×鳴門
「鬼崎コウヤの~、サバイバル3分クッキング~。用意するのはそこら辺の川で釣った魚と罠にかかったウサギちゃん、そしてそこら辺から採った野草や木の実持参したお塩とコショウでーす」
「おい」
「まずは魚とウサギを捌きまーす。グロいので中略ー。そして上手く捌けたモノがこちらになりまーす。この魚とウサギに塩コショウを振って下味をつけまーす」
「おい、鮫弥」
「魚は串に刺して塩焼きに、ウサギは野草で香り付けをして蒸し焼きに。残ったウサギの骨は沸騰したお湯の入った鍋に入れて出汁を取り、余ったお肉と木の実や野草を入れて、最後に塩コショウで微調整。簡単なスープの完成でーす」
「おい、鮫弥!お主寂しいならバカなことをしてないでさっさと家に戻れば良いだろう!」
「戻ったら面倒な奴らの相手しなくちゃなんねェじゃねーかぁ。商店街の連中、家の壁に落書きしに来てるんだぜ毎日!万が一鉢会ったらオレ思わずサックリ殺っちまうかもしんねえだろうがぁ」
「そっちの心配か!」
木ノ葉の里の外れにある我が家、そこから更に離れた緑深い森の中で、オレは紫紺と二人、野宿をして過ごしていた。
と言っても、商店街から出た後すぐに、オレは紫紺と式神融合でバミューダに変化して家に帰り、寝袋とか調味料とか服とか、とにかく必要そうな物を持って出てきたから、野宿でも不便はほとんどなかった。
「ミナト、とか言ったか?あやつらとて、お主が言った言葉を鵜呑みにするほど、愚かではないだろう?お主の事を分かって、守ろうとしてくれるのではないのか?」
「うるせえなぁ。別にオレはアイツらになんて会いたかねぇんだよ」
「ふん、嘘つきめ……」
「……今帰ったら面倒な事も本当だし、まだ帰らねえし」
「意地っ張りめ」
最近ずっと、オレの側には誰かがいた。
今までは母さんがずっと一緒に居てくれて、母さんが死んだ後には、ミナトとか、オビトとか、たまにリンも遊びに来てくれた(リンは紫紺目当てだろうけど)。
「本音を言ってみろこの馬鹿主め!」
「…………その、会いたいけど、会うのヤダ。怖い」
「馬鹿め!」
「主はどこに捨ててきた。せめて馬鹿主って言えよ」
いくら対等な関係と言っても、馬鹿と言われることには納得いかない。
不満そうなオレに対して、紫紺は呆れたようにため息を吐く。
「会いたいなら会ってこい。実際会ってみれば案外、何でもなく済むかもしれんだろう」
「いーやーだーよぉ、ゼッテー面倒な事になんだろぉがよぉ。もうオレずっと森に引き込もって生活する。誰とも会わねぇ」
「我が儘を言ってないでさっさと家に帰れクソガキ!」
「ゔぉっ!?」
もう2週間もこの調子で動かなかったからか、紫紺がついにキレた。
ぼふっと煙を上げて、紫紺の姿が変わる。
そこにいたのは何故かザンザスの姿。
野郎……オレの記憶にある人物には、あんまり化けるなって言ってたのにカス!
ザンザスの姿のままで、オレを肩に担ぎ上げた紫紺は、物凄いスピードで走り出した。
「離せバカ紫紺!」
「我もいい加減限界だ。さっさと奴らに頭下げて謝ってこい!」
「せめて心の準備とかさせろよゔお゙ぉい!」
「知るか!」
そうしてオレは、紫紺によって自宅へと運ばれていったのだった。
* * *
コウヤが帰ってこないまま2週間が経った。
オレは今日もコウヤの家に来たけど、アイツが帰ってきた様子はない。
でも家には色んな奴が来た形跡があった。
壁中に落書きとか、卵をぶつけた跡とかがあるし、ドアを無理矢理開けようとしたのか、ドアノブが歪んでいる。
「何やってんだよ……あのバカは……」
ミナト先生やクシナさんも何度か来てたけど、二人ともそのせいで仕事が溜まってしまったらしく、今日は揃って必死に仕事を片しているらしい。
「早く帰ってこいよ……」
「全くだ。グズグズしてないでさっさと帰ってくればよかったのだ」
「そうそう……って、え!?誰!?」
「ん゙ー!ん゙ん゙ー!!」
「コ、コウヤ!!」
突然、背後から誰かの声が聞こえて、オレは慌てて振り向いた。
そこにいたのは、白い肌に真っ黒で硬そうな髪、そして血のように紅い瞳の大男。
余りの驚きに固まっちまったけど、男の腕の中から聞こえてきた声で、我に返る。
男に抱えられて口を塞がれているのは紛れもなくコウヤだった……んだけど、何でこうなったんだ!?
