×狩人
バシャッとお湯を掛ける。
「突然水を被せるなんて、正気ですか!?」
さっと取り出した水を掛ける。
「ほーっ!ほうっ!!ほー!!」
あっという間にムクロウへと姿を変えた奴を見て、オレは感心していた。
「スゴいな……、人から梟に変わるなんて。何でこうなったんだぁ?」
「ぶはっ!何度変身させれば気が済むんですか!?」
「良いから答えろって」
「っ……!!前世で呪泉郷と言うところに行ったとき、猫斗鷹溺泉(マオトウイン・ニーチュアン)と言う呪われた泉に落ちましてね!そのせいで何故か僕は、水を被るとフクロウに変身するようになってしまったんですよ!文句ありますか!!」
「ねぇけど、お前なんだぁ?中国にいたのかぁ?」
「旅行です!散々な目に合いましたよもう!」
と言うわけで、骸の前世も明らかにされた訳である。
始めに転生した場所では、特に新しい収穫はなかったらしいが、梟に変われるなんてスゴい能力だと思う。
……欲しい能力だとは思わないが。
「んじゃあ念能力も教えろぉ」
「クフフ!これ以上あなたにペラペラと能力をバラす気はありませ……」
「水」
「話しますよもう!」
この能力のお陰でだいぶ話しやすくなったのは良いことだと思う。
手に持ったバケツで脅すと、屈辱的という表情を浮かべながらも、骸は大人しく自分の能力を話し出した。
「僕の念は操作系。……ですが、正直言って使い勝手が悪い。人の操作など、天界道があれば事足ります。物の操作は、幻術を使えば良い」
「確かに、そうだな」
「ですので、今の自分を補うための能力を作りました。契約の条件を、この三ツ又槍で傷付けることではなく、僕の念に触れることにし、更に範囲を広げた。そして作った念が、『戦場の支配者(ゲームマスター)』です。僕の念が届く範囲にいる、敵と味方を、チェスの駒を操るようにして操作する。細かい操作は出来ませんし、支配はかなり弱いものとなるでしょうが、ほんの少しの支配でも、戦局は大きく左右される。なかなかいい能力でしょう?」
「つまり円の内側にいる敵味方に弱いマインドコントロールを掛けられるってことかぁ。……そう言えば、お前の円の範囲ってどれくらいなんだぁ?」
「そうですね、大体半径500mに届かないくらいですかね」
「そうか、かなり広いなぁ……」
直径1kmっつったらなかなかの距離だ。
オレは精々が直径500m程度なので、その倍はカバーできるようだ。
「あなたの能力が羨ましいですよ。僕も特質系の能力が良かったです」
「……今さらな話だけどよぉ、オレ、自分の能力は特質じゃないんじゃないか、と思っててなぁ」
「はあ?」
特質系である、と断言したのは、ビスケであってオレではない。
オレは個人的には、具現化系なんじゃないのかと思っていた。
水の中に炎が燃え上がるってのは確かに特質っぽいが、結局は水の中に別のものが現れるっていう、具現化系の反応なんじゃないのだろうか。
そもそも、紫紺と共に使う術は、過去に出会った人物の具現化だ。
発だって、過去に見た技、人の具現、再現。
具現化系って言われた方が、自分としては納得できる気がする。
「ふむ、なるほど。言われてみればそんな気もしますが……」
「が?」
「技は既に出来ていますし、今さらな話ですね、本当に」
「……まあな」
まあしかし、骸の言う通り、そしてオレが先程話した通り、今さらな話ではある。
「……ま、お互いの手の内を知り合うことも出来たわけだぁ。これからは仲間として、よろしく頼むぜぇ、六道骸」
「ええ、よろしくお願いいたします。……僕があなたの首を掻き切るまでの、ほんの僅かの間ですがね」
骸の言葉に、鼻で笑って返す。
次の日から、オレ達は自警団フィアンマを開き、活動を始めたのであった。
