×鳴門
オレの朝は早い。
日の出と共に起き、剣の修業をする。
育てている野菜に水をやり、飛んでくる鳥に餌付けしてやる。
その日は4代目火影の野郎の家から自宅に帰って、いつも通りのその行程を済ませ、いつもは母さんが作ってくれていた朝食を一人で作った。
ああ、そうか、母さんはもう、いないのか。
久々に一人で食べる朝食の味気なさに、少し涙が落ちた。
甘いはずの卵焼きが、少ししょっぱく感じた。
「……よし」
とんっとテーブルに手をついて立ち上がる。
このあとの予定をちゃんと立てよう。
母さんの墓は、ここの庭に作ろう。
……ああ、そうだ、母さんの写真をひとつ、ロケットに入れておこう。
確か小物入れにあったはず。
「お、あったあった」
見付けた貝の形のロケット。
写真を入れられるペンダントだ。
そこに母さんの写真を入れる。
母さんが傍に居てくれているようだ。
「あと、家の片付け、しねぇとなぁ。……どーすんだこれぇ」
壁はボロボロに剥がされてるし、家具は滅茶苦茶に壊されてて、手のつけようがない。
どこから片そうか……。
それから、オレの一族の事についてもしっかり調べておきたい。
全ての過去を、全ての事実を、見て、聞いて、読んで、知っていたい。
「とにかく、まずは、母さんを埋めてやらねーとな……」
被害のなかった部屋に安置されている、母さんの骨。
ちゃんと眠らせてやりてぇ。
そんなことを思って、骨壷を見詰めていた時、玄関から人が入ってくる気配を感じた。
部屋から出て、迎えにいく。
「よ、よかった!起きたらいなくなっていたからね!どこにいっちゃったのか心配したんだよ!?」
「わりぃなぁ」
「へ?あ、うん……。なんか、思ったより素直に謝ったね……?」
そりゃあ、何も言わずに勝手にいなくなったのは悪いと思っているからな。
ただ、一人でいたかっただけだから、後悔はしてねーけど。
「えーっと、何してたんだい?」
「修業に、家庭菜園に、鳥の餌付けに、朝飯」
「うん、充実した朝だね……」
胡散臭いものを見るような目でオレを見る火影とやら。
子供っぽくなくて悪かったなぁ?
「と、いうか、朝君が起きたとき、オレ全く気付かなかったんだけど?」
「次期火影の癖にショボいなぁ」
「逆だよ!!君本当に何者なんだい!?気配も何も感じなかったんだよ!!」
本格的に疑いの眼差しを向けてくる野郎に、わざと意味ありげにニヒルに笑った。
「ひ、み、つ」
「……ん、ならオレは君が話すまでとことん待つよ」
「勝手にしやがれ、ぶわぁーか」
「ふっふーっ!待つついでに、積極的に言いたくなるように努力してみるのもありかもね♪」
オレの頭をグリグリと撫でながら、にへにへと笑う。
その手を叩き落としながら、向こう脛に蹴りを入れた。
痛かったのか、ゴロゴロ転げ回るのを、ゲラゲラ笑いながら見ていた。
……あ、そう言えば。
「お前、名前何て言うんだ」
「え?言わなかったっけ?」
「言おうとはしてた、かも?」
「ん、オレは……、オレの名前は、波風ミナト!4代目火影候補の波風ミナトだ!」
「……そうか、波風ミナト。オレの名は、鬼崎コウヤ。ただの人間の鬼崎コウヤだぁ!」
「ん!よろしくね、コウヤ君!」
「よろしくすんのはいいが、オレの邪魔はすんなよ」
「……なんで、そんなに上から目線なのかな」
「お前が弱いから」
「仮にもこれから火影にならんとする人に弱いなんて言うのは、君くらいだろうね……」
「文句いうなぁ。大人だろ」
「むしろなんで君は大人じゃないんだよ」
軽口を叩き、どちらともなく、部屋の片付けを始めた。
