×鳴門
さて、オレ達は早朝、襲ってきた忍を返り討ちにしてやった。
ここまでは大丈夫。
そして捕まえた忍は、どうやら雷の国岩隠れの里の忍のようだ。
ここまでは……まあ良いとしよう。
そして現在、オレとフガクは捕まえた忍達の横に、ロープで縛られて座らされている。
解せぬ。
「くそ……木ノ葉め……。鬼の一族にうちは一族だなんて……!」
「『うちは』だけならまだしも、鬼の一族と旅を続けるなんて……!」
「『うちは』も『うちは』だ!コイツらがいたら、オレ達までとばっちりを受けるぞ!!」
「まったく、何を考えているんだ火影は!」
……まあ、そう言うわけである。
体力が尽きたオレは、変化が解けて、鬼崎だとバレてしまってお縄に。
続けて、岩隠れの奴らが『うちはの眼』を狙ってきた可能性を、フガクが自分で話してお縄に。
いや、オレはともかくなんでフガクまで?
お前らこんなときに山賊出たらどうすんの?
まあ縄脱けくらい容易いけどよぉ。
「……でも、コイツらがいなくなったら誰がオレ達を守るんだ?」
「……それは……」
「コイツら、さっきは何だかんだで守ってくれたし、取り合えず安全な場所に行くまでは、コイツらに守っててもらおうよ!な?」
「……そう、だな……」
おや、どうやら話が纏まったらしい。
オレ達を庇うような事を言ってくれたのは、まだ年若い一人の職人だった。
さっき忍の一人に襲われかけてた奴だ。
アイツは確か、オレとも結構フレンドリーに話してくれてたな。
「おい、縄は解いてやるが、バカな真似したらただじゃおかねぇからな」
「わかってるっての。あんたら傷付けるような真似はぜってーしねぇから、安心しろぉ」
「チッ!ガキが偉そうに……」
縄を解くついでに蹴られそうになったけど、危なげなく避けて、事なきを得る。
フガクの視線が、さらに険しさを増したけど、もしかしてオレを蹴ろうとしたことに怒っているのだろうか。
だとしたらちょっと嬉しい。
「……あなた方に迷惑を掛けることは、本当に申し訳ないと思う。残りの行程も、全力で護衛する」
「当たり前だ!」
この様子じゃあ、もうこの人達が木ノ葉に依頼してくることはないかもしれない。
んー、火影には、悪いことしちまったかもしんねぇなぁ。
「仕切り直しだ!テメーら、さっさと鉄の国に行くぞ!!」
商隊のボスの声に、全員が応える。
ようやく動き出した行商人達の列の両側について、オレ達もまた、歩き出した。
フガクからは、何も言われなかった。
何と言うか、気まずい沈黙が流れる。
鉄の国までは、たぶん後数時間あればつくだろう。
もう少しの辛抱と思えば、この沈黙も、大したことはない。
重たい無言を荷馬車に乗せて、オレ達は鉄の国の中心地へと歩いていったのであった。
* * *
「……つ、い、たぁー!」
無言で、淡々と歩き続けてたせいだろうか、思ったよりも早く、オレ達は目的地へと着くことが出来た。
活気があるわけではないが、静かな生気が満ちているような街。
こういう街は、結構嫌いじゃない。
「任務はここで終わりだ。報酬は渡すから、さっさと帰ってくれ」
「……わかった」
「んじゃあ、お疲れさんでした」
なんて、そんな感じでギクシャクしながら、商隊の面々とは別れた。
帰ってくれ、とは言われたけれど、もう辺りは暗くなりかけているし、オレ達も今日は、どこかに宿を見付けて泊まらないと、かな。
フガクと一緒に、宿屋へと歩く。
「……フガクさん、後ろのどうする?」
「……放っておけ」
並んで歩くオレ達の後ろを、1つの気配が尾けてきていた。
その気配には覚えがある。
けれど、何故尾けてきているのかはわからなかった。
フガクの言葉に頷いて、オレは宿屋の戸をくぐったのだった。
「お邪魔しまーす!」
彼から、接触を受けたのは、その日の夜のことだった。
ここまでは大丈夫。
そして捕まえた忍は、どうやら雷の国岩隠れの里の忍のようだ。
ここまでは……まあ良いとしよう。
そして現在、オレとフガクは捕まえた忍達の横に、ロープで縛られて座らされている。
解せぬ。
「くそ……木ノ葉め……。鬼の一族にうちは一族だなんて……!」
「『うちは』だけならまだしも、鬼の一族と旅を続けるなんて……!」
「『うちは』も『うちは』だ!コイツらがいたら、オレ達までとばっちりを受けるぞ!!」
「まったく、何を考えているんだ火影は!」
……まあ、そう言うわけである。
体力が尽きたオレは、変化が解けて、鬼崎だとバレてしまってお縄に。
続けて、岩隠れの奴らが『うちはの眼』を狙ってきた可能性を、フガクが自分で話してお縄に。
いや、オレはともかくなんでフガクまで?
