×鳴門

「私ずっと兄弟が欲しかったのよね!コウヤ君、今日は私の事、本当のお姉ちゃんだと思っても良いからね!」
「本当?嬉しいなぁ。クシナさんみたいな美人のお姉さんが出来るなんて」
「んもー!正直者なんだってばねコウヤは!今日は何でも買ってあげるわ!」
「ふふ、ありがとうクシナさん」

クシナさん……うずまきクシナさんは、とても元気な人だった。
そしてそんな彼女と話しているオレに向けられる、男二人の目線はなんだか生暖かい。

「……末恐ろしい子だね、コウヤ君」
「あんなキザったらしい事、よく平気な顔で言えるなアイツ……!」

って、その言葉全部筒抜けだぞオイ。
美人に美人と言って何が悪い。
何とか酔いから復活したオレは、ボロボロのミナトとお疲れ気味のオビトを連れ、クシナさんと並びながら商店街を歩いていた。
まずは武器屋に寄って、その後、本屋と服屋に行くらしい。
武器屋があるのは知っていたが、入るのは初めてで、密かに楽しみにしていた。
クシナさんが入っていく後ろに着いて、オレも中に入る。
おぉ!こんなにじっくりクナイとか手裏剣見たの初めてかも。

「らっしゃい!お、クシナさん久々だねぇ!ミナトさんにオビト君も!それと……その子は誰だい?」
「久しぶりねオジサン!この子は友達の子で……、今度アカデミーに入学するから色々とお買い物に来たのよ!」
「お!そうかいそうかい!うちには良い品がたくさんあるからねぇ!いっぱい買ってってくんな!」

二人とも会話に感嘆符が多い。
まあつまりは、元気って事なんだろうけど、端で聞いてても余りのテンションの高さに疲れちゃいそうだ。
オレは店主に愛想笑いを浮かべて会釈すると、店内の品物を眺め始めた。
手裏剣にも色々種類があるんだな。
お、小刀とかもある……長いのもあるけど、値段高いな……。

「あ、」
「ん!何か気になるのでもあった?」
「これ……紐か?こんなのでどうやって戦うんだよ?」
「なぁに言ってやがらい!紐ってのは使いようによっちゃあ、最強の武器にもなるんだぜ!?」
「そ、そうなのか!?」

そう、店主の言う通り、紐と言うのは使う人間によってはとても良い武器になる。
拘束具としてだけでなく、トラップ、武器、防具、様々な使い方がある。

「これ、買うかい?」
「……うん、欲しい」
「ふふ、珍しく素直だね」
「じゃあクシナ姉ちゃんがその紐買ってあげるってばね!」
「良いの?」
「あったりまえよ!」

どんっ!と胸を叩いてクシナさんは言ってくれて、彼女の優しさに、オレは嬉しくなって笑った。

「ありがとう、クシナさん」
「子供は遠慮しないで、ドーンと大人を頼りなさいってばね!」
「ん!そうだよ!まだ君は子供なんだから、素直に大人を頼って良いんだからね」
「オレもミナト先生やクシナさんのこと頼りまくってるからな!お前も気にせずガンガン頼れ!」
「オビトのは胸張って言うことじゃねーだろぉ」
「うっ、うるさいなぁ!」

むぅっと頬を膨らませて怒るオビトに、オレは思わずクスクスと笑う。
こんなに、楽しい、なんて思うのは、母さんが死んで以来、初めてかもしれない。
笑いすぎて目尻に滲んだ涙を拭い、オレはクシナさんの手をとって言った。

「じゃあ、早く買って次の店に行こうっ」
「ん!そうだね!えーっと必要なのは手裏剣とクナイと……ホルスターも必要だよね」
「かぁーっこいいの買うわよ!」
「オレのセンス的には、このホルスターがイチオシだな!」
「えぇ……、ダサいだろそれ」
「なにーっ!?」

皆でワイワイ騒ぎながら、必要なモノを選んでいった。
オビトがやたらゴーグル勧めてくるのはちょっとウザかったけど、楽しくって、オレは少し浮かれていたのかもしれない。
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