if群青×黒子、違う世界の人たち
「……しかし、広い基地だな。こんなもの、どうやって作ったのだよ?」
「え?そりゃー……、権力とお金と最先端技術を使ってコッソリとね♪」
「な……勝手に作っちゃったのか!?」
「えー?そんなことないよ♪コッソリ作っちゃっただけ」
「勝手に作っちまったってことじゃねーのか、それ?」
ヘラヘラと笑って言う白蘭に振り回されて、秀徳の二人と、桐皇の二人は、かなり疲れたような顔をしている。
いつも通りなのは、陽泉の二人くらいか。
「つーかさー、こんだけ技術力もあって、戦力も揃ってんのに、それでも勝てないわけ?」
「敵に?」
「そ、敵に。アイツら、見た目こそ怖かったけど、あんたらは平気な顔して倒してたじゃん」
「……平気な顔に、見えましたか?」
「?違うの?」
「ふふ、少なくともボクは、平気じゃなかったかなぁ」
「え?」
何の気もなく言ったのだろう、紫原の言葉に、一瞬その場の空気が張り詰めた。
白蘭を含む、ミルフィオーレの人間、そして、近くを歩いていた人間にまで、スッと影が落ちる。
「今回は、こっちの損害もなかなかのものだったからね」
「損害……?」
「あなた方が試合をしていた会場での戦闘。あそこでの死者、重傷者は奇跡的にゼロでした。しかし戦闘が行われたのは、あの場だけではありません。バスの道中、敵を撒くための囮となった人々、基地に近付いた敵を倒すための戦闘……様々な場所で、死闘が繰り広げられていた」
「桔梗……!それはわざわざ教えなくても……!!」
「正ちゃん、ダメだよ。彼らには知る権利があるのさ♪……いや、知る義務がある」
キュウっと、目を細めて笑う白蘭に、緑間達はグッと唾を呑み込む。
入江は珍しく険しい表情を浮かべて、白蘭を睨んでいた。
「綱吉君は望んでいません。僕だって、言う必要はないと考えています。僕達は彼らを守るために動いているんだ。僕達が受けた傷のことを、彼らに話す必要はありません」
「……ふふ、そうだねぇ。そうかもしれない。正チャンは優しいなぁ」
「白蘭さん……」
「でも言うよ?だってボクが綱吉クンに従う理由なんて、どこにもないんだからね♪」
「でも……!」
語調を荒げる入江を無視して、白蘭はにっこりと笑って、自分達の受けた被害についてを説明し出した。
「君達がここに来た日の翌朝に、今回の抗争の被害報告があった。僕達の被害は、死傷者23名」
「死……傷、者……」
「うち、3名が重傷、2名が意識不明の重体、そして2名が、死亡」
「し、ぼう……」
微笑みを崩さない白蘭は、少年達にはまるで悪魔のように見えていた。
「平気じゃないよ。今回もまた、いっぱい死んだ。君達を守るために、ね」
「オレ達を……」
「そ♪だから君達は、自分の命を大事にしなきゃならな、い゙ぃっ!?」
「うお!?」
高圧的に語り続けていた白蘭の後頭部に、唐突にゴツいブーツの踵がめり込む。
つんのめって、顔から床に倒れた白蘭の背を踏みつけて現れたのは、先程別れたスクアーロ達の一行だった。
「誰がこのガキどもの為だぁ、この脳味噌マシュマロ野郎がぁ」
「ス、スクアーロちゃん……ちょっとは手加減してよ……」
「カスが、巫山戯たこと言ってる野郎に、加減してやる理由はねぇだろうがぁ」
ふん、と鼻を鳴らして、白蘭の背中から足を退かしたスクアーロの後ろからは、ゾロゾロとヴァリアーや、誠凛のメンバー、おまけの黄瀬が現れる。
畏縮してしまっている少年達を見て、スクアーロは大きくため息を吐いた。
「今回の戦いで、重大な被害が出たことは確かだがなぁ、それはテメーらが気に病むことじゃあねぇぞぉ」
「……何の話っスか?」
「ちょっと黙っててねん♪」
「?」
遠くの会話が聞こえていたのは、どうやらヴァリアーの3人だけらしく、他の者達は事情が飲み込めずに、不思議そうな顔をしていた。