お前らこんなときに山賊出たらどうすんの?
まあ縄脱けくらい容易いけどよぉ。
「……でも、コイツらがいなくなったら誰がオレ達を守るんだ?」
「……それは……」
「コイツら、さっきは何だかんだで守ってくれたし、取り合えず安全な場所に行くまでは、コイツらに守っててもらおうよ!な?」
「……そう、だな……」
おや、どうやら話が纏まったらしい。
オレ達を庇うような事を言ってくれたのは、まだ年若い一人の職人だった。
さっき忍の一人に襲われかけてた奴だ。
アイツは確か、オレとも結構フレンドリーに話してくれてたな。
「おい、縄は解いてやるが、バカな真似したらただじゃおかねぇからな」
「わかってるっての。あんたら傷付けるような真似はぜってーしねぇから、安心しろぉ」
「チッ!ガキが偉そうに……」
縄を解くついでに蹴られそうになったけど、危なげなく避けて、事なきを得る。
フガクの視線が、さらに険しさを増したけど、もしかしてオレを蹴ろうとしたことに怒っているのだろうか。
だとしたらちょっと嬉しい。
「……あなた方に迷惑を掛けることは、本当に申し訳ないと思う。残りの行程も、全力で護衛する」
「当たり前だ!」
この様子じゃあ、もうこの人達が木ノ葉に依頼してくることはないかもしれない。
んー、火影には、悪いことしちまったかもしんねぇなぁ。
「仕切り直しだ!テメーら、さっさと鉄の国に行くぞ!!」
商隊のボスの声に、全員が応える。
ようやく動き出した行商人達の列の両側について、オレ達もまた、歩き出した。
フガクからは、何も言われなかった。
何と言うか、気まずい沈黙が流れる。
鉄の国までは、たぶん後数時間あればつくだろう。
もう少しの辛抱と思えば、この沈黙も、大したことはない。
重たい無言を荷馬車に乗せて、オレ達は鉄の国の中心地へと歩いていったのであった。
* * *
「……つ、い、たぁー!」
無言で、淡々と歩き続けてたせいだろうか、思ったよりも早く、オレ達は目的地へと着くことが出来た。
活気があるわけではないが、静かな生気が満ちているような街。
こういう街は、結構嫌いじゃない。
「任務はここで終わりだ。報酬は渡すから、さっさと帰ってくれ」
「……わかった」
「んじゃあ、お疲れさんでした」
なんて、そんな感じでギクシャクしながら、商隊の面々とは別れた。
帰ってくれ、とは言われたけれど、もう辺りは暗くなりかけているし、オレ達も今日は、どこかに宿を見付けて泊まらないと、かな。
フガクと一緒に、宿屋へと歩く。
「……フガクさん、後ろのどうする?」
「……放っておけ」
並んで歩くオレ達の後ろを、1つの気配が尾けてきていた。
その気配には覚えがある。
けれど、何故尾けてきているのかはわからなかった。
フガクの言葉に頷いて、オレは宿屋の戸をくぐったのだった。
「お邪魔しまーす!」
彼から、接触を受けたのは、その日の夜のことだった。