if群青×戯言、零崎威識の人間遊戯

「武っ!!」
「親父さんは下がってろぉ!!」

山本武含む、10代目ファミリー達が10年後の世界から帰ってきた後、山本の実家である寿司屋を訪れた。
そして山本と会ってすぐに、それを後悔する羽目になった。

「死ねぇ!ヴァリアー!!」

ヴァリアーの中の誰かに恨みのある奴だったんだろう。
オレには覚えがなかったが、とにかく襲い掛かってきたソイツを迎え撃つために、オレは振り向いた。
オレなら、誰かの力を借りずともその男を倒せていた。
だが、オレよりも早く、山本がその男を切り伏せていた。
散る鮮血、血と脂で妖しく光る日本刀、噎せ返るような血の臭い。
絶命して地面に崩れ落ちた男の体を前に、山本は豹変した。
男に続くように次々と沸いて出るマフィアたちを一人残らず丁寧に斬り殺していく山本は、あり得ないほどいつも通りの笑顔を浮かべていた。

「ゔお゙ぉい山本ぉ!!オレが相手だぁ!!」
「フフフ……アハハハハ!」

正直、相手が零崎では、オレに勝ち目はない。
かつて日本に来たときに見た、零崎という殺人鬼。
あれと比べればまだまだ青いが、それでもその殺気は常軌を逸していた。
受け止めた剣の刃が耳障りな音を立てて削られる。
放った爆薬を避けて一瞬距離を取った山本だったが、すぐさまとって返して刀を降り下ろす。
受け止めた剣の刃が、ガリガリと嫌な音を立て、削られていく。
ギリギリで受け止められたが、このままだと保たねぇ。
両手は塞がっている。
どうする……!?

「おい!兄ちゃん!!さっさと逃げろ!!」
「!?」

目の前にいた山本がフッと姿を消す。
いや、横から突き出された竹刀を避けて退いたのだ。
竹刀の持ち主は山本剛……山本武の父親。
時雨蒼燕流8代目当主。

「オレが囮になる!兄ちゃんはさっさと……、」
「逃げれるわけねぇだろぉ!!アイツ止めねぇと更に被害者は増えるぞぉ!!アンタがアイツの気を逸らせろ!!オレが捕まえる!!」
「……ああ!!」

オレ一人でこいつを相手にするのはきつい。
例えマフィアだろうと、例え人殺しの剣を受け継ぐ者だろうと、零崎というのは別次元に住まう者、叶いっこないのだ。
だがラッキーなことにこちらは二人、あちらは覚醒したてのひよっ子一人。
なんとかなるはず……!!

「こっちだ!!」
「……!!」

親父が山本の気を引く。
その隙にオレは銃やワイヤーを駆使して行動の幅を狭める。
確か、コイツらは殺気に敏感だった、はず。
殺気はできる限りゼロに近づけて、ワイヤーで四肢を絡めとる。

「とっ……たぁぁあ!!」
「!?」

固く、何重にも巻いたワイヤーを絞り上げて、姿勢を崩させる。
そして親父さんが鳩尾に突きをいれ、ようやく山本は大人しくなったのだった。
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