×鳴門
で、オレ達は家に戻ってきたのだが……。
「この家、大変な事になっちゃったわね」
「落書きもだけど、ドアノブとか壊れかけてるし……本当にこれは酷いよね」
「暫くは、他の場所に住んだ方が良いでしょうね」
「いや、大丈夫だぜ」
クシナさんやミナト達の言う通り、オレの家は凄まじい有り様であった。
壁中に落書きがされていたし、ドアノブは壊され、窓にはトマトでも投げ付けたのか真っ赤な跡が残り、捨てられた生ゴミのせいで家の周りが凄く臭い。
オレは家を囲む柵の根本をまさぐり、張り付けていた札をひっぺがした。
すると一瞬にして家を炎が取り囲み、それが消えると、家の落書きも何もかもが元通りになった。
……と言っても、流石に置かれた生ゴミはそのまんまなんだけどな。
「なっ……何だってばね今の!?」
「ん……これは、幻術?」
「おい……、おいガキんちょ。お前、何をしたんだ?」
「ちょっとした術を掛けていただけだぁ。ま、コントロールがくそ難しいから、オレ以外には出来る奴は……そもそもやろうとする奴はいねぇだろうなぁ」
オレは地面に散らばる水晶の欠片と、捨てられた生ゴミを拾い集める。
まあ生ゴミは、家の庭の菜園の肥料として使うことにして。
オレはドアを開けて3人を家に招いたのだった。
「2週間、掃除サボってた訳だからなぁ。少し埃っぽいがぁ……まあ、大丈夫だろぉ。好きなとこ座ってくれ」
「……オレは立っている」
「立つも座るも、どうぞ勝手に」
ミナトとクシナさんはおずおずと椅子に腰掛け、エンはドアの側に立つ。
全員が落ち着いたのを見て、オレは話し出した。
「じゃあ、話を聞かせてもらいたいんだけど……」
「わかってる。とりあえずまずは、3人ともが気になってると思うけど、この炎について話そうか」
オレの持つ、雨の炎と嵐の炎、霧の炎についてだけだがな。
「実は鬼崎の一族には、古くより伝わる伝説の指輪があってな……。オレが扱う術の大半がその指輪から出てくる炎の術なんだぁ」
「ん!コウヤ君話す気ないよね!そんな雑な誤魔化し、聞いたことないよ!!」
「でもそれ以上の説明できねぇし」
「え……いやいや、流石に誰もそんな事信じないからね?どれだけ本気の表情しても無駄だよ?」
オレはとりあえず誤魔化してみた。
いや、本当の事言うわけにはいかねーだろ?
だからこれは仕方のないことだったんだミナト……、不可抗力なんだよ。
「本当なんだっての。この指輪はマジで家の地下書庫で見付かったんだぜ」
「えー……」
残念ながらこれは本当だ。
地下書庫にポツンと置いてあるのを見付けて、即回収したのである。
前回と違って、早い内に手に戻ってきてラッキーだったぜ。
「これ、青いのが鎮静の効果があって、赤いのが分解の効果があって、藍色のが構築の効果があるんだ」
「あ、術については真面目に説明するんだね!!」
「青と赤はこれだけでも攻撃として使えるが、藍のは幻術なんかに使ったりするなぁ」
「!もしかしてさっきのは……」
「あ゙あ、さっきのって、アレだろぉ?家が元に戻った奴。アレは家に悪戯しようとした奴らに、悪戯をしたように錯覚させる幻術かけて……あ゙ー、説明面倒だがぁ、まあつまり、幻術見せて家を直接的な被害から守ってたわけだぁ」
「そうか……そうか、それで生ゴミとか地面についていた汚れは、そのままだったのか」
「お゙ー、エンは優秀だなぁ」
「あれ?言外にオレ貶されてない?」
「気のせいだろぉ」
「気のせいだってばね!」
「気のせいではないですか」
ミナトは少し不満そうだが、とにかくオレは説明らしきものを続ける。
「それでよぉ、2週間どこで何してたか、って聞かれたが、実は森に籠りながら、暇潰しに鬼崎の秘伝の技を習得しててなぁ」
「それってよ、それって暇潰しにやるもんなのか?」
「オレにとっては。で、習得したんだがなぁ。なんか、面白い技だぜ」
