if群青×戯言、零崎威識の人間遊戯
「……マフィアに、暗殺者……。武がそんなことに巻き込まれてたとはなぁ……」
「やはり、沢田家光からは何も聞いてなかったんだなぁ」
「恐らくその……リング争奪戦?っつー奴があった頃に、ツナ君のお父さんから少しだけ話は聞いたが……。元々オレぁ、息子の事情に下手に首を突っ込むつもりもなかったから、深くは聞かなかったんだ。今となっちゃ、後悔ばかりだな……」
説明を聞いたあと、納得した剛は、後悔に拳を震わせながら、ガチガチに拘束された息子を見る。
もしもあの時、詳しく話を聞いていたら。
もしもマフィアなんて拒絶して、息子を連れて逃げ出していたのなら。
後悔の想いが口を突いて出そうになる。
だが剛は、無理矢理にそれを飲み下した。
「だが、後悔したってしゃーないわな。武が自分で選んで進んできた道なんだ。今更オレが、それを否定するなんて、筋じゃねーわな」
本心は違うだろう。
その言葉は、自分自身に言い聞かせるように重苦しく落ちた。
「……これから、武はどうなるんだ?」
「オレの知り合いを頼って、なんとか零崎にコイツを送り届ける。仲間に保護されて、ある程度鍛えればもしかしたら、殺しの発作もコントロール出来るようになるかもしれねぇ。……これは、希望でしかねぇがな」
希望でしかない。
だが、零崎という一賊が、この情報社会で見境なく人殺しを働こうものなら、その存在は必ずどこかから漏れる。
発作をコントロールして、ある程度殺意をコントロール出来るのではないかという仮説は、正しいように思える。
「そうするしかないんだな」
「こうするしかねぇ。野放しにしたら、アンタや仲間、この町中の人間にも危険が及ぶ。だがもし監禁したり、危害を加えたことが仲間の零崎にバレたりしたら、その時こそオレ達は確実に終わりだぁ。零崎は仲間に手を出した者には容赦をしないと聞く。老若男女、関係ある者はすべからく皆殺し!!
それを避けるためには、オレにはこの方法以外思い付かねぇ」
真っ直ぐに自分の目を見て言ったスクアーロを見返し、固く一文字に口を引き結んだ剛は、しばらく何も声を出さなかった。
スクアーロも、余計な口出しはせずに静かに待っていた。
手段は1つしかない。
それでも、息子を殺人鬼の元に送るなんて、息子を殺人鬼と認めるなんて。
並大抵の覚悟ではないことなど、容易に想像することが出来た。
「少し、二人きりにしてくれねえか?」
「……ソイツが目を覚ましたら呼んでくれ」
それだけ言って、部屋を出て、スクアーロは疲れたように座り込んで目を瞑った。
店の客席、いつもなら店主である剛の、威勢のいい声が聞こえるはずのその場所。
ぐったりと椅子にへたり込んだスクアーロは、瞼の裏の暗闇に、かつて日本で会った裏世界の人間を思い浮かべる。
そう、それは今から、6年ほど昔の話……。
「やはり、沢田家光からは何も聞いてなかったんだなぁ」
「恐らくその……リング争奪戦?っつー奴があった頃に、ツナ君のお父さんから少しだけ話は聞いたが……。元々オレぁ、息子の事情に下手に首を突っ込むつもりもなかったから、深くは聞かなかったんだ。今となっちゃ、後悔ばかりだな……」
説明を聞いたあと、納得した剛は、後悔に拳を震わせながら、ガチガチに拘束された息子を見る。
もしもあの時、詳しく話を聞いていたら。
もしもマフィアなんて拒絶して、息子を連れて逃げ出していたのなら。
後悔の想いが口を突いて出そうになる。
だが剛は、無理矢理にそれを飲み下した。
「だが、後悔したってしゃーないわな。武が自分で選んで進んできた道なんだ。今更オレが、それを否定するなんて、筋じゃねーわな」
本心は違うだろう。
その言葉は、自分自身に言い聞かせるように重苦しく落ちた。
「……これから、武はどうなるんだ?」
「オレの知り合いを頼って、なんとか零崎にコイツを送り届ける。仲間に保護されて、ある程度鍛えればもしかしたら、殺しの発作もコントロール出来るようになるかもしれねぇ。……これは、希望でしかねぇがな」
希望でしかない。
だが、零崎という一賊が、この情報社会で見境なく人殺しを働こうものなら、その存在は必ずどこかから漏れる。
発作をコントロールして、ある程度殺意をコントロール出来るのではないかという仮説は、正しいように思える。
「そうするしかないんだな」
「こうするしかねぇ。野放しにしたら、アンタや仲間、この町中の人間にも危険が及ぶ。だがもし監禁したり、危害を加えたことが仲間の零崎にバレたりしたら、その時こそオレ達は確実に終わりだぁ。零崎は仲間に手を出した者には容赦をしないと聞く。老若男女、関係ある者はすべからく皆殺し!!
それを避けるためには、オレにはこの方法以外思い付かねぇ」
真っ直ぐに自分の目を見て言ったスクアーロを見返し、固く一文字に口を引き結んだ剛は、しばらく何も声を出さなかった。
スクアーロも、余計な口出しはせずに静かに待っていた。
手段は1つしかない。
それでも、息子を殺人鬼の元に送るなんて、息子を殺人鬼と認めるなんて。
並大抵の覚悟ではないことなど、容易に想像することが出来た。
「少し、二人きりにしてくれねえか?」
「……ソイツが目を覚ましたら呼んでくれ」
それだけ言って、部屋を出て、スクアーロは疲れたように座り込んで目を瞑った。
店の客席、いつもなら店主である剛の、威勢のいい声が聞こえるはずのその場所。
ぐったりと椅子にへたり込んだスクアーロは、瞼の裏の暗闇に、かつて日本で会った裏世界の人間を思い浮かべる。
そう、それは今から、6年ほど昔の話……。