「おい!アンタ誰だよ!?コウヤの事を離せ!!」
「五月蝿いぞ小僧。我は紫紺だ。今離すと逃げられる」
「え、紫紺って……あの狐の!?」
「ん゙むぐぐぅう!」
「うるせぇぞカスザメ!」
「んむっ!?」
紫紺の紫紺らしくない一喝で、何故かコウヤは静かになる。
ため息を吐いた紫紺がコウヤを地面に降ろして、ようやくオレ達はまともに向き合ったのだった。
「おい」
「まずは魚とウサギを捌きまーす。グロいので中略ー。そして上手く捌けたモノがこちらになりまーす。この魚とウサギに塩コショウを振って下味をつけまーす」
「おい、鮫弥」
「魚は串に刺して塩焼きに、ウサギは野草で香り付けをして蒸し焼きに。残ったウサギの骨は沸騰したお湯の入った鍋に入れて出汁を取り、余ったお肉と木の実や野草を入れて、最後に塩コショウで微調整。簡単なスープの完成でーす」
「おい、鮫弥!お主寂しいならバカなことをしてないでさっさと家に戻れば良いだろう!」
「戻ったら面倒な奴らの相手しなくちゃなんねェじゃねーかぁ。商店街の連中、家の壁に落書きしに来てるんだぜ毎日!万が一鉢会ったらオレ思わずサックリ殺っちまうかもしんねえだろうがぁ」
「そっちの心配か!」
木ノ葉の里の外れにある我が家、そこから更に離れた緑深い森の中で、オレは紫紺と二人、野宿をして過ごしていた。
と言っても、商店街から出た後すぐに、オレは紫紺と式神融合でバミューダに変化して家に帰り、寝袋とか調味料とか服とか、とにかく必要そうな物を持って出てきたから、野宿でも不便はほとんどなかった。
「ミナト、とか言ったか?あやつらとて、お主が言った言葉を鵜呑みにするほど、愚かではないだろう?お主の事を分かって、守ろうとしてくれるのではないのか?」
「うるせえなぁ。別にオレはアイツらになんて会いたかねぇんだよ」
「ふん、嘘つきめ……」
「……今帰ったら面倒な事も本当だし、まだ帰らねえし」
「意地っ張りめ」
最近ずっと、オレの側には誰かがいた。
今までは母さんがずっと一緒に居てくれて、母さんが死んだ後には、ミナトとか、オビトとか、たまにリンも遊びに来てくれた(リンは紫紺目当てだろうけど)。
「本音を言ってみろこの馬鹿主め!」
「…………その、会いたいけど、会うのヤダ。怖い」
「馬鹿め!」
「主はどこに捨ててきた。せめて馬鹿主って言えよ」
いくら対等な関係と言っても、馬鹿と言われることには納得いかない。
不満そうなオレに対して、紫紺は呆れたようにため息を吐く。
「会いたいなら会ってこい。実際会ってみれば案外、何でもなく済むかもしれんだろう」
「いーやーだーよぉ、ゼッテー面倒な事になんだろぉがよぉ。もうオレずっと森に引き込もって生活する。誰とも会わねぇ」
「我が儘を言ってないでさっさと家に帰れクソガキ!」
「ゔぉっ!?」
もう2週間もこの調子で動かなかったからか、紫紺がついにキレた。
ぼふっと煙を上げて、紫紺の姿が変わる。
そこにいたのは何故かザンザスの姿。
野郎……オレの記憶にある人物には、あんまり化けるなって言ってたのにカス!
ザンザスの姿のままで、オレを肩に担ぎ上げた紫紺は、物凄いスピードで走り出した。
「離せバカ紫紺!」
「我もいい加減限界だ。さっさと奴らに頭下げて謝ってこい!」
「せめて心の準備とかさせろよゔお゙ぉい!」
「知るか!」
そうしてオレは、紫紺によって自宅へと運ばれていったのだった。
* * *
コウヤが帰ってこないまま2週間が経った。
オレは今日もコウヤの家に来たけど、アイツが帰ってきた様子はない。
でも家には色んな奴が来た形跡があった。
壁中に落書きとか、卵をぶつけた跡とかがあるし、ドアを無理矢理開けようとしたのか、ドアノブが歪んでいる。
「何やってんだよ……あのバカは……」
ミナト先生やクシナさんも何度か来てたけど、二人ともそのせいで仕事が溜まってしまったらしく、今日は揃って必死に仕事を片しているらしい。
「早く帰ってこいよ……」
「全くだ。グズグズしてないでさっさと帰ってくればよかったのだ」
「そうそう……って、え!?誰!?」
「ん゙ー!ん゙ん゙ー!!」
「コ、コウヤ!!」
突然、背後から誰かの声が聞こえて、オレは慌てて振り向いた。
そこにいたのは、白い肌に真っ黒で硬そうな髪、そして血のように紅い瞳の大男。
余りの驚きに固まっちまったけど、男の腕の中から聞こえてきた声で、我に返る。
男に抱えられて口を塞がれているのは紛れもなくコウヤだった……んだけど、何でこうなったんだ!?
「おい!アンタ誰だよ!?コウヤの事を離せ!!」
「五月蝿いぞ小僧。我は紫紺だ。今離すと逃げられる」
「え、紫紺って……あの狐の!?」
「ん゙むぐぐぅう!」
「うるせぇぞカスザメ!」
「んむっ!?」
紫紺の紫紺らしくない一喝で、何故かコウヤは静かになる。
ため息を吐いた紫紺がコウヤを地面に降ろして、ようやくオレ達はまともに向き合ったのだった。