×狩人

と、まあそんなこんなで、オレ達は結託して、より住み良い世の中を目指して動き始めたのである。

「……あんたもまた、異様な早さで念を覚えたもんね。2週間って、普通は天才って呼ぶべきなんでしょうけど。スクの事見た後だと、不思議とそう思えないわね……」
「クフ、僕はあの化け物とは違うんですよ。ガットネロの化け物並みの器用さには、流石の僕も脱帽しますよ、気持ち悪い」
「気持ち悪いってのぁどういう意味だぁ、お゙い!?」
「そのままの意味ですが何か?」

骸は相変わらずムカつく野郎だが、やはりその実力は本物だった。
オレには及ばずとも、たった2週間で念の一通りをマスターした骸は、既に発も考えているらしく、これでガットネロも屁のカッパ(死語だろ)です、とか言って得意気である。

「さて、僕が念の習得に勤しんでいる中、貴女は一体何をしていたのですか?暇をもて余して犯罪行為でも働いていたのですかね?」
「何でそんなことしなくちゃならねぇんだよオレがぁ。忙しく働いてたぜぇ。お陰で良い人材が手に入ったぁ」
「は?人材?」

オレだって骸が修行しているのを、指を咥えて見ていた訳じゃない。
その間、オレは骸が率いていた孤児グループの奴らを連れて、少し山に籠っていたのだが……。
オレが背後に合図を送ると、4、5人の子供達が出てくる。

「お前が纏めてた奴らを鍛えて、そこそこ使えるようにした」
「勝手に何してるんですかっ!?」
「先生に比べたらオレ達なんてまだまだです……!!」
「先生のお役に立てるよう、今後も鍛練していきますね!」
「これからもご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い致します!!」
「キャラも変わってるじゃないですか!!何なんですか貴女のそのカリスマ性は!?」
「オレのカリスマ性なんて、ザンザスの足元にも及ばねぇよ……」
「あんた以上のカリスマ性って、それ最早怪物じゃないのよさ……」

そう、森の奥に籠っていた間、オレは彼らと共に戦闘技術の訓練を行っていたわけである。
念の修行はまだだが、うん、皆優秀な奴ばっかりでオレも楽しかったぜ。

「他の奴も結構調子良いし、その内皆念が使えるようになるんじゃねぇかぁ?」
「あんたそんな化け物ども育てて、やりたいことが便利な世の中作りって、なんか拍子抜けするわね……」

ビスケの目が明後日の方を見ている事は無視するとして、オレはニッと笑って骸に言ったのだった。

「じゃあ昔みたく自警団作って、一緒に頑張ろうぜ、骸」
「名前で呼ばないでください!……クフ、しかしまあ、手伝ってやろうじゃありませんか」

骸がどこからともなく出した三又槍が、ギロリと光った。
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