁ」
「うぐぐぅっ!先輩厳しすぎじゃねぇ!?」
まああんな風に煽り立てといてこんなこと言うのは悪いと思うけど、あの石田と目があったとき、探られるような嫌な感じがした。
あまり関わり合わない方が良いだろう。
「オレ達、他の部活も見て回るんで。それじゃあ」
「ううっ!また来ますね井上さぁん!!」
「二人ともまたねー!」
見送ってくれた井上に手を振り、浅野と連れ立って外に出る。
ドアを閉めるまでの間、ずっと刺すような視線を感じていた。
「スクアーロー。結局部活、どうする?」
「オレはもう、帰宅部で良いような気がしてきた」
「あー……同感……」
「部活の代わりにバイトでもするかなぁ」
「オレも何か探そっかなぁ……」
と、その後、帰路へとついたオレ達はそんな会話を交わしていた。
ちなみにオレの家は学校からそう遠くないが、浅野の家は1つ隣の市にある。
途中で別れて、一人になったオレは、イライラとため息を吐いて後ろに振り返ったのだった。
「こんなところまで尾けてきて、何の用だ、石田ぁ」
「……気付いていたんだね、スペルビ・スクアーロ」
曲がり角から現れた石田が、オレに向かってそう言った。
「あ゙あ?部活?」
4月某日、まだ入学して間もなく、慌ただしい日々が続くある日、浅野がそう問い掛けてきた。
部活、か……。
前に高校生していた頃は忙しくて、そんなこと考えたこともなかったけど、今はわりと暇だし、折角だからやってみるのも良いかも。
「見学だけでも行ってみるかなぁ」
「さっすがスクアーロぉお!!やっぱり高校生なら部活だよな!な!!一護も水色もチャドも部活入らねーって言うんだよぉ!!」
「どうでも良いけど、お前うざ……テンション高いなぁ」
「ああああー!!今ウザいって言った!浅野に10000のダメージ!!!」
「オレ見学に行くからなぁ」
「いやぁぁああ!置いてかないでー!!」
浅野はとても元気である。
そりゃもうオレが疲れて、相手をしたくなくなるくらいには元気である。
置いていこうとしたせいで叫んで追い掛けてきた浅野を連れて、オレは部活動見学へと行くことになったのである。
元気なやつだなぁ……いや、オレが年寄り臭いって訳じゃあないはず……だよな?
何はともあれ、まず始めは運動部からかな。
「うむ、サッカー部かぁ」
「やっぱサッカー部はモテるよな!」
「部活より顔じゃねぇのかぁ」
「スクアーロが言うともう何にも逆らう気が起きないんスけど……」
サッカー部、浅野はモテるとか言ってたがサッカー部の浅野と帰宅部のオレならオレの方がモテると思う。
顔面偏差値もそうだが、女の子の扱い方だってオレの方が上手いからな。
「まあ正直オレ、サッカーとかぶっちゃけ興味ねぇ」
「スク先輩何でここに来たんスか?」
「気分だぁ」
「えー」
と言うわけで移動。
次は武道場に来てみた。
「柔道部かぁ」
「モテなさそー」
「なんか弱そうだしなぁ」
「センパーイ、それはちょっと失礼じゃねっスかー?」
「事実だ」
「先輩っべーわぁ……」
実際に調べたら、マジで大した成績もなく、正直汗臭いのも嫌だったので、オレ達は迷うことなく次の部活へ。
どこでどんな部活が活動しているのか、プリントとにらめっこしながら歩いていくと、家庭科室へと辿り着いた。
「……ここは、手芸部かぁ」
「手芸部ぅ?」
浅野は特に興味はないようだが、手芸部なら余った布とかもらえるかも知れねぇし、一人暮らし的にはちょっと気になる。
「家庭的な男ってモテるって……」
「よっし!行くぜスクアーロぉ!!」
調子が良いようで何よりである。
そして入っていった家庭科室。
ガラッと扉を開けた瞬間、何故か背筋がざわりとする。
「お、新入生かな?」
「手芸部にいらっしゃーい!」
歓迎の声が聞こえる中、オレの視線は一ヶ所に釘付けになっていた。
隅の方で一人黙々と縫い物をしている生徒……確か同じクラスの石田雨竜。
白蘭に死神とか虚とかの話を聞いてから、初めて近付いたのだが、こいつ、霊力の量がすごい。
じっと見ていると、相手もオレに気付いたのか、視線がかち合う。
「ひゃっほぉぉおう!先輩おキレイですね!それに井上さんまでいるじゃん!なあスクアーロ、オレ手芸部入っちゃおうかなーなんて!」
「…………そうだな、お前不器用そうだし無理なんじゃねぇのかぁ?」
「理不尽に酷いっ!!」
浅野に話し掛けられて初めて石田から視線を逸らす。
思わず酷い事を言った気がするが、浅野だし問題ねぇだろ。
「あ!浅野君にスクアーロ君!二人も手芸部入るのっ?」
「井上さんがいるんなら入っちゃおうか、へぶっ!」
「オレも浅野も考え中だぁ」
「そうなんだ!」
オレは浅野の口を手で塞いで、隅の方に引きずっていく。
話の聞こえない位置で、ようやく手を離してやると、浅野はぶはっと息を吸った。
「なっ!何すんだよいきなり!」
「お前入るとか言ってたけど、裁縫なんて出来ねぇだろぉ」
「うぐっ……!」
「どうせすぐに幽霊部員になるんだから、また別の部活探した方が良いだろうなぁ」
「うぐぐぅっ!先輩厳しすぎじゃねぇ!?」
まああんな風に煽り立てといてこんなこと言うのは悪いと思うけど、あの石田と目があったとき、探られるような嫌な感じがした。
あまり関わり合わない方が良いだろう。
「オレ達、他の部活も見て回るんで。それじゃあ」
「ううっ!また来ますね井上さぁん!!」
「二人ともまたねー!」
見送ってくれた井上に手を振り、浅野と連れ立って外に出る。
ドアを閉めるまでの間、ずっと刺すような視線を感じていた。
「スクアーロー。結局部活、どうする?」
「オレはもう、帰宅部で良いような気がしてきた」
「あー……同感……」
「部活の代わりにバイトでもするかなぁ」
「オレも何か探そっかなぁ……」
と、その後、帰路へとついたオレ達はそんな会話を交わしていた。
ちなみにオレの家は学校からそう遠くないが、浅野の家は1つ隣の市にある。
途中で別れて、一人になったオレは、イライラとため息を吐いて後ろに振り返ったのだった。
「こんなところまで尾けてきて、何の用だ、石田ぁ」
「……気付いていたんだね、スペルビ・スクアーロ」
曲がり角から現れた石田が、オレに向かってそう言った。