「え、習得しちゃったのかい!?」
「どんな技なんだってばね!?」
オレは二人の言葉を受けて、ピョンっと椅子から飛び降りる。
そして壁を背に立っているエンに近付いて、人差し指を立て、ピッと降り下ろす。
「……あ?」
「……な、切れた?」
「そう、鬼崎は元々『気裂』と書いた。その名の通り、気……つまり空間を切り裂く能力を持った一族だったぁ。その能力を応用すれば……!」
「……!?」
オレが人指し指でなぞった空間が、ピッと裂けた。
その裂けた空間が、オレが指をかけて横に引くことで大きく広がる。
そして驚いて絶句しているエンの背後に回ってその背……には届かなかったので脚に体当たりをして裂いた空間に押し込む。
そしてエンが中に入ったと同時にその空間の端をくっ付けて閉じた。
「人や物を収納することも可能!」
「ちょ、ちょっと!彼の事どうしちゃったんだい!?」
「しまっただけだぜ?こうすれば……」
オレはもう一度人差し指で空間を裂く。
「ぶはっ!?」
「ほらよ、出てきたぜぇ」
「大丈夫エン!?」
出てきたエンが膝を付いたのを見て、ミナトが慌てて駆け寄る。
気裂の術、って言うのはあまりにも安易なネーミングかもしれないが、まあつまりは空間忍術である。
ミナトの術には劣るが、この術もだいぶ便利だ。
「オレが2週間にしてたのは、この術の修行とかで、3人が聞きたいだろうオレの持つ不思議な術はこの炎だぁ。そんで、他に何か聞きたいことは?」
やりきったぜ、って感じで腰に手を当てたオレを、3人が唖然と見詰めていた。
「この家、大変な事になっちゃったわね」
「落書きもだけど、ドアノブとか壊れかけてるし……本当にこれは酷いよね」
「暫くは、他の場所に住んだ方が良いでしょうね」
「いや、大丈夫だぜ」
クシナさんやミナト達の言う通り、オレの家は凄まじい有り様であった。
壁中に落書きがされていたし、ドアノブは壊され、窓にはトマトでも投げ付けたのか真っ赤な跡が残り、捨てられた生ゴミのせいで家の周りが凄く臭い。
オレは家を囲む柵の根本をまさぐり、張り付けていた札をひっぺがした。
すると一瞬にして家を炎が取り囲み、それが消えると、家の落書きも何もかもが元通りになった。
……と言っても、流石に置かれた生ゴミはそのまんまなんだけどな。
「なっ……何だってばね今の!?」
「ん……これは、幻術?」
「おい……、おいガキんちょ。お前、何をしたんだ?」
「ちょっとした術を掛けていただけだぁ。ま、コントロールがくそ難しいから、オレ以外には出来る奴は……そもそもやろうとする奴はいねぇだろうなぁ」
オレは地面に散らばる水晶の欠片と、捨てられた生ゴミを拾い集める。
まあ生ゴミは、家の庭の菜園の肥料として使うことにして。
オレはドアを開けて3人を家に招いたのだった。
「2週間、掃除サボってた訳だからなぁ。少し埃っぽいがぁ……まあ、大丈夫だろぉ。好きなとこ座ってくれ」
「……オレは立っている」
「立つも座るも、どうぞ勝手に」
ミナトとクシナさんはおずおずと椅子に腰掛け、エンはドアの側に立つ。
全員が落ち着いたのを見て、オレは話し出した。
「じゃあ、話を聞かせてもらいたいんだけど……」
「わかってる。とりあえずまずは、3人ともが気になってると思うけど、この炎について話そうか」
オレの持つ、雨の炎と嵐の炎、霧の炎についてだけだがな。
「実は鬼崎の一族には、古くより伝わる伝説の指輪があってな……。オレが扱う術の大半がその指輪から出てくる炎の術なんだぁ」
「ん!コウヤ君話す気ないよね!そんな雑な誤魔化し、聞いたことないよ!!」
「でもそれ以上の説明できねぇし」
「え……いやいや、流石に誰もそんな事信じないからね?どれだけ本気の表情しても無駄だよ?」
オレはとりあえず誤魔化してみた。
いや、本当の事言うわけにはいかねーだろ?