「そもそも、オレ達の目的はテメーらの救出ではなく、敵の殲滅だぁ。テメーらを助けたのはついでだ、ついで。調子乗ってんじゃあねーぞ、カス」
「んもう、スクちゃんったら口が悪いんだからぁ」
「うるせぇ。とにかく、その爆発頭の言うこと一々聞いてたら、ストレスで胃に穴が空くぜぇ」
「ちょっと、酷くなぁい?ボクってそんなにストレス溜まる?」
「溜まるな。アホほど溜まる。テメーのその、ヒトの不幸で飯がうまいって顔見てるだけで、ぶん殴りたくなる」
いつの間に復活していたのか、白蘭は少年達の後ろでニコニコと、食えない笑みを浮かべている。
その様子に、スクアーロは再びため息を吐いて、横にいた入江に話し掛けた。
「アイツ、もうちょっとどうにかならねぇのかぁ?」
「無茶言わないでください……。あれでも大分ましになったんですから……。僕、もう胃に穴が空きそうですよ」
「正チャンまで酷いなー♪」
「なんか苦労してるみたいだな」
木吉のそんな感想に対して、入江は疲れきった顔で腹を押さえている。
彼を労るように見て、その肩を軽く叩き、スクアーロは少年達に言った。
「合流しちまったんだぁ。こっから先は、一緒に回ろう。これ以上、そこの馬鹿をほったらかして、テメーらに迷惑掛けるのも難だしなぁ」
「……助かるのだよ」
ポツリとそう言った緑間は、隣にいる高尾の顔をチラリと窺う。
青峰もまた、釣られるように桃井の様子を窺った。
二人とも、血の気のない顔をしている。
いや、二人の心配をしている緑間や青峰の顔色も、決して良いとは言えない。
常と変わらないのは、陽泉の二人だけだ。
「……やっぱり、キツいか……」
「スクっち、なんか言ったっスか?」
「何も言ってねぇよ。お゙ら、さっさと先行くぞぉ」
「次はどこに行くんですか?」
「あ゙ー……、大浴場覗いてみるかぁ」
「え!お風呂あるんですか!?」
誠凛のメンバーや、黄瀬は、もうそれほど心配は要らないだろう。
問題は、秀徳と桐皇の四人か。
スクアーロの口からは、自然と、三度目のため息がこぼれ落ちていた。
「え?そりゃー……、権力とお金と最先端技術を使ってコッソリとね♪」
「な……勝手に作っちゃったのか!?」
「えー?そんなことないよ♪コッソリ作っちゃっただけ」
「勝手に作っちまったってことじゃねーのか、それ?」
ヘラヘラと笑って言う白蘭に振り回されて、秀徳の二人と、桐皇の二人は、かなり疲れたような顔をしている。
いつも通りなのは、陽泉の二人くらいか。
「つーかさー、こんだけ技術力もあって、戦力も揃ってんのに、それでも勝てないわけ?」
「敵に?」
「そ、敵に。アイツら、見た目こそ怖かったけど、あんたらは平気な顔して倒してたじゃん」
「……平気な顔に、見えましたか?」
「?違うの?」
「ふふ、少なくともボクは、平気じゃなかったかなぁ」
「え?」
何の気もなく言ったのだろう、紫原の言葉に、一瞬その場の空気が張り詰めた。
白蘭を含む、ミルフィオーレの人間、そして、近くを歩いていた人間にまで、スッと影が落ちる。
「今回は、こっちの損害もなかなかのものだったからね」
「損害……?」
「あなた方が試合をしていた会場での戦闘。あそこでの死者、重傷者は奇跡的にゼロでした。しかし戦闘が行われたのは、あの場だけではありません。バスの道中、敵を撒くための囮となった人々、基地に近付いた敵を倒すための戦闘……様々な場所で、死闘が繰り広げられていた」
「桔梗……!それはわざわざ教えなくても……!!」
「正ちゃん、ダメだよ。彼らには知る権利があるのさ♪……いや、知る義務がある」
キュウっと、目を細めて笑う白蘭に、緑間達はグッと唾を呑み込む。
入江は珍しく険しい表情を浮かべて、白蘭を睨んでいた。
「綱吉君は望んでいません。僕だって、言う必要はないと考えています。僕達は彼らを守るために動いているんだ。僕達が受けた傷のことを、彼らに話す必要はありません」