「突然水を被せるなんて、正気ですか!?」
さっと取り出した水を掛ける。
「ほーっ!ほうっ!!ほー!!」
あっという間にムクロウへと姿を変えた奴を見て、オレは感心していた。
「スゴいな……、人から梟に変わるなんて。何でこうなったんだぁ?」
「ぶはっ!何度変身させれば気が済むんですか!?」
「良いから答えろって」
「っ……!!前世で呪泉郷と言うところに行ったとき、猫斗鷹溺泉(マオトウイン・ニーチュアン)と言う呪われた泉に落ちましてね!そのせいで何故か僕は、水を被るとフクロウに変身するようになってしまったんですよ!文句ありますか!!」
「ねぇけど、お前なんだぁ?中国にいたのかぁ?」
「旅行です!散々な目に合いましたよもう!」
と言うわけで、骸の前世も明らかにされた訳である。
始めに転生した場所では、特に新しい収穫はなかったらしいが、梟に変われるなんてスゴい能力だと思う。
……欲しい能力だとは思わないが。
「んじゃあ念能力も教えろぉ」
「クフフ!これ以上あなたにペラペラと能力をバラす気はありませ……」
「水」
「話しますよもう!」
この能力のお陰でだいぶ話しやすくなったのは良いことだと思う。
手に持ったバケツで脅すと、屈辱的という表情を浮かべながらも、骸は大人しく自分の能力を話し出した。
「僕の念は操作系。……ですが、正直言って使い勝手が悪い。人の操作など、天界道があれば事足ります。物の操作は、幻術を使えば良い」
「確かに、そうだな」
「ですので、今の自分を補うための能力を作りました。契約の条件を、この三ツ又槍で傷付けることではなく、僕の念に触れることにし、更に範囲を広げた。そして作った念が、『戦場の支配者(ゲームマスター)』です。僕の念が届く範囲にいる、敵と味方を、チェスの駒を操るようにして操作する。細かい操作は出来ませんし、支配はかなり弱いものとなるでしょうが、ほんの少しの支配でも、戦局は大きく左右される。なかなかいい能力でしょう?」
「つまり円の内側にいる敵味方に弱いマインドコントロールを掛けられるってことかぁ。……そう言えば、お前の円の範囲ってどれくらいなんだぁ?」
「そうですね、大体半径500mに届かないくらいですかね」
「そうか、かなり広いなぁ……」
直径1kmっつったらなかなかの距離だ。
オレは精々が直径500m程度なので、その倍はカバーできるようだ。
「あなたの能力が羨ましいですよ。僕も特質系の能力が良かったです」
「……今さらな話だけどよぉ、オレ、自分の能力は特質じゃないんじゃないか、と思っててなぁ」
「はあ?」
特質系である、と断言したのは、ビスケであってオレではない。
オレは個人的には、具現化系なんじゃないのかと思っていた。
水の中に炎が燃え上がるってのは確かに特質っぽいが、結局は水の中に別のものが現れるっていう、具現化系の反応なんじゃないのだろうか。
そもそも、紫紺と共に使う術は、過去に出会った人物の具現化だ。
発だって、過去に見た技、人の具現、再現。
具現化系って言われた方が、自分としては納得できる気がする。
「ふむ、なるほど。言われてみればそんな気もしますが……」
「が?」
「技は既に出来ていますし、今さらな話ですね、本当に」
「……まあな」
まあしかし、骸の言う通り、そしてオレが先程話した通り、今さらな話ではある。
「……ま、お互いの手の内を知り合うことも出来たわけだぁ。これからは仲間として、よろしく頼むぜぇ、六道骸」
「ええ、よろしくお願いいたします。……僕があなたの首を掻き切るまでの、ほんの僅かの間ですがね」
骸の言葉に、鼻で笑って返す。
次の日から、オレ達は自警団フィアンマを開き、活動を始めたのであった。