×鳴門

「って!『他に何か聞きたいことは?』じゃないってばねー!!」
「うきゃっ!?」

オレは再び拳骨を落とされた。
さっきよりは手加減されていて良かったぜ……って良くない!!痛い!!

「痛いぞ、おい!」
「痛くしたんだから当たり前よ!あんたねぇ!特別な術が使えるだか、修行してただか知らないけど、私達がどれだけ心配したと思ってんのよ!」
「オレだって心配してたぁ!皆が里でハブられてないかとか……えーと……とか!」
「一個しか心配してなかったんだね、ん」

いやいや、3人分心配してたから三個だぜ。
胸を張ろうとしたオレだったけれども、それよりも早く、ミナトがオレの頭をがっしりと掴んだ。

「?なに?」
「オレからもお説教」
「え?」
「君は自分なら傷付いても良いと思ってたのかい?」
「思っている」

むしろ全て自己責任だと思っている。
オレが答えると、ミナトは呆れたと言うような顔をした。

「バカだねコウヤ君。君ね、君が傷付いたら、それだけでオレ達も傷付くんだよ?」
「……そんな、ミナト達はオレがこの程度で傷付くだなんて思っているの?」
「もう!ああ言えばこう言う!!そんな顔で見ないでよ!」

うるっと目を潤ませてミナトを上目遣いで見ると、からかわないで!と怒られてしまった。

「……オレもさ、わかってるつもりだぜ?でも、わかっててもどうにもならないことってあるだろぉ?それにさっきオビトにキッチリ叱られたし、ミナトが言うまでもない。心配かけちゃって、ごめんなさい」
「……今度からは、オレ達にもちゃんと話してね。オレ達は、コウヤ君に頼られたいんだからさ」
「仕方ねーから頼ってやんよ」
「い・い・か・た!」
「頼らせてください」

と、ミナトには結構生意気な口聞けるんだけど、クシナさんには怖くてできねぇ。
拳ちらつかせないでください。

「そう言うわけだから、コウヤ君と約束したいんだってばね!」
「約束?」
「これからは何かあったら私達に話すこと!そして一人で全部やろうなんて思わないこと!」
「え……」

『話せ』とか、『一人で全部やるな』とか、そんな言葉、久方ぶりに聞いた気がする。
アイツの顔を、思い出した。
オレは結局、あの頃からまるで変わってねぇ訳か……。
未だに一人で、誰にも頼らず、何かをなそうと、意気がって……。

「コウヤ君?」
「ん、努力する」
「うん!早速頼ってもらおうかしらね!」
「ん?」
「今日の晩御飯は、この私が作ってあげるってばね!」

むん!と意気込んで言ったクシナさんに、オレはラッキー、なんて思ってたけど、ほかの二人は違った。
サッと顔が青ざめたかと思うと(エンは仮面つけてるけど雰囲気でわかる)、慌ててクシナさんを止め出した。

「クシナ!それならオレが作るよ!クシナはコウヤ君と待っててくれれば……」
「何言ってるってばね!ここは紅一点の私が頑張らなくっちゃ!!」
「クシナさん、オレがやる、やります!だから大人しく待っててください!お願いします!!」
「?なんで二人とも止めるってばね?」

……オレは何となく察する。
クシナさん、料理下手なのかな……。
30分後、オレは下手レベルじゃないポイズンクッキングに悶絶しながら、あの時逃げなかった事に後悔していた。
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