「……ふふ、そうだねぇ。そうかもしれない。正チャンは優しいなぁ」
「白蘭さん……」
「でも言うよ?だってボクが綱吉クンに従う理由なんて、どこにもないんだからね♪」
「でも……!」
語調を荒げる入江を無視して、白蘭はにっこりと笑って、自分達の受けた被害についてを説明し出した。
「君達がここに来た日の翌朝に、今回の抗争の被害報告があった。僕達の被害は、死傷者23名」
「死……傷、者……」
「うち、3名が重傷、2名が意識不明の重体、そして2名が、死亡」
「し、ぼう……」
微笑みを崩さない白蘭は、少年達にはまるで悪魔のように見えていた。
「平気じゃないよ。今回もまた、いっぱい死んだ。君達を守るために、ね」
「オレ達を……」
「そ♪だから君達は、自分の命を大事にしなきゃならな、い゙ぃっ!?」
「うお!?」
高圧的に語り続けていた白蘭の後頭部に、唐突にゴツいブーツの踵がめり込む。
つんのめって、顔から床に倒れた白蘭の背を踏みつけて現れたのは、先程別れたスクアーロ達の一行だった。
「誰がこのガキどもの為だぁ、この脳味噌マシュマロ野郎がぁ」
「ス、スクアーロちゃん……ちょっとは手加減してよ……」
「カスが、巫山戯たこと言ってる野郎に、加減してやる理由はねぇだろうがぁ」
ふん、と鼻を鳴らして、白蘭の背中から足を退かしたスクアーロの後ろからは、ゾロゾロとヴァリアーや、誠凛のメンバー、おまけの黄瀬が現れる。
畏縮してしまっている少年達を見て、スクアーロは大きくため息を吐いた。
「今回の戦いで、重大な被害が出たことは確かだがなぁ、それはテメーらが気に病むことじゃあねぇぞぉ」
「……何の話っスか?」
「ちょっと黙っててねん♪」
「?」
遠くの会話が聞こえていたのは、どうやらヴァリアーの3人だけらしく、他の者達は事情が飲み込めずに、不思議そうな顔をしていた。
「そもそも、オレ達の目的はテメーらの救出ではなく、敵の殲滅だぁ。テメーらを助けたのはついでだ、ついで。調子乗ってんじゃあねーぞ、カス」
「んもう、スクちゃんったら口が悪いんだからぁ」
「うるせぇ。とにかく、その爆発頭の言うこと一々聞いてたら、ストレスで胃に穴が空くぜぇ」
「ちょっと、酷くなぁい?ボクってそんなにストレス溜まる?」
「溜まるな。アホほど溜まる。テメーのその、ヒトの不幸で飯がうまいって顔見てるだけで、ぶん殴りたくなる」
いつの間に復活していたのか、白蘭は少年達の後ろでニコニコと、食えない笑みを浮かべている。
その様子に、スクアーロは再びため息を吐いて、横にいた入江に話し掛けた。
「アイツ、もうちょっとどうにかならねぇのかぁ?」
「無茶言わないでください……。あれでも大分ましになったんですから……。僕、もう胃に穴が空きそうですよ」
「正チャンまで酷いなー♪」
「なんか苦労してるみたいだな」
木吉のそんな感想に対して、入江は疲れきった顔で腹を押さえている。
彼を労るように見て、その肩を軽く叩き、スクアーロは少年達に言った。
「合流しちまったんだぁ。こっから先は、一緒に回ろう。これ以上、そこの馬鹿をほったらかして、テメーらに迷惑掛けるのも難だしなぁ」
「……助かるのだよ」
ポツリとそう言った緑間は、隣にいる高尾の顔をチラリと窺う。
青峰もまた、釣られるように桃井の様子を窺った。
二人とも、血の気のない顔をしている。
いや、二人の心配をしている緑間や青峰の顔色も、決して良いとは言えない。
常と変わらないのは、陽泉の二人だけだ。
「……やっぱり、キツいか……」
「スクっち、なんか言ったっスか?」
「何も言ってねぇよ。お゙ら、さっさと先行くぞぉ」
「次はどこに行くんですか?」
「あ゙ー……、大浴場覗いてみるかぁ」
「え!お風呂あるんですか!?」
誠凛のメンバーや、黄瀬は、もうそれほど心配は要らないだろう。
問題は、秀徳と桐皇の四人か。
スクアーロの口からは、自然と、三度目のため息がこぼれ落ちていた。