日の出と共に起き、剣の修業をする。
育てている野菜に水をやり、飛んでくる鳥に餌付けしてやる。
その日は4代目火影の野郎の家から自宅に帰って、いつも通りのその行程を済ませ、いつもは母さんが作ってくれていた朝食を一人で作った。
ああ、そうか、母さんはもう、いないのか。
久々に一人で食べる朝食の味気なさに、少し涙が落ちた。
甘いはずの卵焼きが、少ししょっぱく感じた。
「……よし」
とんっとテーブルに手をついて立ち上がる。
このあとの予定をちゃんと立てよう。
母さんの墓は、ここの庭に作ろう。
……ああ、そうだ、母さんの写真をひとつ、ロケットに入れておこう。
確か小物入れにあったはず。
「お、あったあった」
見付けた貝の形のロケット。
写真を入れられるペンダントだ。
そこに母さんの写真を入れる。
母さんが傍に居てくれているようだ。
「あと、家の片付け、しねぇとなぁ。……どーすんだこれぇ」
壁はボロボロに剥がされてるし、家具は滅茶苦茶に壊されてて、手のつけようがない。
どこから片そうか……。
それから、オレの一族の事についてもしっかり調べておきたい。
全ての過去を、全ての事実を、見て、聞いて、読んで、知っていたい。
「とにかく、まずは、母さんを埋めてやらねーとな……」
被害のなかった部屋に安置されている、母さんの骨。
ちゃんと眠らせてやりてぇ。
そんなことを思って、骨壷を見詰めていた時、玄関から人が入ってくる気配を感じた。
部屋から出て、迎えにいく。
「よ、よかった!起きたらいなくなっていたからね!どこにいっちゃったのか心配したんだよ!?」
「わりぃなぁ」
「へ?あ、うん……。なんか、思ったより素直に謝ったね……?」
そりゃあ、何も言わずに勝手にいなくなったのは悪いと思っているからな。
ただ、一人でいたかっただけだから、後悔はしてねーけど。
「えーっと、何してたんだい?」
「修業に、家庭菜園に、鳥の餌付けに、朝飯」
「うん、充実した朝だね……」
胡散臭いものを見るような目でオレを見る火影とやら。
子供っぽくなくて悪かったなぁ?
「と、いうか、朝君が起きたとき、オレ全く気付かなかったんだけど?」
「次期火影の癖にショボいなぁ」
「逆だよ!!君本当に何者なんだい!?気配も何も感じなかったんだよ!!」
本格的に疑いの眼差しを向けてくる野郎に、わざと意味ありげにニヒルに笑った。
「ひ、み、つ」
「……ん、ならオレは君が話すまでとことん待つよ」
「勝手にしやがれ、ぶわぁーか」
「ふっふーっ!待つついでに、積極的に言いたくなるように努力してみるのもありかもね♪」
オレの頭をグリグリと撫でながら、にへにへと笑う。
その手を叩き落としながら、向こう脛に蹴りを入れた。
痛かったのか、ゴロゴロ転げ回るのを、ゲラゲラ笑いながら見ていた。
……あ、そう言えば。
「お前、名前何て言うんだ」
「え?言わなかったっけ?」
「言おうとはしてた、かも?」
「ん、オレは……、オレの名前は、波風ミナト!4代目火影候補の波風ミナトだ!」
「……そうか、波風ミナト。オレの名は、鬼崎コウヤ。ただの人間の鬼崎コウヤだぁ!」
「ん!よろしくね、コウヤ君!」
「よろしくすんのはいいが、オレの邪魔はすんなよ」
「……なんで、そんなに上から目線なのかな」
「お前が弱いから」
「仮にもこれから火影にならんとする人に弱いなんて言うのは、君くらいだろうね……」
「文句いうなぁ。大人だろ」
「むしろなんで君は大人じゃないんだよ」
軽口を叩き、どちらともなく、部屋の片付けを始めた。