だからこれは仕方のないことだったんだミナト……、不可抗力なんだよ。
「本当なんだっての。この指輪はマジで家の地下書庫で見付かったんだぜ」
「えー……」
残念ながらこれは本当だ。
地下書庫にポツンと置いてあるのを見付けて、即回収したのである。
前回と違って、早い内に手に戻ってきてラッキーだったぜ。
「これ、青いのが鎮静の効果があって、赤いのが分解の効果があって、藍色のが構築の効果があるんだ」
「あ、術については真面目に説明するんだね!!」
「青と赤はこれだけでも攻撃として使えるが、藍のは幻術なんかに使ったりするなぁ」
「!もしかしてさっきのは……」
「あ゙あ、さっきのって、アレだろぉ?家が元に戻った奴。アレは家に悪戯しようとした奴らに、悪戯をしたように錯覚させる幻術かけて……あ゙ー、説明面倒だがぁ、まあつまり、幻術見せて家を直接的な被害から守ってたわけだぁ」
「そうか……そうか、それで生ゴミとか地面についていた汚れは、そのままだったのか」
「お゙ー、エンは優秀だなぁ」
「あれ?言外にオレ貶されてない?」
「気のせいだろぉ」
「気のせいだってばね!」
「気のせいではないですか」
ミナトは少し不満そうだが、とにかくオレは説明らしきものを続ける。
「それでよぉ、2週間どこで何してたか、って聞かれたが、実は森に籠りながら、暇潰しに鬼崎の秘伝の技を習得しててなぁ」
「それってよ、それって暇潰しにやるもんなのか?」
「オレにとっては。で、習得したんだがなぁ。なんか、面白い技だぜ」
「え、習得しちゃったのかい!?」
「どんな技なんだってばね!?」
オレは二人の言葉を受けて、ピョンっと椅子から飛び降りる。
そして壁を背に立っているエンに近付いて、人差し指を立て、ピッと降り下ろす。
「……あ?」
「……な、切れた?」
「そう、鬼崎は元々『気裂』と書いた。その名の通り、気……つまり空間を切り裂く能力を持った一族だったぁ。その能力を応用すれば……!」
「……!?」
オレが人指し指でなぞった空間が、ピッと裂けた。
その裂けた空間が、オレが指をかけて横に引くことで大きく広がる。
そして驚いて絶句しているエンの背後に回ってその背……には届かなかったので脚に体当たりをして裂いた空間に押し込む。
そしてエンが中に入ったと同時にその空間の端をくっ付けて閉じた。
「人や物を収納することも可能!」
「ちょ、ちょっと!彼の事どうしちゃったんだい!?」
「しまっただけだぜ?こうすれば……」
オレはもう一度人差し指で空間を裂く。
「ぶはっ!?」
「ほらよ、出てきたぜぇ」
「大丈夫エン!?」
出てきたエンが膝を付いたのを見て、ミナトが慌てて駆け寄る。
気裂の術、って言うのはあまりにも安易なネーミングかもしれないが、まあつまりは空間忍術である。
ミナトの術には劣るが、この術もだいぶ便利だ。
「オレが2週間にしてたのは、この術の修行とかで、3人が聞きたいだろうオレの持つ不思議な術はこの炎だぁ。そんで、他に何か聞きたいことは?」
やりきったぜ、って感じで腰に手を当てたオレを、3人が唖然と見詰めていた。