×鰤市

4月、早いもので、オレは入学式を迎えようとしていた。
5回目の人生だが、高校生をするのはこれで2度目である。
1度目の高校生活は、妖怪とバトったり、仕事したりと忙しかったが、今度の高校生活はどうなることだろう。
少くとも……平穏には終わりそうにない。
数人の男子生徒を囲む大量の不良達を見て、オレはやれやれとため息を吐く。
入学初日から問題行動起こすとか、勇気あるよな……。
しかも遠目だから確かじゃねぇが、クラス発表の紙、掲示板ごと破られてないか?
オレまだクラス発表見てないんだけど。
思わず出た舌打ちに、周りの奴らがオレから距離を取る。
……そんなに怖い顔してただろうか。
「……とにかく、掲示板確認しねぇとな」
『確認できるとは思えんがなぁ』
「できるかもしれねぇだろぉ」
紫紺の入っている石は、これまで同様紐に通して首から下げており、そこから聞こえてきた声に唇を尖らせて反論する。
しかし結局……
「これじゃ自分のクラスわかんねぇ……」
『だから言っただろう』
背後で繰り広げられる喧嘩には興味ないが、この掲示板をぶち破った野郎には二言三言文句が言いたい……。
オレがそう思って振り返ったとき、何故か知らんが不良が一人、こっちに向かって吹っ飛んで来た。
ちょうど良いからソイツに向かって鬱憤を晴らす。
「ゔらぁ!」
「ごぇっ……!?」
脇腹を横から蹴って不良を退かしたときに見えたのは、驚いたような顔でこっちを見てくるオレンジ頭とデカイ奴、ついでにちっちゃい黒髪とひょろい茶髪。
そして、遠巻きに眺める生徒を掻き分けて近付いてきた教師だった。
「な……なんだねこれは!!お前達、職員室まで来なさい!そこの白い君もだよ!」
「……オレもかよ!」
白い君……と言うのは、どうやらオレを指しているらしく、綺麗に巻き込まれたオレは大人しく職員室に向かったのであった。



 * * *



数十分後、何だかんだで巻き込まれた事を教師達に納得させたオレは、一緒に職員室に連れていかれた、四人の男子生徒達と自己紹介をしあっていた。
ちなみにオレのクラスは1ー3らしい。
教師に聞いたから確かな話だ。
そこんところはちょっと安心である。
「オレは馬芝中の黒崎一護!んでこのデカイのはチャドだ!」
「茶渡泰虎だ」
「んで、オレは柊二中の浅野啓吾!」
「僕も柊二中で小島水色」
「オレはスペルビ・スクアーロ……。色々あって最近日本に来たぁ」
「色々?」
「そ、色々」
色々、のところは軽く誤魔化して、日本語上手いなーなんて言われながら自分達のクラスに移動する。
なんでも、彼ら皆3組らしい。
なんだ、3組は問題児クラスなのか?
いや、オレは問題児じゃないけどな。
素行めちゃくちゃ良いけどな。
「えーと、スクアーロ……って呼べば良いのかな?」
「お゙う、スクアーロとか、まぁたまに略してスクって呼ばれたりするが、名前で呼ばれなけりゃどっちでも良い」
「あ?なんで名前ダメなんだよ?」
「それもまあ、色々となぁ」
「なんか胡散くせぇやつだなお前……」
「てゆーか、スクアーロってだいぶ髪長いけど……どうしてなの?」
「ん゙?それもまあ……色々となぁ」
「全部色々じゃん!」
変な奴って顔で見てるのはオレンジ頭の黒崎、興味津々って顔してるのは茶髪の浅野、一線引いてる感じなのは黒髪の小島で、……チャドってのはなに考えてるのかよくわからねぇ。
とにかく、そのままの流れで奴らとは友達になったわけである。
そして家に帰った後に白蘭にその事を話すと、『その黒崎クン、主人公だよ?これから大変になるね♪』と軽く言われた。
オレは今度会ったときに、白蘭の鼻っ柱を折ることを心に決めた。
そう言うことは先に言っておけ。
まあ言われたからどうなる、ってこともねぇだろうがな……。
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