×鳴門

「ちょっと待ってろ」

そう言って消えた15分後、帰ってきたコウヤ君は、何故か何個かの四角い石を持っていた。

「えーと……、それは?」
「墓石だぁ」

シャベルで土を掘り返し、掘った穴の中に骨壷を置く。
その上に薄くて大きい石を、その
上に少し小さくて分厚い石を、更にその上に縦長の石を置く。
ああ、なるほど、こうすれば確かに、立派な墓に見える。

「聞きたいことがあるんだけど、」
「その前に線香あげるぞぉ」
「……ああ、そうだね」

お線香に火をつけて、墓前に供えた。
その横に、コウヤ君が果物と花を置く。
コップに水を注ぎ、果物の横に置いて、手を合わせて暫く黙祷した。

「……で、何を聞きてぇんだ?」
「ん、このお墓のことなんだけど、随分綺麗な四角だね。どこで見付けてきたんだい?」
「お前の家の土台からちょこっとな。削って……、」
「ダメでしょ!?え?オレの家の?削ってきちゃったの!?」
「冗談だぁ」
「笑えないよ!!」

結局答える気はないらしくて、「なかなか上手く削れただろ」なんて誇らしげに胸を張っている。
御丁寧に彼女の名前まで彫られている墓石。
その表面は、ざらざらとしている。
切り出したって言うよりは、まさに削り出したという風情のその石は、削った割りには真っ直ぐな面と垂直な角をしている。
風属性の忍術で切ったんなら表面はもっと滑らかになるし……、忍術で切ったらコントロールがきかなくてガタガタになってしまうはずだ。

「何で削り出したんだい?」
「秘密だぁ」
「……どうやってこんな重いの持ち上げてたんだい?」
「気合い?」

答えが得られる気がしない。

「それより、もう昼だろ。なんか食おうぜ」
「ん?そうだね。そろそろお腹も減ってきたし。何を食べたい?」
「……シーフードドリア?」

これまた変わった注文である。
んー、料理はあまり得意じゃないんだけど、まあ、食べられないようなものにはならないだろうから、ね。
ハハハ……。

「でも手間の掛からないやつのがいいよな。炒飯とかでいい」
「え?ドリアじゃなくていいのかい?」
「別に、何でも構わねーよ。つか、お前料理出来るのか?」
「え、それは、まあ、人並みにね?」

挙動不審になってしまったことは否めないね。
嫌でもオレだって炒飯くらい作れる。
忍として、最低限の料理はできなくちゃ困るしね。

「炒飯くらいなら作れるよ!キッチン、使わせてもらうね!」
「……オレも手伝うぜぇ」
「ん、助かるよ!」

かくして、オレとコウヤ君は炒飯を作り始めたのである。
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